平成18年6月15日号から
外壁200ミリ断熱を推進
NPO新住協旭川支部 Q1に地域特性踏まえ

200ミリ断熱の新築現場を見学する旭川支部の会員
 NPO法人新住協旭川支部(新濱壽男支部長、(有)新濱建設社長)では今年から外壁200ミリ断熱を推進、先月 24日、旭川市と近郊で支部会員向けに200ミリ断熱の現場見学会を実施した。同支部では昨年、Q1.0住宅として2棟の200ミリ断熱住宅を完成させ省エネルギー効果を検証する一方、現場の納まりと施工費の検討を進め、これらを踏まえて今年から支部全体で200ミリ断熱Q1.0住宅に取り組むことになった。

GW100ミリを外付加
 旭川を中心とする道北地域は、真冬にはマイナス30℃も下回る日本でもっとも寒冷な地域であることに加え、冬場は降雪のため日射が期待できず、同じ寒冷地域でも冬場の日照率が高い道東・十勝などと比べパッシブソーラーによる暖房エネルギー削減もあまり期待できない。このため、暖房エネルギー消費を次世代省エネ基準比で2分の1から3分の1に低減するためには、外壁の断熱強化は避けて通ることができない。

増改築で200ミリ断熱を採用している現場
 同支部ではローコストで北欧並みの断熱性を確保するため、グラスウールによる200ミリ断熱で断熱強化に挑戦した。納まりは各社がこれからさまざまな方法で挑戦することになるが、今のところ充てん100ミリの外側に100ミリを付加する方法を採用している。

今年10数棟
 当日は新築1棟と断熱改修1棟を見学。新築では外壁下地合板を張ったあと、合板の上から墨だしし、付加断熱材を施工する縦下地を仮留め。室内側からビスで合板と下地を留めつけている。
 この現場は外装材が塩ビサイディングで軽量なことなどから、軸組の外側に付加断熱する場合はこの方法がやりやすいと大工も語っていた。
 同支部では今年1年間で10数棟の200ミリ断熱住宅を計画。毎月開いている例会で会員がお互いの現場を見学し、納まりやコストなどについてさらに検討を進める。


200ミリ断熱を採用した外壁の納まり例
超高断熱化の先導役に
 同会の代表理事で室蘭工業大学教授の鎌田紀彦氏は、旭川の先進的な取り組みに「外壁200ミリ、300ミリ断熱をリーズナブルなコストで実現する方法は、このような挑戦から答えが出てくるはずだ。Q1.0住宅運動は省エネルギー性の高い住宅をより広く普及させるため、低コストがキーワードになるが、旭川については究極の超高断熱化を引っ張っていってほしい。躯体の高断熱化はその省エネ効果が建物が解体されるまで続く。長い目で見ればその投資は大きな意味がある」としている。
 また、同会旭川支部の新濱支部長は「本物の省エネ住宅を旭川に根付かせるため、次世代省エネ基準の2分の1の暖房エネ消費を目指して頑張っていきたい。今までの高断熱化はコストがかかるイメージがあったが、ローコストでできればユーザーにも認められると思う」と話している。



いわて型環境共生住宅
新築部門で大賞受賞
岩手ハウスサービス ウレタン外張り電化住宅

新築部門で大賞を受賞した住宅
 (有)岩手ハウスサービス(岩手県盛岡市、安藤敏樹社長)では、岩手県が主催している「平成17年度いわて省エネ・新エネ住宅大賞(みんなで創るいわて型環境共生住宅)」の新築部門で大賞を受賞。県産材の採用や、県内における高い省エネ性能などが高い評価を受けた。

新築部門で大賞を受賞した住宅
 寒冷地である岩手県も北海道と同様、住宅で消費するエネルギーのうち暖房エネルギーの割合が高く、地球温暖化への対応や資源の有効活用などから、省エネ化を目指した取り組みが住まいづくりにも求められていることを背景に、県ではいわて省エネ・新エネ住宅大賞を平成15年度に創設。地球環境の保全、周辺環境との親和性、居住環境の健康・快適性という考えを取り入れ、エネルギーを有効活用しながら生活の工夫に優れている住宅を表彰しており、今年の4月には平成17年度の入選作の表彰式が県庁で行われた。
 大賞を受賞した住宅は、在来木造工法で延床面積26.6坪の平屋建て。蓄熱暖房システムを採用したオール電化住宅で、換気は第3種セントラル換気システム。相当隙間面積は0.15/m2、換気回数は0.5回/h。
 断熱仕様は、基礎・硬質ウレタン50ミリ、外壁・硬質ウレタン50ミリ、屋根・硬質ウレタン90ミリの外断熱。サッシは全て木製トリプルLow―Eアルゴンガス入り。夏の日射しを遮るため軒の出や庇を工夫するとともに、冬の日差しを多く取得できるように窓の配置を考えている。この住宅の熱損失係数は 1.23W/m2・K。
 構造材には地元の岩手産カラマツ集成材、間柱、胴縁、貫などには地元の赤松を採用するなど、積極的に地場材を使用している。
 同社の安藤社長は「このような賞を受賞できたのは、家づくりに対する取り組みや考え方が正しかったからだと思う。金属瓦やレンガを使い、メンテナンスフリーの外装としたこともお客様から大変満足してもらっている」と話している。



抜群の防水・施工性
タイガー産業 パッキン使う窓廻り防水

巻き込み分を残してタイベックを切り取り、防水・気密パッキンを下→横→上の順に重ねながら施工、サッシのツバからはみ出るように
 (株)タイガー産業ではこのほど、窓廻りの防水材として極めて高い水密性能が確認された防水・気密パッキンを開発、「スマート工法」と名づけて販売を開始した。
 スマート工法は、タイベックのほか、経年劣化に強い塩ビ素材の発泡パッキンと、防水・気密テープを使うことで台風時でも水密性を保持するもの。
 施工法は、タイベックを張ってから開口部を切り抜き室内側に巻き込む。防水・気密パッキンを外壁下地面に貼り、その上からサッシを取り付けてツバをテープ止めするというもの。
 ポイントになるパッキンは、水密性の高い独立気泡の塩ビ樹脂パッキンで、厚さは3・2ミリ。これをサッシのツバからはみ出るように、タイベックの上に貼る。ツバに隠れるように貼るよりも防水性が上がるほか施工確認ができるなどメリットが多いという。
 道立北方建築総合研究所で行った水密性試験では、防水・気密テープを使わずにタイベックとパッキンだけで台風並みの750paの圧力をかけてもにじみ出しがなかった。
 同社ではこの結果に自信を深め、施工性の良さと施工ミスの少ないパッキン工法をPRすることにした。
 防水・気密パッキンは30ミリ幅と40ミリ幅を用意し、長さ30メートル7巻入りで設計価格が2万4500円(30ミリ幅・税別)。7巻でだいたい戸建て1棟分の使用量となる。
 資料請求は同社へ(札幌市白石区栄通14丁目、Tel.011・851・3711)。




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