平成18年9月15日号から
建材の値上げ加速
コンパネ1,500円以上など大幅
 このところ、コンパネやラワンベニヤなどを中心に建材の値上げの動きが目に付くようになってきた。地域差はあるものの、ラワン材を中心に価格が急激な上昇傾向にあるのは同じで、住宅会社サイドでは見積もり単価や住宅価格見直しなどの対応を迫られている。今回は建材値上げの動きについてまとめた。

需給構造が変化?

基礎工事の型枠などに使われるコンパネは今や1枚当たり1500円以上と言われている(写真上下とも本文とは関係ありません)
  建材値上げの動きの中で、特に目立つのがコンパネとラワンベニヤなど、いわゆるラワン材だ。例えばこれまで900円前後から1000円程度で推移してきたコンパネは、道内はもとより全国的に価格が上昇しており、品不足も深刻という声が聞かれる。
 道内について見ると、「品薄になっているためか値上げを要求されている」(札幌・工務店)、「コンパネやラワンベニヤは以前より1、2割の値上げになっている」(旭川・工務店)、「コンパネは仕入れ値が1500円に上がった」(道南・木材業者)、「コンパネは今売るなら1700円くらいになる。品不足が続けば2000円に達するかも」(道東・建材販売店)など、各地で品薄による大幅値上げの構図となっている。
 7月くらいからラワンベニヤ、コンパネなどの価格上昇や品薄感が徐々に鮮明になってきた旭川の建材販売店は「インドネシア、マレーシアなど東南アジアで生産されているラワン材の供給先が、日本から中国・インドといった多くの人口を抱える国にシフトしてきたことが原因として挙げられる。また、東南アジアの木材輸出国は国際社会の支援を受ける代わりに森林管理をしっかり行うようになり、大量伐採や違法伐採に目を光らせているため以前のように木を切れなくなってきていることもある。これら国際社会の動きを考えるとラワン材などの値上げは必然。現状では年間を通して価格を読むことは非常に難しく、業界関係者の中には高止まりで推移して再び下がることはないのではないかという人もいる」と話す。
 ただ、あまりに急な値上げに「ブツ(コンパネ類)はどこかの倉庫に眠っているのでは」といぶかる声も出ている。
 一方、まだそれほど影響が出ていない地域もある。オホーツク地域のある工務店は「コンパネなど微妙に価格は上がってきているが、これまでにも時々あった値上げの範囲内に収まっている。今後はまだわからないが、少なくとも在庫分は以前の値段で取引できる」と言い、同じ地域の別の工務店も「ラワンベニヤなどの値上げは確かにあるが、影響を受けるほどではない」とのこと。

複合フロアも強含み
 複合フローリングや針葉樹合板、カラマツ構造用合板もコンパネなどと同様に値上げの動きが出ている。
 複合フローリングについては「4600~4800円で入っていたが、すべて600円ほど値上がりした」(札幌・工務店)、「あるメーカーから坪当たり 1000円ほど値上げを要求された」(同)、「これまで坪当たり6000円台だった製品が1万円くらいまで上がると言われており、発注しても2ヵ月待ちの状態」(同)など、札幌で具体的な話が出ているほか、道東でも建材販売店によると値上げの話が出てきているという。
 針葉樹合板は道東の建材販売店の話によると「床下地に使うラワン合板の代替品としてハウスメーカーが使うなど、需要が伸びているにもかかわらず、主要生産国であるロシアからの輸入量が減っているため値上がりしている。12ミリの36尺は春先900円程度だったが、今では1100円になっている」といい、同じく道東の木材業者も「ラワン合板の代わりとして人気が出たことから、12ミリの36尺の仕入れ値が春先の700円から1000円台まで上昇した」と、ラワン合板の代替品として需要が供給量を上回っていることを値上がりの原因としている。
 また、針葉樹合板の中では原材料を外国に頼っていない道産カラマツ合板も価格が上昇。道東の別の木材業者は「道産のカラマツ合板も以前より100~ 200円値上がりしている。これは本州から道内に入ってきている北洋(ロシア)カラマツ合板の値上げに釣られて価格が上がっているのでは」と、値上げの理由を推測している。


在来用製材の価格の動きは、地域や工務店によってまちまち
製材は地域で温度差
 このほか、木材関係では、在来用製材や構造用集成材、ツーバイ材も木材業者サイドに値上げの意向が強いようだ。
 在来用製材は「12尺の正角材は毎年値上げを要求されているが、突っぱねている」(札幌・工務店)、「9月1日付けでm2当たり3000円値上げすると通達があった」(釧路・工務店)と、具体的な動きがある一方、「現状で価格が上がるという話は出ていない」(旭川・工務店)、「値動きがなく、値上げも言われていない」(十勝・工務店)など地域・工務店によって状況は異なる。
 木材業者も「値上げにはならない」(道南・木材業者)、「原木がそれぞれ値上がりしており、平均して当たり3000円程度値上げしたい」(道東・木材業者)など様々。集成材も在来用製材と同じような状況になっているようだ。
 ツーバイ材は春先に一度値上がりした地域が多かったが、「木材業者は再び価格を上げたいと言ってきている。」(北見・工務店)、「値上げの話は聞いているが、具体的な値上げ幅は聞いていない」(室蘭・工務店)など、木材業者サイドは再び値上げする動きを見せているが、中には「今は価格が落ち着いており、冬場にかけては弱含みで推移しそうだ」(道東・木材業者)という声もある。

樹脂製品は石油高騰の影響

 このほか、断熱材などの樹脂製品も石油価格高騰のあおりを受けて、価格が動きそうだ。
 発泡系断熱材では、押出スチレンフォームが9月から11月にかけて20~30%程度値上がりすると言われており、すでに建材問屋から通達があったという建材販売店もある。ウレタンも来月に10%程度値上がりするという見方が強い。
 また、グラスウールについては、年内は現状の価格で推移しそうだが、来年早々には値上げの可能性もありそう。防湿・気密シートなどの樹脂製品も値上がりしそうだ。


高省エネ住宅の視点4
漏気量踏まえたQ値計算を
(有)北欧住宅研究所・川本清司所長に聞く
 住宅の省エネを進めるうえで気密化は、壁内結露を防いで断熱材の性能を十分に発揮させ、漏気による熱損失を抑えるという、大きな役割を担っている。今や高断熱・高気密は当たり前と言われているが、高省エネを実現するために気密性は本当に十分なのか、また、技術的・理論的な課題はクリアされているのか。今回は気密化と省エネの関わりについて、これまで20年以上にわたって住宅の高断熱・高気密化を実践してきた北欧住宅研究所・川本清司所長に話を聞いた。
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屋根通気層用ネット
キャスケード タイル下地や屋上緑化にも

ウェザーバリアを野地板に敷いたところ。不織布がネットの上に来る
 住宅建材を日本向けに輸出しているキャスケードコンポーネンツ(アメリカ、小金澤敏明社長)は、野地板の上に敷くだけで簡単に屋根の通気層を確保できる「ウェザーバリア」を発売しているが、今年春から順次改良版に切り替えた。
 ウェザーバリアは樹脂製の立体形状のメッシュネットで、人が上に乗ってもつぶれないほどの強度を持っている。このメッシュネットの間を空気が通り抜けることで屋根通気層の役割を果たす。
 施工は、野地板の上にウェザーバリアを敷き、タッカーなどで仮止めして下葺き材、屋根材の順に施工する。軒先の野地合板には幅10センチのスリット状の細長い穴を開けて軒天からの空気をウェザーバリアに通し、棟まで通気させる。
 タッカーで仮止めするときネット状なので止めづらい、あるいは表面が凸凹して施工しづらいという声があり、今回の改良で不織布をあらかじめ圧着した。タッカーは不織布にかかれば良いので止めやすくなり、下葺き材や屋根材を施工する際も不織布がネットの凸凹を吸収するのでやりやすくなったという。

軒先の野地合板にスリットを開けて軒天からウェザーバリアに通気させる
  今年春からウェザーバリアを使い始めたという(有)小枝産業(十勝・音更町)の小枝則夫部長は、「以前野地裏などの結露で悩まされたこともあり、ウェザーバリアを使った通気層工法を導入した。施工も簡単でこの冬の結果が楽しみだ」と話している。
 このほか、玄関ポーチのタイル下地に使うと、雪融け水が目地からウェザーバリアに排水されて凍上防止になり、ビルやバルコニー緑化用に防水モルタルの上にウェザーバリアを敷くと土止めシートとして使える。
 製品の仕様は、幅990ミリ×長さ30.8メートル×厚さ12.5ミリ。価格は4万円(税別)。
 問い合わせは、同社日本事務所(横浜市港北区新横浜3-20-5スリーワンビル、Tel.045・475・0711 )か(株)カネマツ(帯広市西11条南2丁目12-8、Tel.0155・36・6428)へ。

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