平成17年8月15日号から
古民家の古材再生
帯広・夢家建造 レトロモダンな新築に

懐かしい感じのする外観。外壁はモルタル仕上げ

 古材(こざい)にひかれその再生に力を入れている帯広市の(有)夢家建造・加藤義隆社長はこのほど、築80年の十勝管内の古民家を解体、その古材を使って同清水町にレトロな外観の新築住宅を建てた。古材の持つ魅力を少しでも多くの人に知ってもらい、心豊かな生活を送ってもらえればと建築コストをオリジナルの建具なども含めて坪50万円台のリーズナブルな価格に抑えている。

磨くほど魅力出る
 加藤社長は、大工として長年働き、15年ほど前に帯広市内の古民家を蕎麦屋にリフォームする際に初めて古材と向き合った。「何でこんなに固いんだ、と呆れつつ磨けば磨くほど魅力の出る古材に惹かれていった」という。その後本州で仕事をしながら、休みの日は、料亭やお城など、古い建物などを実際に見て回って研究した。
 十勝に戻って6、7年ほど前から古民家再生の仕事を始め、芽室町にある大正(笑)庵という手打ち蕎麦屋などを手がけた。これは更別村の民家を移築し、断熱改修などのリフォームを行ったもの。


キッチンはタイルやガラス玉の埋め込みなどでモダンな空間に

 今回建てた新築住宅は、20代の若い夫婦に子ども2人の4人家族が入居する。施主は古材に興味があり、これまで何度か古材を使った同社の現場に見に来ていた。
 外観は昭和30年代を思わせるレトロデザイン。住宅前に屋根付き車庫があるため、住宅全体が大きく見えるが、延床面積は36坪ほど。

 古材は見せることを意識して室内に露出する梁や柱などに限って使っている。2階の梁はカシワ、梁を支える5寸柱はナラ、階段部の梁はタモなど。また、外壁部の一部に使った柱は古材の5寸柱のため、100ミリ充てん断熱でも室内にチリが出てその柱だけ真壁となっている。
 内装は古材を見せながらもモダンな仕上げ。夫婦の寝室だけはクロス貼りでクローゼットドアはアクリルガラス入りの既製品を使用しているが、それ以外は塗り壁、タイル、木材、ガラスなどを使って温かみある仕上げにしている。壁面は石こうボード下地に本漆喰仕上げで、古材に見える床は、ツーバイ材を並べて塗装したもの。キッチンは既製品のキャビネットを使っているが天板はタイルと古材を使い、オリジナリティを出している。古材の天板は長く伸びており、ダイニングテーブルとしても使う。
 断熱は壁がグラスウール100ミリ充てん、屋根がウレタン断熱板を120ミリ。基礎断熱を利用して床下空間に放熱器を埋め込み、暖気は1階床のガラリから上がるようにしている。このほか、薪ストーブも設置して目に見える暖かさも確保した。


夢家建造の敷地内には古材が仮組みの状態でストックされている

ビルダーにも古材を販売
 同社では、事務所敷地内に次に建築予定あるいは移築予定の古民家を仮組みした状態でストックし、それ以外に細かったり傷みがひどかったりして通常ならば捨ててしまう古材でも何らかの形で活用できるよう工夫しているという。
 古民家は解体から請け負っており、解体した古材は一本単位で工務店や一般客に販売もしている。


LDK全体が吹き抜けで、2階ホールの子ども用空間がよく見える。白い装飾手摺は鉄製で地元制作品

 加藤社長は「古材は、昔の職人が手で製材した味わいと質の良い道産材を使った木目や質感が大きな魅力。樹齢何百年という木を使っているのだから、丁寧に使えば何百年も使えるはずで、産業廃棄物にしてしまうのは勿体ない。解体して古材を再利用するまでの手間を考えると大変だが、コストを消費者にそのまま上乗せするのではなく、古材の魅力や特性を理解して使ってみたいという消費者に求めやすい価格で提供したいと考えている」と話している。
 古材についての問い合わせは、同社(帯広市西22条北5丁目1、Tel.0155・37・0073(FAX兼用))へ。

 



炭で抗酸化環境に
石狩・榎本建設 ICAS工法で健康促進

バリアヘルスコートを壁・天井に塗装したICAS工法の体感ルーム。一般的にはバリアヘルスコートの上から通気性のあるクロスなどで仕上げる
 (株)住生活グループのリホームチェーンであるトステムホームウェル加盟店「ホームウェル北栄」を運営する榎本建設(株)(本社石狩市、榎本哲史社長)では、炭を利用して健康促進効果があると言われるマイナス帯電粒子が豊富な抗酸化環境を作り出すICAS(イオンコントロールアダプターシステム)工法を導入(製造元アーテック工房(株)・特許公開中)。6月には石狩市樽川のモデルハウスに同工法の体感ルームをオープンさせ、リフォームのほか新築でも積極的に普及を図っていく考えだ。
 現在の家の中の空気は、家電製品の増加によって電磁波などに含まれるプラス帯電粒子(プラスイオン)が20年前の3~4倍に増加、逆にマイナス帯電粒子(マイナスイオン)は約2分の1になっており、その結果、プラス帯電粒子の多い空気が呼吸で人体に取り込まれ、身体を酸化させて身体の免疫力を低下させる原因と考えられる。
 ぜんそく・アトピー性皮膚炎の子供や高血糖・不眠に悩む人が増えているのも、プラス帯電粒子の多い空気環境が原因と考えた同社は、身体の酸化を防ぎ、新陳代謝の促進や免疫力向上、精神安定効果などが期待できるマイナス帯電粒子が多い空気環境を作る方法として、トステムホームウェルで取り扱っているICAS工法に着目。健康的な室内環境の提案と同時に他社との差別化も考えて導入を決めた。



ICAS工法の仕組み
壁がマイナスに帯電
 ICAS工法は、室内壁面に塗装した木炭塗料・バリアヘルスコートの電気的特性を利用した室内空気質改善工法で、バリアヘルスコートの塗装表面をマイナスに帯電させることで空気中に存在するプラス帯電粒子を電気的な力で引き付け、室内空間をプラス帯電粒子の少ない(マイナス帯電粒子の多い)環境にする。また、バリアヘルスコート自体も調湿効果や電磁波吸収効果があり、VOCも発生しない特徴を持つ。
 アダプターは、地球の微弱な電気エネルギーをバリアヘルスコート塗装面へ供給する機器で、電気代などのランニングコストはかからず、メンテナンスも不要。アダプターからは3本のケーブルが出ており、最大3部屋まで電気エネルギーの供給が可能なほか、専用のアンテナを室外の風上側に設置して接続すれば、農作物などの育成にも効果があるという。

実験で体内バランスが改善
 ICAS工法で施工した体感ルームは、壁と天井をバリアヘルスコートで塗装しており、ユーザーに工法の説明を行うとともに、室内の空気質の変化を体感してもらうことを目的としている。
 なお、玉川大学工学部の実験結果によると、成人男女6人に激しい運動をさせた後、一般の部屋に入れたケースとICAS工法の部屋に入れたケースで、2時間経過後の血糖値と乳酸値を調べたところ、一般の部屋ではいずれも数値が上昇していたのに対し、ICAS工法の部屋ではいずれも数値が低下。ICAS工法による環境は体内バランスを改善させる効果が高いとしている。

地中に埋設したアダプター。地球の微弱な電気エネルギーをバリアヘルスコート塗装面に供給する
 施工費用は、広さ20m2の部屋で80万円から。
 同社の榎本社長は「子供のぜんそくやアトピーがひどくなった場合など、ICAS工法で室内空気質を改善することにより、症状が緩和されればと思う。体感ルームでICAS工法をより多くのユーザーに理解してもらい、積極的に健康性の高い住宅を提供していきたい」と話している。


アスベストの問答集
道環境生活部 住宅での注意点など解説
 道環境生活部環境室環境保全課では、このところ大きくクローズアップされているアスベストの用途や特性、自宅で使用されている場合の対策などをまとめた質疑応答集「Q&Aアスベスト(アスベスト問題に関するQ&A)」を作成。ホームページからダウンロード可能になっている。
住宅関連の主なQ&A
Q14 自宅の建材にアスベストは含まれていますか?

 非飛散性のアスベスト成形板で、屋根用のスレート、外壁サイディングなど、建材によっては含まれているものもあります。含まれているかどうかを知るには建築した工務店などにどのような建材を使ったかを聞き(メーカー、商品名等)、その建材メーカーに確認する必要があります。
 なお、非飛散性のアスベスト成形板は、通常の使用では健康に心配はないとされています。


Q16 自宅の建材中にアスベストが含まれている場合、除去のためのリフォームが必要ですか?
 アスベスト成形板の建材については、通常の生活をしている限り、除去の必要は全くありません。むしろ改造や解体を行う場合の方が十分な対策が必要です。
  なお、吹付けアスベストやアスベスト含有ロックウール吹付などで、剥離又は劣化が著しい場合については、除去や囲い込み処理などの対策工事の実施が望まれます。


Q36 大気汚染防止法の対象とならない一般住宅のリフォームや解体などで留意する点は?
 作業や排出物の処理が適正にできる業者を選定することが大切です。また、大気汚染防止法の「特定粉じん排出作業実施の届出(耐火建築物で延べ面積が500m2以上のもので吹付けアスベストの使用面積の合計が50m2以上であるものは届出要)」を要しない場合でも解体作業などでアスベストが飛散しないよう十分な対策が必要です。
 アスベスト含有建材を使用している建物を解体・改修する場合は、労働安全衛生法下の石綿障害予防規則(石綿則)の適用を受けますので、注意が必要です。
 この質疑応答集は、アスベストに関する39の質問に対する回答を掲載。アスベストが綿状の鉱物で、国内使用量の約80%は建築材料として使われており、飛散性のある含有建材と飛散性のない成形板に大別されること、じん肺や悪性中皮腫の原因になると言われ、肺ガンを起こす可能性があることなど、アスベストの物性・特性や健康被害から、自宅の建材にアスベストが含まれていた場合の健康への影響やリフォームによる除去の必要性の有無、一般住宅における解体やリフォームの注意点などを、39項目のQ&A形式で解説。
 例えば「Q15・自宅の建材中のアスベストはアスベスト関連疾患を発症させますか?」という問いに対しては、「屋根用スレートや外壁サイディングなどのアスベスト成形板は、アスベストとセメント等が固化されているため、改造や解体など、建材をつぶしたりしない限り、通常の生活をしているだけでは心配はありません。ただし、吹付けアスベストやアスベスト含有吹付けロックウール等は、劣化により空気中にアスベストが飛散する可能性があるので、注意が必要です」と答えており、ビルダーがユーザーから問い合わせがあった時にも参考になる内容だ。
 このほか、アスベストに関する道内や国の相談窓口、参考になるホームページ、分析・検査機関、石綿作業従事者等に対する健康診断や診療を実施している医療機関などの情報も掲載。
 問い合わせは道環境生活部環境室環境保全課(Tel.011・231・4111、内線26-261)へ。
ホームページ http://www.pref.hokkaido.jp/kseikatu/ks-kkhzn/contents/index.html

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