フラット35利用者の平均像
項 目
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全国
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北海道
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年齢(歳)
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36.7 |
37.2 |
家族数(人)
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3.0 |
3.1 |
世帯年収(万円)
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681.8 |
686.0 |
住宅面積(㎡)
宅面積(㎡) 060125-HP.htm.0 |
100.1 |
126.1 |
主要資金額(万円)
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3545.4
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2751.0
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手持ち金
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912.4 |
660.6 |
公庫買取金
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2260.8
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1909.5
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その他公的機関
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11.2 |
25.7 |
民間金融機関
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323.1 |
124.1 |
勤務先 |
22.5 |
30.9 |
親・親戚・知人
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7.8 |
0.3 |
住宅取得後も返済を要する土地取得費の借入金
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7.5 |
0.0 |
1ヵ月当たり予定返済額(千円)
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104.4 |
85.3 |
返済負担率(%)
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19.4 |
16.8 |
住宅金融公庫「フラット35利用者調査報告」(17年度上半期編)より
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住宅は多くの人にとって一生に一度の大きな買い物で、頭金も一定額必要だ。しかし北海道では昔から「頭金の少ないお客」が多かった。そのため公庫融資で返済開始5年後から返済額が急増する「ゆとり返済」で多くの焦げ付きを生んだ。住宅ローンの主役は公庫から民間に移ったが、低所得層への融資課題は残っており、住宅市場低迷の一因ともなっている。
主役は3年固定型
フラット35利用は高年収
一般に若い人ほど、収入の低い人ほどフラット35のような長期・固定金利のローンが必要とされる。返済金額を最終支払い月まで確定できるため、転職などのリスクにも対応しやすいからだ。住宅ローンの主役が住宅金融公庫から民間金融機関に移り、公庫が証券化の仕組みを利用して民間の長期固定金利ローンを実現するフラット35は、全国平均で住宅ローンの9%、北海道に至ってはわずか4%台の利用にとどまっている。残りの大半は民間住宅ローン。中でも圧倒的に人気があるのが3年固定型ローンだそうだ。
フラット35の平均的な利用者像は、全国、北海道ともに平均年齢が37才前後で平均年収680万円台。北海道では高年収と言ってもいい層だ。市場の裾野を広げたい若くて年収の低い層は利用しにくいのが現実だ。
3年固定型のローン金利は、当初3年間は1.0%前後の低水準。しかしその後は変動金利になる。金利が上がれば返済額は当然上がり、半年ごとに金利が見直されるから、大げさに言えば3年先は支払額がどうなるかわからないリスクを背負っている。
一方で公庫の調査によると、これから住宅取得を予定している人はフラット35のような長期固定型の住宅ローンを望んでいる人が半数。希望と現実のギャップは大きい。
新築住宅の融資シェア推移(民間住宅ローン)
平成16年民間住宅ローン実態調査(国土交通省)より
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道内は頭金少ない
先日公庫が消費者代表や金融専門家、住宅会社などの有識者を招いて意見を聞いたところ、フラット35が支持されない背景として、「書類が多く、審査や資金実行も民間ローンに比べて遅い」という指摘があった。さらに金融専門家からは、「フラット35は8割までしか借りられないが、民間住宅ローンは諸費用含めて10割借りられるところが多く、頭金が不足しがちな道内の購入者を考えるとフラット35は勧めにくい」という指摘もあった。長期・固定金利の魅力あるフラット35も住宅会社や金融機関から見ると勧めにくい商品だ。
公庫のアンケート調査によると、道内ではローン選択の際に住宅会社を情報源とする人が約40%と多く、親族・知人の意見も約36%。これらは全国平均より10%近く多い。道内は身近な人の意見を参考にしているようだ。
それではローン利用者側が民間住宅ローンのリスクを正しく理解しているかと言えば、特約期間後の金利設定方法については多くの人が理解しているが、金利が上がった時に返済額を増加させても未払い利息が生じる可能性があるなどのリスクについては半数近くの人が理解していない。
住宅ローン予定者の希望する住宅ローンのタイプ
住宅金融公庫「住宅ローンに関するアンケート調査結果」(H17.8実施)より
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ビルダーは借り手の立場で
住宅ローンは、利用する人が自己責任で選ぶことが基本だが、住宅会社や金融機関も判断に必要な情報を提供することが必要だ。
健全な住宅市場育成のためには、利用者のライフプランも含めた資金計画をアドバイスすることが必要であり、これを住宅会社がやれば他社との差別化にもなる。営業トークの勉強も大事だが、こうした消費者の立場に立った専門的なアドバイスができる能力育成にも目を向けるべきでなかろうか。 |