平成19年12月5日号から
高性能住宅Q&A 気密性能値が0.1を切った
数値上は十分可能
風量が100m3を超えるように
 Q…当社は住宅完成後、気密試験を行ってから引き渡しています。その数値(相当隙間面積)がしばしば0.1cm2/m2をさらに下回り、0.06などを記録します。こういった小数点以下2ケタの気密性能は信頼できるのでしょうか。(秋田県 工務店社長)
 A…この質問をいただき、正直驚きました。質問といっしょにいただいた資料には、相当隙間面積(C値)が0.06と記載されているではありませんか。0.1以下のC値は存在するのか、調べてみました。

C値が0.1を切った測定データ。50paをかけても68m3しか風量が出ない
 まず結論から説明すると、多少の心配はあるもののデータを見る限りきっちり測れている感じで、数値も0.1以下の信頼性そのものは全く問題ないということです。
 教えていただいたのは、気密測定機で有名なコーナー札幌(株)の菊地洋専務。菊地さんが知っている限り、RC建築で毎年に1、2回、またある工務店でときどき0.1以下を記録しているそうです。
 こういった極めて高い気密性能の住宅を測るときは、風量が100を超えたところで測ることが必要。というのも、気密性能が高すぎるため、今回の物件を例に説明すると40~80paをかけたときの風量が小さすぎることが問題となります。風で強く影響を受けてしまうからです。
 このため、自動計測ではなく手動計測とし、1ポイント目から100m3を超える風量になるくらいまで圧力をかけます。
 そうすることで測定値に信頼性が生まれます。
 なお、今回の物件についてはグラフの傾きや風量もいい感じで、きっちり測れているとみていいのではないかということでした。
 気密性能は、オリンピックのようにコンマいくつで競うようなものではありませんが、まじめにやらなければいい数値が出ないのも事実です。
 現に、消費者に対しては「心配いりません」と説明していた住宅会社が、いざ『C値を1cm2/m2以下にしてください』と契約時に施主から依頼され、「充てん断熱では自信がありません」と工法のせいにして逃げた例が、北海道・札幌でもまだあります。

傷や凹みはコレで防ぐ
フロアの養生、どうしてます?

各種建材や工具が所狭しと置かれ、木材・建材の破片や砂などが床に散らばる現場では、しっかりしたフロア材の養生が欠かせない
 多くのユーザーにとって住宅は、一生で最大の買い物。それだけに住宅会社としても内外装に傷など付かないよう、細心の注意を払って施工するのだが、悲しいかなそれでもいつの間にかフロア材に傷やへこみができていたなんてことも、一度や二度は体験しているのではないだろうか。そこでここでは道内各ビルダーが行っている代表的な床養生の方法をピックアップしてみた。

 石こうボード  重量物の落下に強い
  道内各地域のビルダーに話を聞いたところ、フロア材の上に敷く養生材については、1.石こうボード 2.ラワンベニヤ 3.木質繊維材料や発泡ポリエチレンシートなどを使った専用材―の3つが代表的。いずれも単独で使う場合もあれば、養生シートなど他の材料と組み合わせて使う場合もあり、ビルダーによって養生方法は様々だ。ただ、効果や耐久性、コストなどはどれも一長一短。現状ではまだどの方法が一番いいかを模索しているビルダーも多い。

石こうボードを養生材として使っている札幌市内の現場。耐衝撃性が高いので、重いものを落としても安心できる
 3つの養生材のうち、石こうボードについては札幌圏で採用するビルダーが目立ち、採用理由としては、丸鋸など重たいものを落とした時の耐衝撃性に優れていること、砂が表面に食い込む“砂噛み”がほとんどないことを挙げている。9.5ミリ厚の製品を使うケースが多いが、フロア材に養生テープで直張りしているという札幌のあるビルダーは養生材専用として7ミリ厚の製品を使っている。
 コスト的にも3×6尺サイズであればラワンベニヤ2.5ミリ厚と比べて、9.5ミリ厚で100円以上安く、7ミリ厚であればさらに20~30円安くなるなどコストパフォーマンスも高い。
 ただ、現場に敷いている間に割れや傷ができたり、水分でふやけてきたりするので、ほとんどは使い捨てになり、ゴミが増えてしまう。
 石こうボードを養生材として使っている札幌のビルダーは「以前は薄手のシージングボードを使っていたが、運搬時などにボード表面で砂噛みが起きてしまい、フロア材に傷が付くこともあった。石こうボードであれば表面に砂などが付いても落としやすく、万が一、重いものを落としても安心」と話す。


昔から養生材としてよく使われているラワンベニヤ。何回も使い回せるのが大きなメリット

 ラワンベニヤ  何度でも使い回せる
 ラワンベニヤは昔から養生材としてよく使われてきたものの一つで、今でも道内で主流となっている地域は多い。波形の養生紙を敷き、その上に養生テープで固定するという使い方が一般的だ。
 2.5ミリや2.7ミリなど薄手のものが使うケースが多いため、石こうボードなどと違い工具などを落とした時の耐衝撃性は高くないが、よほどボロボロの状態にならない限り、何度でも使い回せるのが大きなメリット。間仕切り壁を施工する部分もカッターで簡単にカットできるなど施工性もいい。ただし、ラワンベニヤはこのところの価格上昇によって、新規に購入して使うにはちょっと割高感もある。
 ラワンベニヤを養生材に使っている旭川のビルダーは「工具などを落とすとフロア材がへこむのが難点と言えば難点。ただ、養生紙の上にしっかりテープ留めしておくことが前提だが、玄関に砂を落とすためのマットを用意し、職人に砂を室内に持ち込まないよう注意を促しておけば、フロア材に傷が付く可能性はほとんどなくなる」と話している。


木質繊維系ボード材のエコヘルボード。クッション性があり、フロアとの密着性もいいので非常に歩きやすい


発泡ポリエチレンシートのエコフルガードは、3尺×3尺に折り畳めるので、狭いところを持ち運ぶ時も楽
 養生専用材  作業しやすさが魅力
 石こうボード、ラワンベニヤ以外に、建材メーカーが販売している養生専用材を採用するビルダーも徐々に増えつつある。中でもよく目にするのは木質繊維系のボード材と発泡ポリエチレンを使ったシート材。
 木質繊維系のボード材としては、大建工業(株)製のエコへルボードや吸ホル養生ボードを使っているケースが目に付く。厚さ6~8ミリながらクッション性に優れるほか、細かいゴミやチリも木質繊維が吸着してくれる。さらに柔軟性があるので「フロア材への密着性が良く、他のボード材や合板のように上を歩いてもばたつかないので、職人が現場で足元を気にせず作業できるようになった」と、エコへルボードを採用するオホーツクのビルダーは話す。
 3×6尺サイズで1枚600円程度と割高だが、耐久性が高く、10棟くらい使い回すというビルダーもいるほか、あるツーバイ専門のビルダーは養生材として1回使ったものを、次の現場で2階のフロア材の下にクッション材として敷設。防音・遮音性が高まり、ゴミとして捨てることもなくなるという、一石二鳥の使い方をしている。
 発泡ポリエチレンのシート材では、フクビ化学工業(株)製のエコフルガードが代表的。これは2ミリ厚の発泡ポリエチレンシートの上に1ミリ厚の再生紙と防水性のあるエンボスシートを張り合わせたもので、落下物の衝撃に対してはあまり強くなく、3×6尺サイズで1枚当たり500円前後と石こうボードやラワンベニヤより高いが、販売している3×6尺と3×30尺の2サイズとも3×3尺に折り畳むことができるので、取り回しは非常にいい。採用している旭川のビルダーは「室内に運び込む際に回り階段を通る時でも壁にぶつけたりする危険性が少なく、現場ごとの持ち運びも楽」と話している。

小冊子3冊が好評
日本住環境 住宅性能などわかりやすく

イラストが楽しい小冊子
 日本住環境(株)ではこの春に制作した住宅性能と住まいの環境をわかりやすく解説した小冊子「心地よい住宅ってナニ?」に続き、11月に東京で開かれたジャパンホームショーに合わせて24時間換気の重要性と自社製品の特徴をマンガで解説した「換気は歓喜のストーリー」と、小屋裏換気の必要性を紙芝居的に説明した「キラわれキノコの一生」を発行。楽しく読めるわかりやすさが好評だ。
 高断熱・高気密や24時間換気といった言葉は全国的に知られるようになったものの、その意味や役割については専門家でさえもまだ十分に理解されていない。また、高断熱・高気密が当たり前となった北海道でも、一般消費者の理解が進んでいるとは言えない。
 同社は、自社の製品の採用を検討してもらう前にまず専門家や消費者に対し、高断熱・高気密化など住宅の環境性能を高めることでどれだけのメリットがあるかをわかりやすく伝える必要があると考えた。
 ジャパンホームショーでこれらの小冊子を配布したところ、工務店や建材問屋、販売店にとても好評で、『エンドユーザー向けの啓もう資料としても使える』との声も多く、期待通りの反響に大きな手応えを感じたという。
 同社林容常務は「啓もう活動がまだまた届いていないと実感した。住宅性能の意味と関連資材の機能をしっかり理解してもらうには役不足だが、関心のとっかかりとしては十分に使える冊子に仕上がっていると思う。ぜひ、一度見てほしい」と語っている。
 いずれもA4判横で、「心地よい住宅ってナニ?」は14ページ、「換気は歓喜のストーリー」と「キラわれキノコの一生」は10ページ。
 問い合わせ・小冊子の請求は同社本支店へ(本社=Tel.03・5425・6634、札幌=Tel.011・222・6330)。

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