平成18年4月5日号から
動的耐震診断を全棟実施
秋田・秋田ホーム

人工的に地震を発生させる水平起振機
 (株)秋田ホーム(本社秋田県大館市、嶋内善道社長)では、実際の住宅に小さな人工地震を発生させ、その振動波形を計測・解析してどの程度の震度まで安全かを推測する動的耐震診断を、今後着工する全ての住宅で実施する。診断結果をまとめた耐震診断証明書をユーザーに渡すことで、自社の住宅の安全性をよりわかやすくユーザーに示す考えで、先月22日には報道機関向けに秋田市内の施工中の住宅で動的耐震診断の様子を公開した。

実際に建物揺らす
 秋田ホームが行う動的耐震診断は、建物の2階に設置した水平起振機によって震度2以下の人工地震を発生させ、その振動波形を地震計で受けて数値解析を行い、東西南北面それぞれの耐震性能を求めるもの。住宅の地盤調査を専業とする住宅地盤技術研究所(本社秋田県秋田市、田代義曠社長)が今年2月に導入した動的耐震診断システムを採用した。
 揺れやすい建物かどうか、揺れ方のバランスはどうかといったデータから東西南北の壁面がどれだけ傾くかを示す変位量を推計し、どの程度の震度及び加速度(ガル)まで安全かどの程度の震度及び加速度になると構造体が損傷を受ける可能性があるかなどを表示する。

今回、動的耐震診断を公開した秋田市内の住宅
 耐震診断は、一般的に図面のチェックや目視による簡易耐震診断と精密耐震診断があるが、判定結果は「一応安全です」「倒壊の危険あり」など抽象的で、精密耐震診断では床下や小屋裏に入ったり、図面のデータをパソコンに入力していると1、2日はかかり、1軒あたりの費用は20~30万円になる。一方、動的耐震診断は具体的に東西南北の各面ごとどのくらいの震度及び加速度まで安全かがわかるうえ、現場での計測は1時間程度で終わるので、費用は精密耐震診断のほぼ半額で済むという。

ユーザーに安心提供
 秋田ホームでは、年間35~40棟のツーバイフォー住宅を建設しているが、欠陥住宅や耐震偽装などが大きな社会問題となる中、ユーザーに安心を提供するためには、自社のツーバイフォー住宅の実際の耐震性能を示すことが必要と考え、住宅地盤技術研究所と業務提携し、動的耐震診断を全ての新築住宅に採用。診断にかかる費用は安心サービスの一環として自社で負担する。リフォーム物件もユーザーの要望に応じて、12万円(地盤調査含む場合は15万円)で実施する。

動的耐震診断の解析結果(一部抜粋)。どの程度の地震まで安全かがわかりやすく示されている
 なお、先月22日に動的耐震診断を公開した現場は、ツーバイフォー工法による延床面積82.80m2の2階建て。計測結果によると、東西南北各面全てが阪神・淡路大震災で記録した加速度・818ガルを上回る900ガル以上の地震に対しても安全性が高いことが確認された。
 秋田ホームの嶋内社長は「安心サービスの一環として動的耐震診断を採用したが、どの程度の地震まで安全かがわかるのでユーザーが理解しやすく、住宅のどの面が弱く、どの程度の地震で損傷するかも示すことができるので、実施するメリットは大きい。新築はもちろん、リフォームでも工事前に実施することで正確な耐震補強が可能になる」と話している。(解説記事は本誌で)


TVOCを大幅減
玄々化学工業 健康性を追求した水性塗料

草花の色のような渋めのエレガント(壁・クロス用色見本)
 玄々化学工業(株)は、住宅の内外装に使う塗料のTVOC(揮発性有機化合物の総量)を大幅に減らした次世代型水性塗料「eLF(エルフ)」シリーズをこのほど発売した。従来のF☆☆☆☆対応塗料では健康住宅対策に不安があるエンドユーザーや、人体への高い安全性を求める医療・福祉施設、学校などでの採用を働きかけていく。
 F☆☆☆☆対応塗料はホルムアルデヒドの放散量が最低レベルであることを意味しているが、塗料の場合問題になるのは溶剤として含まれるトルエン・キシレンなどの揮発性の高い有機化合物。
 そこで塗料メーカーは、トルエン・キシレンを含め厚生労働省が指針値を定めた13物質を含まない水性塗料を開発した。しかし、13物質以外のVOC物質については規制がなかった。
 玄々化学工業では、この13物質以外のVOC使用による健康リスクも減らすため、溶剤を常温では揮発しない高沸点タイプの非VOC溶剤に代替することなどでVOC総量(=TVOC)を全体の1%以下に抑えた。また、VOC含有量を抑えたことでエコマーク認定も取得、文部科学省が定める学校環境衛生基準適合品。
 エルフシリーズは、室内木部仕上げやフロア用だけでなく、屋外や壁・クロス用もラインナップしている。

壁・クロス用のeLF(4キログラム缶)
 なかでも壁・クロス用は塗膜上からマイナスイオンを発生する効果がある。既存クロス上に同塗料を塗ることで貼り替えに比べて廃棄物を減らせる。コンクリートやモルタル、石膏ボードなどにも直接塗ることができる。塗装は2度塗りでクロス以外に塗る場合はシーラー処理が必要。
 色はあざやかなビビッド、自然を連想する緑・青系中心のクラシック、四季の草花を連想させる赤・茶系中心のエレガント、淡い色から用意されたブリリアンスとドレッシー、白系のネオホワイトの6種類に分かれ、それぞれ16~60色の見本が用意されている。
 このほか、フロアー用はつやありで滑りにくい特性を持っており、学校の体育館など不特定多数の人が使う場所でも塗膜が摩耗しにくい耐久性がある。木部内装用はつやあり、半つや消し、つや消しの3タイプ用意。エクステカラーは撥水、防カビ機能などがあり、室内外に塗装するログ材用にも適している。
 発売元の(株)栄興では、「凍結防止や養生期間を考えると施工時の温度は5℃以上という条件が付くが、つやあり仕上げなど自然塗料ではカバーしにくかったニーズやより安全性を求めるニーズに応える塗料としてじっくり売っていきたい」と話している。
 価格など問い合わせは同社(北広島市白樺町1丁目8-5、Tel.011・373・4031)へ。



木造戸建住宅復活の道・その1
「e-家」に住みたい-に込めた思い
(株)北海道住宅新聞社 会長 白井 丞
 木造住宅はこの20年間で、冬の生活は従来の個別暖房の灯油消費量で全室暖かく暮らせるようになり、持家はヨーロッパ並みに大型化しました。しかし、快適性は設備機器・建材に依存する部分が大きく、住宅トータルとしては新たな課題や矛盾が生じています。不振を続けている木造戸建住宅の復活のカギは、それらの改善にあるのではないでしょうか。
 昨年11月、そうした思いを込めて、消費者の目線で『「e-家」に住みたい』を出版しました。今回から数回、住宅不況の背景と木造戸建住宅が抱えている課題や対策などのポイントを特集します。

技術は世界水準に
  省エネルギー住宅の始まりは1973年、昭和48年の第一次オイルショックを契機に本格化し、1984年、昭和59年からは当時の部分暖房の灯油消費量で家中が暖かくなる省エネ全室暖房住宅を目指した高断熱・高気密工法の開発が、工務店同志の手によって始まり、今ではその理論も施工技術も手本としてきた北欧・北米に比べて遜色がないレベルに達しています。断熱水準も先進国並みとはいかないまでも、国の次世代省エネ基準レベルが一般化しつつあります。この間、およそ20年で世界レベルの技術に達したと言えると思います。
 そして昨年からは、一段と省エネ性の高い超高断熱住宅の建設が始まり、それによって暖房用エネルギーを国の次世代省エネ基準レベルの灯油消費量の半分以下、年間500~600台に収め、暖房費のさらなる低減、二酸化炭素排出量の削減による地球に優しい住まいを目指した取り組みが各地で行われています。世界的なオイル高騰というインパクトがユーザーの省エネに対する気持ちを後押しする幸運なスタートとなり、受注も比較的順調です。本格的な省エネ・地球に優しい住宅づくりの時代を迎えました。

外見は先進国並み
 ところで、最近の新築戸建住宅は冬暖かいばかりではなく、欧米から兎小屋といわれていた頃の住宅に比べ床面積は5割以上増えており、ストック住宅、中でも持家は西欧並みに達し、構造材の耐久性も以前の2~3倍に延びて、これまた欧米に匹敵するまでになり、使い勝手・室内環境も以前と比較にならないほど良くなりました。
 しかし、ここから少し耳の痛い話をさせてもらいます。冬暖かいという快適性は、長年寒さを辛抱してきた私達にとっては、この上ない喜びですが、それはすでに常識化しており、それがまた性能に対する新たな不満や不快を顕在化させ、構造材の長寿命化も実は住み続けるにはライフサイクルコストが高くつきすぎるなどの課題を抱えています。


札幌市中心部では依然マンションブームが続いている
持家の提案に新機軸が必要
 住み手のユーザーは、価値観が多様化し、家族形態が大きく変化し、それが住まいの利用の仕方の変化をもたらし、景気の長期低迷もあって、マイホーム取得を目指してきた時代から、「持つより借りる」という変化が見られるようになりました。木造アパートが比較的好調、そして賃貸マンションブームが続いています。借家は量的ばかりでなく質的にも向上しており、借家の規模は以前は先進国の半分程度でしたが、最近は西欧の7~8割までになりました。
 こうした中で、住宅建設の現状を見ますと、昨年は終盤の伸びもあって少し持ち直し、北海道も5年振りに5万戸台に回復しましたが、木造住宅の不振は続いており、中でも在来工法の戸建ては際立って不振が続いています。
 そのため、木造戸建て市場はデザインによる差別化とコストダウンという名の価格競争、住宅会社間では受注の好不調がハッキリしてきたという、いわゆる2極化が進んでいます。

比較的好調に推移している木造アパートの建設現場
 戸建て持家市場は時代の変化や新たなニーズに対応できていない一方、借家市場はマンションの都心回帰、総体的な質向上、住み替えが比較的自由なことなどが強みとなっています。
 しかし、各種調査では依然として持家指向は強く、アパート住まいはマイホームの予備軍であることに変わりないのです。供給側に多様化時代に合った変革が必要です。
 ポスト高断熱住宅として登場した超高断熱住宅は、今のところアドバンテージはありますが、オリジナリティーはありません。これからの新機軸が必要です。(続く)

屋根の剛性アップ
タナカ 高剛性なあおり止金物

たる木の左右どちらでも取付可能
 (株)タナカは、木造軸組工法の小屋組みでたる木を桁や棟木に固定する専用金物「ラフターロック」を発売した。
 かすがいやひねり金物などに比べ確実に固定できるため屋根面の剛性が増し、火打ち金物や火打ち梁を併用することで屋根面の合算床倍率を2・0倍程度に高めることが可能。逆に許容応力度計算などによって構造耐力上安全であることが確認できれば、火打ち金物や火打ち梁を省略することも可能で、設計の自由度が広がる。
 ラフターロックは、円形状のユニークな形の金物で、屋根勾配は3寸勾配から10寸勾配まで対応する。専用の角ビットビス8本で固定するため、施工性もアップしている。ある住宅会社と共同開発した商品で、共同で特許も取得している。
 同社では、「耐震偽装事件以降、ビルダーから高性能な金物に関する問い合わせが増えてきており、ラフターロックもZ金物のひねり金物等に比べると高価だが、屋根面で剛性がとれる安心感をアピールして普及につなげたい」と話している。
 価格など、問い合わせは同社札幌営業所(札幌市北区新琴似9条1丁目1-36、Tel.011・700・0100)へ。



超薄型のかど金物
カネシン ステンレス並みの耐食性

エーステンプレートⅡ-ZMの使用例
 (株)カネシンは、今月からエーステンプレートⅡ-ZMを発売する。同製品は柱と横架材、柱と土台の接合に使用するもので、Zマークかど金物(CP-T)または山形プレート(VP)同等品。
 現在販売中のDP-2エーステンプレートはステンレス製で、その強度と優れた耐食性を生かして0.6ミリという超薄型を実現、エンボス加工でビス頭が出ないので構造用合板やALC外壁材などを施工しやすい特徴がある。これに対し新発売のエーステンプレートⅡ-ZMは、ステンレスとほぼ同等の耐食性、強度を持つ特殊めっき鋼板『ZAM』(開発元・日新製鋼(株))を新たに採用、超薄型0.6ミリやビス穴のエンボス加工という特徴はそのままにコストダウンを実現した。なお、DP-2エーステンプレートも併売する。
 ZAMとは、日新製鋼が最新の溶融めっき鋼板として開発した新素材で、『亜鉛-アルミニウム-マグネシウム』という3層の優れためっき層を持ち、切断面が露出してもそこから錆が進行しにくい。まためっき層の硬度も従来のめっき鋼板よりも増している。取り付けには、付属の専用ビスを使用する。
 設計価格は80円/枚(税別)。問い合わせは、カネシンCSセンター(Tel.03・5671・1077)へ。

試読・購読はこちら

このページの先頭へ

運営サイト

株式会社北海道住宅新聞社
〒001-0029 札幌市北区北29条西4丁目2-1-201
tel.011-736-9811 fax.011-717-1770

当サイトで使用している写真およびテキストの無断転載を禁止します。

Copyright (c) 北海道住宅新聞社. All Rights Reserved.