平成17年8月5日号から
2×6に付加断熱
北見・大幸建設 標準仕様で差別化図る

ハイブリッド2×6の納まり図

 大幸建設(株)住宅事業部(本社北見市、佐々木護社長)では、2×6工法でグラスウール充てん断熱+グラスウールボード付加断熱により165ミリの壁断熱厚を実現した「ハイブリッド2×6」を昨年春から標準仕様化。厳寒のオホーツク地域で優れた快適性と省エネ性を提案することで、他社との差別化を図っている。

壁の断熱厚は165ミリ
充てん140ミリ+25ミリ外付加

 同社では8年ほど前から2×6工法で充てん断熱を標準仕様としていたが、ここ数年、オホーツク地域では外断熱工法を採用する住宅が増え、外断熱に対するユーザーのニーズも強くなっていたという。しかし、外断熱工法では高断熱化した場合に外壁の垂れ下がりが心配だったため、外張り断熱材を厚手化しなくても熱橋の解消が可能な付加断熱を検討。2×6充てん140ミリ断熱にグラスウールボード25ミリによる外張り付加をプラスして165ミリ断熱とすることにより、熱橋の解消と同時に2×6充てん断熱を上回る断熱性能を確保した。
 外壁部分は、2×6スタッド間に高性能グラスウール16K140ミリを充てんし、構造用合板の室外側に透湿・防風シート付きのグラスウールボード32K25ミリの3×9尺サイズを横張りしてジョイント部分を気密テープ処理。墨出しした後、通気胴縁を受ける樹脂製のスペーサーを455ミリピッチで入れ、通気胴縁を施工し、外装仕上げを行う。

燃費は従来比12%減
 同社の計算によると、壁の断熱性能は2×8充てん断熱や2×4充てん断熱+フェノールフォーム25外張り付加を上回り、年間暖房灯油消費量は従来の2×6充てん断熱より約12%削減できるという。付加断熱にかかるコストは、坪当たり1万円弱。他の断熱仕様は床がグラスウール24K200ミリ、天井がセルローズファイバー250ミリ、窓がPVCサッシアルゴンガス入りLow-Eペアガラスで、プランにもよるが住宅全体の熱損失係数(Q値)は1.3W/m2Kを切り、次世代基準の1.6Wを超えるレベルとなる。


北見市内に建てられたハイブリッド2×6のモデルハウス

 このほか、構造面では床鳴りの解消などを目的に1・2階とも床根太にTJIを455ミリピッチまたは303ミリピッチで施工。また、2階から1階に響く音対策として、2階床根太の下端に床根太と直交して胴縁を入れ、石こうボード9.5ミリを2層張りし、2階床合板とフロア材との間にプラスターボード12.5ミリを挟むなどの配慮を行っている。
 同社の佐々木雄一企画管理室長は「大工からは工事中でも以前の2×6充てん断熱とは暖さが違うという声を聞いており、体感上はずいぶん差があるようだ。今後は給気の冷たさの解消など換気も改良し、より快適性を高めていきたい」と話している。



台所にも警報器設置
札幌市 火災予防条例改正案を公表

全国の住宅火災による死者は増加傾向


札幌市のこんろ火災発生件数と住宅火災に占める割合
 札幌市消防局は、9月に予定している市議会への改正案提出を前に、札幌市火災予防条例の改正案を公表し、一般からの意見=パブリックコメントを広く募集している。改正案では、昨年6月の消防法改正ですべての住宅に設置が義務化された住宅用防災機器の具体的な設置基準について定めており、消防法では規定のない台所への住宅用防災機器の設置義務化がポイントとなっている。
 住宅用防災機器は、熱や煙を感知して警報音や音声で火災を伝える「住宅用火災警報器」と、熱や煙を感知する『感知器』とその信号を受け取って警報音や音声で火災を伝える『受信機』で構成する「住宅用火災報知設備」の2種類ある。消防法ではどちらかを取り付けることが求められている。
 火災警報器と火災報知設備の感知器部分の設置基準は同一で、普段就寝に使用している部屋と就寝に使用している部屋のある階の階段部分(1階は除く)、就寝に使用しない階で部屋数が5以上ある階の廊下に設置する。
 このほか札幌市では、火災発生の件数と負傷者数が全体の4分の1前後を占めている台所にも住宅用防災機器の設置を求めている。台所は調理の際に煙や水蒸気が発生しやすいことから通常の煙感知式のほかに熱感知式の機器設置も認める。なお、電気式のIHヒーターやラジエントヒーターなどの場合も設置対象となる。
 改正条例は9月の市議会に提出され、早ければ10月にも成立し、周知期間を経て来年6月1日から施行されるが、既築住宅はさらに移行期間としてその後2年以内に限って施行猶予する。また、対象となる住宅の種類は、戸建住宅、共同住宅以外に、店舗併用住宅の住宅部分や、雑居ビル等の住宅部分も義務化の対象となる。
 このほか、地下埋設型の家庭用灯油タンクで鋼板の腐食による漏えい事故が増えていることから、タンクの表面処理について防食性の高い処理方法を指定。また、燃料電池による発電設備を設置する際の安全を確保するため消防法の施行令が一部改正されたことを受け、火災予防条例にもその内容を盛り込んでいる。例えば燃料電池を屋外に設置する場合は原則として建物より3メートル離すこと、必要な技術・知識を有する者による定期点検、所轄消防署長への設置届けなどが求められている。なお、家庭用に多い小出力固体高分子型燃料電池の場合は、火災予防上安全な外箱に収納した場合、これらの条件は免除される。

左が壁掛け式煙感知器、右が天井取付型煙感知器
 札幌市消防局では、この改正案についてパブリックコメントを募集。住所、氏名を明記の上、電子メール・郵送・FAX・消防局予防課へ直接持参のいずれかで、8月9日までに提出する。郵送の場合は同日必着のこと)

今回の改正案についての概要
 http://www.city.sapporo.jp/shobo/SYOUBOU/pubcom/001yousi.html
 電子メール yobo.shobo@city.sapporo.jp


TJIタイプ一新
ウェアハウザージャパン フランジ幅など米国仕様に

写真は旧タイプのTJI。新タイプはフランジ幅が広がる
 ウェアハウザージャパン(株)は、I型複合梁の「TJI」のラインナップを大幅に見直し、9月発注分から全面的に新タイプに切り替える。価格は従来品と同等の予定。
 TJIは、主にツーバイフォー工法で従来の210、212などのディメンションランバーの代わりに使われるもので、乾燥による収縮などの寸法変化が少ないため施工後の床鳴りやクロス表面の亀裂などを抑え、クレームのほとんどない床組みを作ることができる材料として次第に支持を伸ばしてきた。10年ほど前からは日本国内向けに製造されているが、アメリカ本国向けとはフランジ幅も梁背も違うサイズで製造されていた。
 今回の見直しでフランジ幅をアメリカ本国向けと同一にし、またこれまで強度別で15DF、25DF、35DFと3種類だったバリエーションを110、210、230、360、560とネーミングを変え5種類に増やして幅広い用途にこたえる。110は従来の15DFクラスよりも強度が低い代わりに価格も下げて幅広い用途を想定している。フランジ幅は44ミリ。210は旧15DF相当でフランジ幅は38ミリから53ミリに広がる。230は旧25DF相当、360は旧35DF相当でどちらもフランジ幅は58ミリに広がる。両者は、フランジのつくりを変えることで強度差ができている。560はフランジ幅89ミリと広くして強度を増し、大型建築に対応できる。一方、フランジの厚みは各タイプとも38ミリから35ミリに若干薄くなる。
 梁背は235ミリ、286ミリ、356ミリのほか、アメリカ国内仕様と同一の241ミリ、302ミリもある。この2サイズは入手しやすくまた価格も若干安くなる予定だという。ラインナップ一新後も性能は変化ない。こうした変更で、金物は新サイズに対応した品が必要になる。
 アメリカでは空前の住宅景気が続いており、TJIのようなエンジニアリングウッドは品不足が伝えられているが、アメリカ本国向けの仕様と共通化した商品にすることで製造工程の合理化が図れ、従来よりも柔軟で安定した商品供給が望めるという。
 問い合わせは同社トラスジョイスト事業部(東京都港区北青山1丁目2-3、Tel.03・5772・4761)へ。


どこでも施錠確認
原田電子工業 様々な防犯・防災対策に

マスコットカバーがついた超高精度センサー、受信ユニット、アダプターがセットになっている
 原田電子工業(株)では、携帯電話を利用した鍵の施錠確認システム「スーパー・ドギー」を8月下旬頃に発売する予定だ。
 同社は、計測、制御機器・システムの開発を手がける道内の精密機器メーカーで、これまでに防衛庁向け航空機の非常時脱出用センサー、筋電制御義手、筋電計測などのセンサー応用システムを開発してきた。「スパー・ドギー」は一般家庭での防犯・防災・介護福祉利用を目的とした製品。これまでに培ってきたセンサー技術が活かされている。
 システムは、犬のマスコットカバーが付いた超高精度センサー部と受信ユニットで構成され、とてもシンプル。センサーが異常を発見すると受信ユニットに内蔵した携帯電話機能で登録した携帯電話に異常を知らせる。センサー部は国際特許出願中。超低消費電力型で内蔵電池は3年間交換不要。
 取付はセンサー部をサムターンの2~3センチほど上部にマジックテープで取り付け、受信ユニットの電源を家庭用のコンセントに差し込んで準備完了。受信ユニットに登録した携帯電話から電話をかけると、鍵がかかっているときは呼び出し音が鳴るが、鍵が開いていると通話中となる。また、留守中に鍵を開けられた場合、ケータイに知らせてくれる通知機能もついている。
 このほか、熱・振動・破壊を感知できるセンサーを追加することが可能で、窓ガラスの破壊、火災報知、老人の徘徊防止などさまざまな用途に利用することができる。
 価格は3万9900円(税込)。受信ユニットに内蔵した電話の基本料金が毎月1500円かかるが、施錠確認は通話料金がかからない。
 問い合わせは同社へ(札幌市中央区大通西15丁目2-1 ノヴァビル4F、Tel.011・644・0304)。

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