平成18年6月5日号から
築11年のグラスウール検証など
新住協総会・研修会

基調講演を行う
代表理事の鎌田教授
 NPO法人新木造住宅技術研究協議会の第2回通常総会・研修会が先月18、19日の両日、長野県松本市内で開かれ、全国から190名を超す会員が集まった。
 事業計画の技術研修会や市民セミナーなど議案は全て原案通り可決・成立した。役員改選では、任意団体のころから会を支えてきた安田弘代表理事(STV興発(株)会長)と升元健((株)ノーザンプランニング社長)・長谷川正道(長谷川興業(株)副会長)の両理事が退任、新たに斎藤保雄氏(勇和建設(株)社長)が理事に就任した。このほかの役員は留任。
 総会に続いては代表理事で室蘭工業大学教授の鎌田紀彦氏が基調講演。翌日には研修会も行い、鎌田教授はQ1.0プロジェクト2006」と題し、北海道からスタートしたQ1.0住宅プロジェクトをさらに推進し、10年後には標準仕様化を目指すとともに、コストアップを最小限に抑えながらプランニングなどで合理化を図り、コストを吸収していく工夫を進めたいとした。
 また総会前に開かれた見学会と翌日の研修会では、築後11年を経過した高断熱・高気密住宅の壁内グラスウールの検証も行われた。

見学会では壁をはがしてグラスウールの状況を検証した
 築11年の住宅の外壁の一部をはがし、透湿・防水シートを切断してグラスウールを取り出したところ、湿気は全く含んでおらず、カビなどの発生もなかった。一部が黒ずんでいるのは、コンセントボックスから空気漏れがあったためだが、ここも結露やカビの跡はなく、ゴミがついただけだった。
 メーカーでは取り出したグラスウールを試験所に持ち帰り、断熱性能などを測定するとしている。



木造戸建住宅復活の道・その7
「e-家」に住みたい-に込めた思い
(株)北海道住宅新聞社 会長 白井 丞

いまどきの高断熱・高気密住宅のリビング。壁にルームエアコン、床にパネルヒーターとアクティブ加湿器
ポスト高断熱時代

冬の乾燥感和らげる
 2…セントラル暖房設備の普及で冬は家中暖かくなり、一方では乾燥に弱い日本人の体質もあって居室の乾燥感が顕在化しています。
 それを裏付けているのが加湿機がよく売れていることです。パッシブ(自然利用)タイプのほか、家電メーカーが相次いでアクティブ(動力使用)タイプを開発し、通信販売・一般雑誌でも宣伝しており、家電量販店ではコーナーを設けて販売しています。
 ユーザーは快適に暮らすために、それなりにお金をかけるようになった現れでもありますが、パッシブ・アクティブの両方を使用しているケースもあり、加湿対策に苦労しているようです。
 乾燥感や湿っぽさがない適正な湿度は個人差があり、湿度30%程度でも慣れてくると平気な人がいると思えば、鼻や肌が乾燥するなどと結構問題視する人もいます。入居して始めて「こんなに空気が乾燥するんだ!」と驚く人もいます。快適とされる相対湿度40~50%を保つには今一つ決め手がないのが現状です。
 ユーザーには暖房温度・加湿設備・暮らし方などについて、あらかじめ説明して、住まいのしおりなどで示す必要があります。

物干しにも新時代が
 3…洗濯物を干す伝統的な手法は、外の物干し台や窓・ベランダの利用、近年はユーティリティーに機能的な物干し台が登場、さらに浴室にも物干しポールを渡すなど、干し場が外から内へ移ってきました。それを見て取ったユニットバスメーカーはバスに洗濯物を干す機能を付けました。かってのように天日干しができなくなってきた環境の変化がもたらしたとも言えます。
 しかし、ユーティリティーやバスでの物干しは、そこを開放して放湿する調湿目的もあるようですが、それが時には結露の危険性を生んだり、臭気などの拡散が衛生的にもよくありません。
 先進国ではアパートにも共同の乾燥室があります。日本でも居住環境の快適性を高めるためにも、戸建住宅がきちんとした乾燥室を設ける設計段階の工夫と提案が必要です。

アイデアひとつで簡単に食品貯蔵庫ができる

食品貯蔵庫見直そう
 4…一般食品と生鮮食品を貯蔵する手立てが欲しいという状況になっています。
 生鮮食品というと冷凍冷蔵庫頼みです。どんどん大型化してきました。一般食品も床下収納庫が大型化しています。
 これからは使い勝手に配慮した食品貯蔵スペースを建築デザインの中で検討する時期にきています。冷蔵庫への過大な依存やむろの発想から脱却しましょう。
 イギリスは食品室のことをパントリーといい、ほとんどの住まいに装備していると聞きます。

機能備えた大収納室
 5…悩みがつきないのが収納スペースの確保です。
 四季の変化に対応できる大収納室・ストーリッジルームを設けて一気に解決したいものです。衣服・履き物・調度品・スポーツ用品など、季節に応じて入れ替えができる多目的な大きな室内物置です。
 押入・ウォークインクローゼットも含めて、収納全体を見直す時期にきています。単にスペースを確保するだけでなく、合理的で集中的に整理整頓できる利用しやすい機能を持たせた部屋です。
 国土交通省の調査では収納に対する不満が依然として高いということはご承知と思います。収納はこれからのオリジナリティの大きなポイントです。アドバンテージのあるものを工夫しましょう。


生ゴミをためずにリサイクル処理。家庭用据置タイプ生ゴミ処理機。左がバイオ式、右が乾燥式
生ゴミ処理標準装備
 6…生ゴミ処理は今まで以上に深刻です。キッチンが暖かいため、生ゴミは腐敗が早く、悪臭が漂います。処理機を標準装備する必要があります。
 ディスポーザーは流し台に組み込み、生ゴミを処理して下水へ流します。下水道が整備していないと使えませんし、敷設してあっても使えない自治体が多く、例えば札幌市の場合はマンションなどで特例的に設備を審査して認めるケースがあるようですが、一般的にはほとんど認めていません。
 最近、家電メーカーが家庭用据置タイプのバイオ式と乾燥式を品揃えしました。家電量販店では積極的に販売しています。それだけ消費者の関心が高く、ニーズがあるということです。堆肥などにリサイクルすることでゴミの量を減らし、ひいては地球環境への貢献と、その意義は大きいわけです。


十勝のカラマツ下見板外装材の住まい


道南杉板を外装材に使った住まい
地域材を活用する
 冬も夏も快適であって欲しい、春と秋の爽やかで穏やかな北海道らしい季節も感じたい。道産材の利用で、北海道らしさの演出もこれからの住まいに欠かせない要素です。エゾ・トド製材はこれまでもこれからも、在来木造工法には欠かせない存在です。最近はカバ・シナの広葉樹の窓枠材・床材・合板、道南杉・カラ松の内外装材、製材、柱材、階段材、集成材・積層材などの加工材が活躍し始めています。いずれも北海道の気候・風土の中で育まれた木材です。ユーザーには積極的に使用を働きかけ、道産子ハウスとして地域性と存在感をアピールしましょう。

団地づくりも曲がり角
 これまでは団地が高齢化するとそこに住んでいる人達も高齢化して、「さて、この先この団地どうする?」ということになります。
 これからは、住まいが長寿化し、人も長寿化します。住まいの形態が多様化することで、多様な家族が暮らすコミュニティが形成されます。やがてライフステージの変化が住み替えという形で、そこに住む人達の移動ががあり、一方では、そこに住む人達の世代間の助け合いなども始まり、様々な形の活力が団地内に出てきます。
 そうありたいと考えています(終)
 「eー家」に住みたいーには詳しく、具体的に書いています。是非一度お読みいただければと存じます。



新築用乾式レンガ
北海道スプリットン工業 下地材で防火認定取得

新築用の防火下地と組み合わせた4面あいじゃくりの乾式レンガ
リフォームタイプのサンプル。新築タイプにもこの4色をラインナップ
 北海道スプリットン工業(株)では、乾式レンガの外装材を5年ほど前から販売しており、これまでは既存サイディングの上に直接張って仕上げる外壁リフォーム用の製品として好評だったが、最近は新築住宅でも採用したいという要望が増えてきたことから、新築住宅対応の「Brick Armor CLEARCUT(ブリックアーマー・クリアカット)」の販売を4月から開始した。
 新築タイプの下地材は、ウレタンと金属板を組み合わせた金属製断熱ベース材で防火認定を取得しており、重量もこれまでの窯業系防火下地材の3分の1程度まで軽量化されている。
 従来の乾式タイル外装は横目地が主体となっていたが、ブリックアーマー・クリアカットは四面相じゃくりによる横目地と縦目地の両方を設けることで、彫りの深い本物の積みレンガを感じさせる重厚な外観を演出している。
 他にも特徴としては、中国で採れる特殊な粘土を原料としており、強度や対凍害性に優れている。
 一枚あたりの寸法は230ミリ×72ミリ×厚さ13ミリ、色は重厚感を演出した人気の色柄から昔ながらの赤レンガを演出した色柄など全4色揃っている。
 設計価格は、5550円/㎡(税別)で、下地代と工事費は別途。
 問い合わせは同社(江別市大麻96-39、Tel.011・387・5500)。



MS向け不凍散水栓
光合金 戸建用壁付タイプも開発

マンションのモデルルームに取り付けられた不凍散水栓
 (株)光合金製作所は、壁付けタイプの自動水抜き機構付き散水栓「バルコニー不凍散水栓」をマンションデベロッパーと共同開発、このほど札幌市豊平区で着工した日本グランデ(株)(札幌市、平野雅博社長)の分譲マンションに標準装備する。8月以降には一般発売する予定。
 日本グランデは、平成15年に設立されたばかりの新しい会社だが、大手デベロッパー出身の社長を中心に斬新な外観デザインや共用スペースに天然温泉の大浴場など新しいアイディアを織り込んだ分譲マンションを次々と企画しており、今後のマンションに必要な装備として光合金と共同でベランダ用散水栓を開発した。
 ガーデニング人気の高まりで、本州では分譲マンションのベランダに散水栓と洗い場を装備するのが一般的となっており、水やりからガーデニング用品の水洗いまで多用途に使われている。寒冷地である北海道でも同様の需要があるが、冬場だけでなく春秋でも朝夕は氷点下になることがあり、この時期は水抜き操作が必要になるためデベロッパー側では安全性を考えて装備していなかった。
 光合金では自動水抜き栓の技術を持っているが、従来の商品は管が垂直に立ち上がるタイプ。今回はマンションに壁付けする、管が地面と平行になるタイプでも自動水抜きできる技術を開発、日本グランデと共同で特許を申請している。蛇口を締める操作で自動的に水抜きが行われ、管内部の水は1、2秒で排出される。
 既にマンションデベロッパーや戸建住宅会社から問い合わせが相次いでおり、反応は上々だという。戸建住宅向けの壁付け散水栓も開発する意向で、なるべく早く発売にこぎ着けたいという。バルコニー不凍散水栓の設計価格は、3万5000円(税別)。
 問い合わせは光合金製作所本社(小樽市港町6-1、Tel.0134・32・2135)へ。

試読・購読はこちら

このページの先頭へ

運営サイト

株式会社北海道住宅新聞社
〒001-0029 札幌市北区北29条西4丁目2-1-201
tel.011-736-9811 fax.011-717-1770

当サイトで使用している写真およびテキストの無断転載を禁止します。

Copyright (c) 北海道住宅新聞社. All Rights Reserved.