平成18年7月25日号から
北大大学院・長谷川先生
高性能を超高性能に
築25年の自宅を200ミリ断熱改修

改修前(下)と改修後(上)の外観。改修後の外装は高耐久な樹脂モルタルで仕上げており、屋根はスノーストッパールーフと雪止め金具による無落雪屋根として積雪による障害を解消
 「25年前に建てた高断熱住宅を、最新の技術と材料でより快適に、より暮らしやすく」―。北海道大学大学院工学研究科で教鞭をとる長谷川寿夫先生(工博・一級建築士)は、そのコンセプトのもと、外壁の200ミリ断熱や防湿・気密シート施工などによって、現在でも超高性能と呼べる住まいに自宅を改修し、同時に老後に備えて間取りの一部や水廻り、設備もリフォームして快適性を大幅に高めた。施工は久末弘信建設(株)(札幌市、名古屋光弘社長)が行った。

当初は外張100ミリ断熱
 長谷川先生の自宅は、昭和55年秋に完成した延床面積約36坪(地下部分除く)の在来木造2階建て。押出スチレンフォームB1種による外張り断熱で、外壁は50ミリの2層張りで合計100ミリ厚、屋根は同75ミリ2枚と同50ミリで合計200ミリ厚、基礎は外側に同 50ミリ、内側に25ミリで合計75ミリ、窓は木製サッシのトリプルガラスと、当時としてはかなり高い断熱性能を持っていた。ただ、現在のような断熱・気密施工がまだ確立されていなかったので気密層は設けてなく、気密性能は築5年後くらいに測定を行ったところ相当隙間面積で4cm2/m2。
 当時の住宅としては気密性はむしろ高いほうだったが、風が強い日はかすかに隙間風を感じるなど室内の快適性に多少なりとも影響を与えていたことから、外装材とその目地の傷みが目立ち始めたのをきっかけに全面改修を実施。約1600万円をかけて断熱・気密性のほかに耐震性も向上させ、設備や間取りなども更新・変更した。
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床組の施工精度向上
北見・建築館みうら 根太を208材ダブルで支持

2枚合わせの208材の上に床根太の208材を455ミリピッチで入れ、構造用合板15ミリを張った床組
 (株)建築館みうら(北見市、三浦秀秋社長)では、基礎断熱を採用したツーバイフォー工法で施工した住宅の床鳴りや建具の狂いをできる限り抑えるため、208材の床根太の下に、大引の役目を果たす2枚合わせの208材を床根太と直交して入れた1階床組を1年前から採用。鋼製束で90角の土台を支え、床下地にネダレスパネルを張っていた従来仕様より施工精度を向上させると同時に、コストダウンにもつなげている。
 従来、同社のツーバイフォー工法の1階床組は、床剛性の確保と同時に1階フロアレベルをGLから低く抑えることを考えて、床根太は使わず、3×6尺のグリッドに組んだ90ミリ角の集成材土台を鋼製束で支え、床下地に28ミリ厚の構造用合板を張る仕様としていた。ただ、経年変化で土間コンクリートに微妙な不陸が生じた場合などに、鋼製束の調整だけでは解消できない床鳴りや建具の狂いがあるほか、最近では28ミリ厚の構造用合板が入手しにくくなったこともあり、鋼製束と厚物の構造用合板を使わずに十分な施工精度を確保できる床組仕様を考えたという。
 現在採用している1階床組は、基礎工事終了後に90ミリ角のヒバ集成材土台を敷いた後、床根太の208材を455ミリピッチで施工。その後、あらかじめ土間上に用意しておいた2枚合わせの208材を大引として床根太の下に入れてから、床下地の構造用合板15ミリを施工している。

1階床下地の構造用合板を施工中の現場
 大引より先に床根太を施工するのは、大引を先に施工してから床根太を流すよりも床面のレベルの精度を確保しやすいため。後施工となる大引は、1350ミリピッチで布基礎にコンクリートビスで固定した受け金物で受ける。床根太と土台の取り合いは床根太をアゴ掛け状に欠き込んで土台に乗せ、土台上の端根太・側根太は204材として床根太との高さを揃えるとともに、1階フロアレベルも低く抑えた。

束の調整手間解消
 従来の仕様と比較すると、鋼製束がなくなった分、土間コンクリートの施工精度に気を遣う必要はなくなり、施工後に床下に入って鋼製束の高さを微調整する手間も解消。床剛性の面では体重のある人が跳ねたりすると多少の振動はあるが、生活上は影響なく、必要十分な剛性を確保しているという。
 また、鋼製束が不要となったほか、土間コンクリートの厚さは鋼製束を受ける必要がなくなったため120ミリから50ミリに薄くでき、構造用合板も薄くなったことで坪当たり5000円程度のコストダウンにつながっている。
 同社の三浦社長は「土間コンクリートに不陸が起こった場合、鋼製束の調整にとても苦労することがあり、クレームの原因になる心配もあった。現在の仕様であればそのような問題はなく、一般的なツーバイフォー工法の床組よりも高いレベルの床剛性を保つことができる」と話している。



外観と操作性一新
北海道電機 蓄暖主力シリーズを改良

MEシリーズ

MNシリーズ
  北海道電機(株)は、マイコン型電気蓄熱暖房器『暖吉くん』Mシリーズを改良し、このほどME/MNシリーズとして発売した。
 ME/MNシリーズは、MEがファン付きタイプでMNがファンレスタイプ。これまでの基本性能はそのままに、使い勝手の向上を目指し外観デザインと操作性など細かな改良を行った。
 外観デザインは、外装塗装をこれまでのメラミン溶剤塗装から、粉体静電塗装に変更。アイボリー色の中に濃色粒を混ぜることで木質系建材を多用する最近の住宅にも合うデザインとなった。また、微妙な凸凹があるため表面がピカピカ反射せず高級感ある仕上がりとなる。
 MEシリーズは操作部デザインを変更、室温設定や蓄熱量のツマミを独立させて大きくするとともに、チャイルドロックボタンを新設した。またオプションでファンオン/オフをタイマー設定することも可能。MNシリーズは操作部を本体横から前面に変更したため設置時に必要なまわりの障害物との距離=離隔距離を小さくすることができ、設置に必要な横幅が従来タイプよりも最大で12.5センチも縮まった。
 このほか、天板部の断熱材配置を見直してより効率的に断熱することで天板温度を下げ、ビルトイン設置の自由度を高めた。蓄熱センサーの取り付け位置を変えることで、ビルトイン設置時などでセンサーが拾う温度が室温よりも上がりすぎるなどの問題を軽減、温度制御がより正確になった。制御基盤の位置変更など内部構造の見直しでメンテナンス性が向上した。また、設定内容記憶用に専用電池を内蔵、停電時の保持期間が従来機種は1時間半だったのに対し、新シリーズは最大5年間になった。
 価格はファン付きのMEシリーズが22万5000円(5kWタイプ、税別)、ファンレスのMNシリーズが11万円(1.1kWタイプ、税別)など。
 問い合わせは、同社札幌支店(札幌市中央区大通西8丁目2、Tel.011・221・7789)へ。なお同社では、お客さまサービスセンター(Tel.0120・881・935)を開設、年中無休24時間体制で暖房器に関する相談、問い合わせを受け付けている。

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