現在施工中の漁師の家の建て替え現場。左はこのほど完成した倉庫。解体中にもかかわらず隣接道路はきれいな状態を保っている |
光輝建設(株)(網走市、福井政義社長)では、住宅の性能や仕様以外の面でも地域密着型ビルダーとしての姿勢を明確に打ち出そうと、今年4月から協力業者とともに隣接道路を含めた1日5回の現場清掃や禁煙、各社が納品した設備・建材等のゴミや休憩時に飲んだ飲料水の空き缶・ペットボトルの持ち帰りを定めた衛生管理要綱を実行。現場は商品という意識の徹底により、施主や現場周辺住民から今までになかった良い反応を得ている。
真の地域密着目指す
同社が衛生管理要綱を定めたのは、今年3月に札幌で行われた本紙主催の寒地住宅学校で日菱企画社長・住宅産業塾塾長の長井克之氏による講演がきっかけ。長井氏の「地場ビルダーはよく地域密着ということを口にするが、本当に地域に密着しているのか?」という一言を聞いた時、改めて地域密着の意味を考え、「現場の周りであいさつも掃除もしないで何が地域密着かと思い、まずはやらなければいけないこと、始められることを具体的に1つでもやっていこうと決心した」(同社澤田利昭専務)。
具体的に決めたのは、自社の社員を含め現場に入っている者全員で現場およびその敷地内と隣接道路を1日5回清掃現場および敷地内の禁煙納入品や作業から出てくるゴミは基本的に各社で持ち帰る休憩時に飲む飲料水の空き缶・ペットボトルなどは各自で持ち帰る―の4項目。この4項目を衛生管理要綱として定め、協力業者に通知したところ、反対意見はなく、一緒に頑張りたいという声もあったほか、積極的に改善点を提案する業者もおり、好意的に受け入れられたそうだ。
周辺住民が好意的に
衛生管理要綱は7月から始まった現場から実行しており、まだ100%徹底されているわけではないが、その成果は確実に現れている。
例えば清掃については現場と敷地内はもちろん、現場の両隣とその向かいの3軒の隣接道路も掃除し始めたところ、3日ほどすると朝の清掃の時、現場の近所の人も出てきてあいさつしたり、一緒になって掃除を始めたりするようになり、施主も近所の人から「ちゃんとした工務店に頼んでるんですね」と言われて気分が良かったと話すなど、予想以上の成果に驚いたそうだ。
解体作業中の職人たち。衛生管理要綱を実行したことで、ゴミが散乱しないよう考えて作業するようになるなど、意識レベルは確実に向上したという |
また、現在は始業前と作業終了時以外は現場の状態によって掃除を行っているが、職人たちも現場をきれいに保つためにはどうすればいいかを考えて仕事をするようになったという。
禁煙については建物内でタバコを吸うことはなくなったが、敷地内では吸っている職人もいるとのこと。ただ、敷地内で吸っている場合でも携帯用灰皿を使っており、現場周辺は極端に吸い殻が減少。ゴミの処理に関しても空き缶やペットボトルなどは現場内に置きっ放しになっていることがなくなり、まとめて袋に入れておいて休憩時にコンビニに買い出しに行く時に捨ててくるようになった。
現在施工している建て替えの現場では、解体の時にできるだけ廃材やゴミを散乱させないように努力する職人もいるなど、確実に現場の意識レベルは向上しているといい、同社では今後も強制的ではなく、職人や協力業者の理解を得たうえで続けていきたいとしている。
同社の澤田専務は「今年はテストケースと言えるかもしれないが、まずは続けることが大切。衛生管理要綱の内容を充実・徹底し、さらにもっと地域に密着してできることを模索していきたい」と話している。 |