200ミリ断熱の新築現場を見学する旭川支部の会員
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NPO法人新住協旭川支部(新濱壽男支部長、(有)新濱建設社長)では今年から外壁200ミリ断熱を推進、先月
24日、旭川市と近郊で支部会員向けに200ミリ断熱の現場見学会を実施した。同支部では昨年、Q1.0住宅として2棟の200ミリ断熱住宅を完成させ省エネルギー効果を検証する一方、現場の納まりと施工費の検討を進め、これらを踏まえて今年から支部全体で200ミリ断熱Q1.0住宅に取り組むことになった。
GW100ミリを外付加
旭川を中心とする道北地域は、真冬にはマイナス30℃も下回る日本でもっとも寒冷な地域であることに加え、冬場は降雪のため日射が期待できず、同じ寒冷地域でも冬場の日照率が高い道東・十勝などと比べパッシブソーラーによる暖房エネルギー削減もあまり期待できない。このため、暖房エネルギー消費を次世代省エネ基準比で2分の1から3分の1に低減するためには、外壁の断熱強化は避けて通ることができない。
増改築で200ミリ断熱を採用している現場
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同支部ではローコストで北欧並みの断熱性を確保するため、グラスウールによる200ミリ断熱で断熱強化に挑戦した。納まりは各社がこれからさまざまな方法で挑戦することになるが、今のところ充てん100ミリの外側に100ミリを付加する方法を採用している。
今年10数棟
当日は新築1棟と断熱改修1棟を見学。新築では外壁下地合板を張ったあと、合板の上から墨だしし、付加断熱材を施工する縦下地を仮留め。室内側からビスで合板と下地を留めつけている。
この現場は外装材が塩ビサイディングで軽量なことなどから、軸組の外側に付加断熱する場合はこの方法がやりやすいと大工も語っていた。
同支部では今年1年間で10数棟の200ミリ断熱住宅を計画。毎月開いている例会で会員がお互いの現場を見学し、納まりやコストなどについてさらに検討を進める。
200ミリ断熱を採用した外壁の納まり例
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超高断熱化の先導役に
同会の代表理事で室蘭工業大学教授の鎌田紀彦氏は、旭川の先進的な取り組みに「外壁200ミリ、300ミリ断熱をリーズナブルなコストで実現する方法は、このような挑戦から答えが出てくるはずだ。Q1.0住宅運動は省エネルギー性の高い住宅をより広く普及させるため、低コストがキーワードになるが、旭川については究極の超高断熱化を引っ張っていってほしい。躯体の高断熱化はその省エネ効果が建物が解体されるまで続く。長い目で見ればその投資は大きな意味がある」としている。
また、同会旭川支部の新濱支部長は「本物の省エネ住宅を旭川に根付かせるため、次世代省エネ基準の2分の1の暖房エネ消費を目指して頑張っていきたい。今までの高断熱化はコストがかかるイメージがあったが、ローコストでできればユーザーにも認められると思う」と話している。 |