平成17年6月25日号から
地域に密着した提案
e-ハウジング函館 コーポラティブで土地分譲

コーポラティブ方式で建てた場合のイメージパース
 道南・函館とその近郊の工務店有志で結成するe‐ハウジング函館(渋谷旭会長、渋谷建設(株)社長)では、遊休地をコーポラティブ方式で数世帯のコミュニティとして有効活用する計画を数年前から研究していたが、このほど函館の隣町、七飯町大川にある250坪ほどの遊休地をコーポラティブ方式で分譲し、4家族が暮らしていく提案プランを完成させ、セミナーなどを通じて希望者を募集する。

定期借地で負担軽減
 今回の取り組みは、遊休地が多いという地域の事情を考慮した上で、一般的なミニ開発とは違うコミュニティづくりの開発方法を一般ユーザーや地主に知ってもらい、今後の家づくりの1つに加えてもらおうというもの。地場工務店ならではの豊かな暮らしのための地域に密着した提案だ。
 函館地域が抱えている事情として、西部地区と呼ばれる函館山のふもとを中心に、建物に囲まれた中途半端な広さの遊休地が多く残っている。マンションなどの大きな建物を建てるには狭く、一戸建て住宅を建てるには広すぎて接道も悪く活用方法を見いだすことができない土地だ。多いときには8万人ほどいた西部地区の人口も今は3万人ほどにまで減っており、観光スポットとしての人気の一方で、地主側は買い手や借り手が見つからない土地を抱えたまま、税金だけを払い続けているのが現状だ。
 このような状況の打開策として提案されたのがコーポラティブ方式による土地分譲。
 コーポラティブ方式のメリットとして、1棟の住宅を建てるには広すぎる土地でも、3~4家族が集まり駐車スペースや歩行通路などを共有するなどの条件で、一つの敷地内にそれぞれが戸建住宅を建てて生活できれば、遊休地を活用していくことができる。
 土地は定期借地権によって分譲。購入希望者は借地権の購入前からe‐ハウジング函館のメンバーを中心に同じく購入を希望している人たちと打ち合わせをしながら土地利用や建物計画をまとめていく。
 定期借地権としたのは、地主側には固定収入があり、固定資産税などが軽減され、不動産譲渡による所得税が発生せず、50年後に土地が返却されるメリットが生まれる一方、建てる側も土地の取得に大金をかけずに土地を利用でき、予算が浮けばその分を建物の費用に回すこともできるメリットがある。

平面パースはユーザー募集時の参考プラン
共通の趣味で集う
 第1弾となる七飯町での取り組みは、ガーデニングライフを大きなテーマにすえ、自分たちの家で庭づくりを楽しみたいという人を対象に、募集広告や一般セミナーを開催する予定だ。
 イメージプランについては、札幌でコーポラティブハウスに取り組んでいる(株)アトリエ・アクが行っている。250坪ほどの敷地に、4家族が30坪前後の戸建住宅を建て、駐車スペースや歩行通路を共有する。
 渋谷会長は「地主と住む側の両方にメリットがあるコーポラティブ方式を通して、一般の一戸建てとはちょっと違ったライフスタイルを提案したい。今回の企画をぜひ成功させ、今後は西部地区でも展開してみたい。インフラが整備された西部地区で快適な生活を送ることができれば、わざわざベッドタウンに移り住む必要はない」と話している。


ウッディ感覚のモデル
秋田・ノーザンホームビジョン コスト抑えたワンルーム構成

秋田杉羽目板張りの外観
 (有)ノーザンホームビジョン(秋田市、大原三宏社長)では先ごろ市内にウッディ感覚いっぱいのモデルハウスを建築、随時公開し多くの見学者が訪れている。
 ローコスト住宅が増える中、コストはできるだけ抑えながらウッディ感覚を大切にしようと延床31坪あまりで1LDK、居室の間仕切は一切なし。子供が大きくなったときは間仕切や増床ができる大きな吹き抜けのワンルーム構成だ。
 外壁と床材には地元秋田杉を利用。外壁は21ミリの厚ものを使い、出隅は役物を使わず突きつけで処理した。

室内は大きなワンルーム。徹底的に木を使い木を見せている
 一方室内の床はウレタンコートをかけ、軟らかい杉材を保護する同社としては初めての仕上げ。その他内装や構造材の多くは輸入材を使ってコストを抑制している。
 このほかオリジナルのキッチンや洗面など既製品にはないウッディ感覚の什器を製作した。
 断熱は新在来木造構法。外壁は高性能グラスウール16K100ミリに加えフェノールフォーム30ミリ付加のダブル断熱。屋根は構造を見せるため外断熱し、構造たる木と母屋の間にパインの羽目板を張りあげた。基礎は基礎断熱した床下に床暖ストーブの温水回路を外周壁に沿って配管し、補助暖房とする初めての取り組み。基礎断熱の外装は波板のスレートを塗装した。
 大原社長は「木にこだわりたいというかたに強くアピールできるモデルになったと思う。景気動向やローコスト住宅などで価格が厳しい時代でも木へのこだわりを捨てないユーザーに、性能・こだわり・価格で納得してもらえるようがんばった。また断熱・気密施工については大工任せにせず、必ず自分で施工する。これで性能が決まると思うと楽しい」と語っている。


床下の温水配管。布基礎廻りからの放熱に期待する

定額制リフォーム
札幌・トーリツ 次世代基準適合の断熱改修

ショールームに展示されている断熱改修のモデル

壁と天井の断熱・気密構成
 トーリツ(株)(本社・札幌市、田中利昭社長)では、次世代省エネ基準をクリアする断熱改修をメインに据えた戸建住宅向け定額制のリフォーム商品「ライズバリュー21」の販売をこの春から開始。それに伴い断熱改修や設備機器に関するリフォーム情報を発信するショールームを同市東区北43条東16丁目1-8に先月28日にオープンさせた。今後は築20~30年の住宅を対象とした断熱改修工事に力を入れていく考えだ。
 ショールーム内は断熱改修した構造体のサンプルや、外壁、キッチン、浴室を展示するなど、リフォームに関する情報を一般ユーザーへ提供する場所としている。
 主力商品として販売を開始したライズバリュー21は、古い住宅の断熱・気密性能を次世代省エネ基準以上に高めることを目的に、軸間断熱と外断熱を併用したダブル断熱工法が標準。工事着工前と工事中、そして完成時に気密測定を行い、性能を確認する。
 建物全体の断熱改修工事と外装材の張り替えをするマイチョイスと、これに加え設備機器や内装など全てをトータルリフォームするマイデザインの2パターンをラインナップ。
 マイチョイスは、既存外壁を撤去して窯業系サイディングに張替、玄関ドアを断熱ドアに、窓を樹脂サッシLow-Eペアガラスに変更。外壁の断熱は軸間に硬質ウレタンフォーム60ミリを吹き付け、フェノールフォーム20ミリを外張り。床下は硬質ウレタンフォーム60ミリ吹き付け、小屋裏は硬質ウレタンフォーム30ミリを吹き付けてからブローイング200ミリ。耐震補強を行うほか換気は第3種ダクトセントラル換気システムを装備。これらの工事で、価格は壁面積でm2当たり3万9000円。単価は工事が断熱改修と外壁更新に限られるため壁面積で算出する。
 一方、マイデザインの場合は、マイチョイスの工事に加えて設備機器や内装など全てのリフォームを行うメニューで、価格は床面積で坪当たり39万円。
 同社の田中社長は「古い住宅にはオーナー様の思い出がたくさん刻まれている。断熱・気密性能と耐震性能を新築並みに高めることができれば、解体せずに長く暮らしていただくことができる。定額制プランの安心感もポイントだ」と話している。


高い寸法安定性
ニットーボー東岩 塗り壁下地「シンボード」

シンボードを使った塗り壁工法
 ニットーボー東岩(株)ではきわめて寸法安定性の高い『シンボード(Xin BOARD)』を使った外壁塗り壁仕上げ工法を道内で試験施工、クラックが入りにくいことを確認して本格的に販売する。
 シンボードはラスモルタル工法に替わる塗り壁下地ボードで、特殊マグネシウムセメントに両側からガラスクロスを貼り付けた構成。寸法安定性がきわめて高いほか耐凍害性も高く、塗り壁の下地として最適という。
 ステンレスビスでピッチを守りながら躯体に止めつけ、目地にメッシュテープを貼り、上から防水プライマーを塗る。あとは下塗りと上塗りの2工程で仕上げる。
 仕上げの塗り壁材料を選ばないので、モルタルのほか樹脂系の塗料などでもよい。またタイル下地として使うこともできるので、タイルと塗り壁の混在する壁でも施工性は落ちない。
 初施工した左官業者によると、施工の難しい点もないほか、下地の安定性が高いのでクラックの心配もほとんどないといい、3ヵ月ほど前に施工した物件も乾燥クラックは一切入っておらず、ニットーボー東岩はこの結果に自信を深めている。
 製品は2タイプ。通常の塗り壁下地はシンボードライト、タイル下地はウェブシートと呼ばれる表面クロスを貼ったシンボードを使う。いずれも厚さは12ミリで3×6版。設計価格はシンボードライトが4400円/枚、シンボードが8500円/枚(税別)。材工価格でモルタルやほかのボード下地工法とじゅうぶん競争できるという。

仕上げは思いのまま。写真は塗り壁とタイル併用
 問い合わせは同社(札幌市白石区本通7丁目北都交通ビル、Tel.011・861・2101)。

試読・購読はこちら

このページの先頭へ

運営サイト

株式会社北海道住宅新聞社
〒001-0029 札幌市北区北29条西4丁目2-1-201
tel.011-736-9811 fax.011-717-1770

当サイトで使用している写真およびテキストの無断転載を禁止します。

Copyright (c) 北海道住宅新聞社. All Rights Reserved.