コーポラティブ方式で建てた場合のイメージパース
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道南・函館とその近郊の工務店有志で結成するe‐ハウジング函館(渋谷旭会長、渋谷建設(株)社長)では、遊休地をコーポラティブ方式で数世帯のコミュニティとして有効活用する計画を数年前から研究していたが、このほど函館の隣町、七飯町大川にある250坪ほどの遊休地をコーポラティブ方式で分譲し、4家族が暮らしていく提案プランを完成させ、セミナーなどを通じて希望者を募集する。
定期借地で負担軽減
今回の取り組みは、遊休地が多いという地域の事情を考慮した上で、一般的なミニ開発とは違うコミュニティづくりの開発方法を一般ユーザーや地主に知ってもらい、今後の家づくりの1つに加えてもらおうというもの。地場工務店ならではの豊かな暮らしのための地域に密着した提案だ。
函館地域が抱えている事情として、西部地区と呼ばれる函館山のふもとを中心に、建物に囲まれた中途半端な広さの遊休地が多く残っている。マンションなどの大きな建物を建てるには狭く、一戸建て住宅を建てるには広すぎて接道も悪く活用方法を見いだすことができない土地だ。多いときには8万人ほどいた西部地区の人口も今は3万人ほどにまで減っており、観光スポットとしての人気の一方で、地主側は買い手や借り手が見つからない土地を抱えたまま、税金だけを払い続けているのが現状だ。
このような状況の打開策として提案されたのがコーポラティブ方式による土地分譲。
コーポラティブ方式のメリットとして、1棟の住宅を建てるには広すぎる土地でも、3~4家族が集まり駐車スペースや歩行通路などを共有するなどの条件で、一つの敷地内にそれぞれが戸建住宅を建てて生活できれば、遊休地を活用していくことができる。
土地は定期借地権によって分譲。購入希望者は借地権の購入前からe‐ハウジング函館のメンバーを中心に同じく購入を希望している人たちと打ち合わせをしながら土地利用や建物計画をまとめていく。
定期借地権としたのは、地主側には固定収入があり、固定資産税などが軽減され、不動産譲渡による所得税が発生せず、50年後に土地が返却されるメリットが生まれる一方、建てる側も土地の取得に大金をかけずに土地を利用でき、予算が浮けばその分を建物の費用に回すこともできるメリットがある。
平面パースはユーザー募集時の参考プラン
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共通の趣味で集う
第1弾となる七飯町での取り組みは、ガーデニングライフを大きなテーマにすえ、自分たちの家で庭づくりを楽しみたいという人を対象に、募集広告や一般セミナーを開催する予定だ。
イメージプランについては、札幌でコーポラティブハウスに取り組んでいる(株)アトリエ・アクが行っている。250坪ほどの敷地に、4家族が30坪前後の戸建住宅を建て、駐車スペースや歩行通路を共有する。
渋谷会長は「地主と住む側の両方にメリットがあるコーポラティブ方式を通して、一般の一戸建てとはちょっと違ったライフスタイルを提案したい。今回の企画をぜひ成功させ、今後は西部地区でも展開してみたい。インフラが整備された西部地区で快適な生活を送ることができれば、わざわざベッドタウンに移り住む必要はない」と話している。
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