平成19年3月15日号から
ホテルライクでメンテ重視
新製品の傾向を探る<ユーティリティー>

便座のフチが便器と同じカーブをしているので掃除しやすい形状(TOTO「ネオレスト」)


激落ちバブル洗浄でトイレ掃除の手間を大幅に軽減(松下電工「アラウーノ」)
 先月から、札幌市内では建材問屋主催の春の建材展示会が始まった。バスルーム、洗面台、トイレなどユーティリティーの水回り商品はライバル同士の開発競争も激しく、新機能や新デザインの商品が続々登場している。各社新製品の動向を分析し、ここ1年ほどの流れを3 つのキーワードで探ってみた。

1.メンテ重視
 夫婦共働きの家庭が増えてきた分、女性は家事に時間を割けなくなってきている。そうすると、面倒に感じてくるのが掃除。どうすれば時間や力をかけずにきれいな状態を保てるのか、その要求をより高レベルで解決するのが各メーカーの課題となっている。
 トイレは、TOTOの「ネオレスト」が、業界初のフチなし便座・便器を実現、さらに便器には汚れが付着しにくい『セフィオンテクト』を採用、掃除が楽にできることをアピールしている。

バスルームの四隅にRをつけてホコリがたまりにくく掃除しやすい形状(サンウェーブ「サンリフレBRワイド」)
 松下電工が昨年暮れに発売した「アラウーノ」は、便器に有機ガラス系の新素材を採用、汚れを弾きやすい性質を持ち、掃除しやすい。最大の特徴は大小2種類のバブルと市販の食器用洗剤で便器掃除自体をほとんど不要にした『激落ちバブル』洗浄。一般マスコミでも話題となりたびたび取り上げられている。
 バスルームでは、サンウェーブが「サンリフレBRワイド」で、バスルームのコーナー部をすべてR処理したため、ホコリなどがたまりにくく掃除しやすい形状だとPRしている。また、各社が浴室入口のドアの排水溝やパッキンをなくして水勾配などで浴室内に排水させ、カビを生えにくくしたり、壁パネルや天井パネルを鏡面加工して汚れを付着しにくくする工夫をしている。このほか、TOTOは一部モデルにオプションで「浴槽洗浄システム」を用意、リモコンスイッチ 1つで浴槽に設けられた専用の4つのノズルからシャワー水流を出して全自動で洗浄できる。このため、掃除のためにわざわざ浴室に出向かなくてもいいものぐさ仕様だ。


映画に出てくるような素敵な空間(INAX「スーツルーム」)
2.セット提案
 これまでトイレ、洗面化粧台、バスルームはそれぞれ別メーカーということもあったが、メーカー側がキッチンと洗面化粧台のようにセットで提案、採用が進むケースが増えている。エンドユーザー側もデザイン統一や価格面でメリットがある。
 キッチンと洗面化粧台のコーディネート提案では、サンウェーブが「ピット」シリーズをキッチンと洗面化粧台両方で展開、色や面材を揃えて統一感を出せる。松下電工洗面化粧台「ラシス」の扉はオーダー対応で同社のキッチン「オーメイド・エクシモ」と同一面材・色にできる。
 バスルームと洗面化粧台では、クリナップが「アクリア」シリーズとして展開、『水のあるリビング』としてバスルームと洗面室を一体化して空間を広く感じる提案をしている。


2年ほど前から大型FIX窓+開き戸の組み合わせをカタログに掲載している(エアウォーター・エモト「ソシエⅢ」)
3.ホテルライク
 内装に凝った飲食店やホテルで体験した心地よさを住宅にも持ち込みたいと思う人が増えている。
 洗面化粧台では、クリナップの「アクリアサルーン」がユニーク。設計価格が100万円を超える組み合わせもある高級タイプで、デザインもおしゃれな美容室のような凝り方。女性が化粧する時の使い勝手を重視し、間仕切り付きコンテナ、最大180センチ幅の1面鏡、サイドキャビネットにヘアチェック用の専用鏡、コップや手をかざすだけで水が出る自動水栓などを装備。
 バスルームで目立つのが、浴室と洗面室の間仕切り感を取り去るため、透明ガラスを使う提案。TOTOは「フローピア」のオプション『フルスクリーンドア&FIX窓セット』で、クリナップはガラスの上半分を透明にした半透明ガラスの間仕切り『アクリアフレーム』で仕切る提案。エアウォーター・エモトも2年ほど前から「ソシエ」シリーズカタログで透明ガラスの大型FIX窓と開き戸を使ったプラン例を掲載している。INAXは「プレシオ」で片引き戸に戸袋部分も含めた透明ガラス仕様をオプション設定。
 このほか、サンウェーブは「サンリフレBRワイド」のオプション設定でワイドミラーの浴槽側半分をスモークガラスに変更し、その中に12インチ液晶テレビを埋め込んで上質感を出している。
 トイレは、INAXが数年前の「サティス」発売当時からトイレ全体を「部屋」としてコーディネートすることを提案し、他社にもその動きが広まった。また、音楽再生やふたの全自動開閉、全自動洗浄などは各社が装備してきている。

風呂、洗面、トイレをひとつの空間に(松下電工「アクアファニチャー」)

デザインと使い勝手にこだわったホテルライクな洗面化粧台が増えてきた(クリナップ「アクリアサルーン」)

ユニットバスに液晶テレビ。装着率は4割というメーカーもある。(サンウェーブ「サンリフレBRワイド」

Q1.0住宅の技術紹介
27日、札幌でセミナー開催
 NPO法人新木造住宅技術研究協議会(代表理事・室蘭工業大学鎌田紀彦教授)では、27日(火)午後1時半から5 時まで、札幌市内の北海道自治労会館(札幌市北区北6条西7丁目)で、建築設計・技術者を対象とした新住協のQ1住宅セミナー技術編「Q1.0住宅の断熱・換気・熱計算」を開催する。
 今回は1月札幌、2月旭川で開かれたオープンセミナーに続くもので、対象を専門家に絞り、考え方や技術、手法について具体的に話を進める。
 鎌田教授が講師を務め、省エネルギーの理論と熱計算、新住協が進めているQ1.0住宅の具体的な断熱仕様、熱交換換気システムの選定、夏対策、既存住宅の耐震・断熱リフォームなどについて解説する。
 参加希望者は20日までに所定の申込書をFAXするか、ホームページから申し込む。受講料は1000円で定員は150名。
 申し込み・問い合わせは、同協議会事務局(Tel.022・781・1371、FAX022・781・1372)へ。
ホームページ:http://www.shinjukyo.gr.jp/
電子メール:webmaster@shinjukyo.gr.jp

太陽熱で省エネ暖房
新日軽 ソーラーウォールを発売

昨年暮れ、北海道大学構内にある実験住宅「ローエネルギーハウス」にソーラーウォールが施工された
 新日軽(株)は、小さな孔を多数開けた集熱用アルミパネルを外壁に設置し、アルミパネルを通過して暖められた空気を給気ファンで室内に導入して暖房する太陽熱集熱外壁パネル「ソーラーウォール」を今月中旬から全国で発売する。
 ソーラーウォールは、カナダ・コンサーバル社が開発・製造、日本では(株)ロゴスシステムズが総代理店となって首都圏を中心に販売している。住宅だけでなく、工場など大型建物にも採用例が増えている。道内ではウッデイハウス(十勝・芽室町)が十勝管内で販売するなど施工例はあるが、建材大手の新日軽が参入したことで市場が全道に広がる。
 熱伝導率の高いアルミニウムの特性を生かし、太陽熱で暖められたアルミニウムパネルに空気が触れ、さらにパネルに開けられた多数の小さな孔を通ることで効率的に空気の温度を上昇させる。この暖かい空気を給気ファンで室内に送り込んで暖房する。暖房に使う電力は給気ファンのみで、1時間あたり0.7円程度。

ソーラーウォールパネルユニット。サイズはオーダー可能だ
 温風吹き出し口は60℃を超えることもあり、快晴の日なら日中は概ね暖房が不要に。悪天候時や夜間は太陽熱が得られないため、ストーブなど補助暖房が必要だ。また、設置場所は南面で太陽光を遮るものがまわりにないことが条件となる。
 新日軽では、ソーラーウォールパネル本体とそれを納める枠材、表面にアルミ蒸着した押出ポリスチレンフォームを一体化してソーラーウォールユニットとして出荷する。ユニットの前面に集熱効果を高める風防ガラスを施工するとさらに温度を高められる。給気用ファンは別途調達。
 パネルの大きさは幅約1メートル、長さ約2メートルの2m2型が標準で、1枚で最大920W/時の熱量を得られる。これ以外のパネルサイズも受注生産で作れる。
 外気を取り入れて暖めるタイプと室内の空気を暖めるタイプの2種類ある。
 新日軽によれば、札幌の一般的な断熱仕様の戸建住宅で石油ストーブと併用した場合、石油ストーブ単独で使用した場合に比べて暖房のランニングコストを約2割減らせるという。オープン価格。
 価格など問い合わせは、同社札幌住宅建材支店直需課(札幌市中央区大通西7丁目3-1エムズ大通ビル8F、Tel.011・219・7515)へ。

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