平成17年5月5日号から
代替化学物質に注意
林産試 VOC測定で高濃度の例も
37棟の住宅のVOC気中濃度測定結果(n.d.は測定不可を表す)
物質名
濃度(μg/ )
厚生労働省
指針値
(μg/ )
最小値
最大値
平均値
全測定部屋数の
うち指針値超過部屋数
ホルムアルデヒド
77
28
72部屋中0部屋 100
アセトアルデヒド
479
95
72部屋中42部屋 48
トルエン
530
72
72部屋中7部屋 260
エチルベンゼン
n.d.
93
18
72部屋中0部屋 3800
キシレン
1
143
21
72部屋中0部屋 870
ノナナール
n.d.
980
57
47部屋中6部屋 (41 継続検討物質)
エタノール
13
270
68

 
アセトン
15
690
100

 
メチルエチルケトン
n.d.
463
56
   
酢酸エチル
2
870
54
   
メチルイソブチルケトン
n.d.
230
26

 
酢酸ブチル
1
210
32
   
ノナン
n.d.
148
23
   
α-ピネン
n.d.
4600
481
   
デカン
n.d.
750
78
   
1,2,4-トリメチルベンゼン
n.d.
159
24
   
リモネン
2
140
45
   
ウンデカン
n.d.
890
165
   
※林産試験場の資料を一部編集


測定した住宅の気密測定値
 道立林産試験場では、先月21日に旭川市大雪クリスタルホールで「平成16年度北海道森づくり研究成果発表会」を開催。5つのテーマで行われたセッションのうち、シックハウス対策のセッションでは、昨年VOC測定を行った住宅はトルエン・キシレンに代わって塗料等の溶剤に使われている化学物質が高濃度になるケースがあること、また、ホルムアルデヒド放散量が多い材料と少ない材料を一緒に保管すると、放散量が少ない材料に放散量の多い材料のホルムアルデヒドが移ってしまうことなど、シックハウス対策としてまだ注意すべき点があることを同試験場のVOC対策プロジェクトチームが報告した。

ホルムは指針値未満
 同試験場のVOC対策プロジェクトチームは、住宅内の木製建材や家具類から放散されるVOCによる室内空気質への影響とその対策等について調査・研究を実施。今回の発表では性能部性能開発科の朝倉靖弘氏、同接着塗装科の伊佐治信一氏、技術部成形科の鈴木昌樹氏が研究報告を行い、企画指導部の石井誠氏がコーディネーターを務めた。
 まず最初に昨年行った住宅の空気質測定の結果を報告。測定したのは道内で建てられた新築未入居の37棟で、相当隙間面積は2cm2/m2以下。また、簡易的に測定した換気回数は浴室やトイレなどの局所換気を除いて0.5回/時より少し少ない0.4回/時程度の住宅が多くなっている。
 この調査によると、厚生労働省が指針値を定めている化学物質のうち、ホルムアルデヒドは指針値を超えた住宅が一軒もなく、建築基準法改正の効果が確認された。キシレン、エチルベンゼンも全ての住宅が指針値未満に収まっている。

新しい溶剤が目立つ
 ただ、アセトアルデヒドは72部屋中42部屋が指針値をオーバーしたほか、アセトンや酢酸エチル、酢酸ブチルなど、これまで塗料や接着剤の溶剤として使われていたトルエンの代替物質が比較的高濃度となるケースがあることが明らかになった。これら代替物質は今のところ規制も指針値もないが、今後、人体への影響も含めて注意深く見ていく必要があるとしている。

材料接触で汚染も
 また、ホルムアルデヒド対策が行われていない材料や古い材料と、低ホルムアルデヒドの材料を一緒に保管した場合、材料間でどれだけホルムアルデヒドの移動・再放散があるのかを調べるため、F☆☆☆☆ランクの木質材料・建材にホルムアルデヒドを吸着させる試験と、F☆☆☆☆ランクの合板とF☆☆☆ランクのMDFを重ねて1ヵ月間保管する試験を実施。VOC濃度の高い空間にF☆☆☆☆ランクの材料を置いたり、F☆☆☆☆ランクの材料を使っている家具と古い家具を一緒に保管したりする場合がこれらの実験に該当する。
 その結果、F☆☆☆☆ランクの木質材料・建材にホルムアルデヒドを吸着させる試験では、カラマツ、フローリング(塗装面)、石膏ボード、OSB、ラワン合板のうち、特にラワン合板と石膏ボードの吸着量が多いことが判明。F☆☆☆☆ランクの合板とF☆☆☆ランクのMDFを重ねて1ヵ月間保管する試験では合板から放散されるホルムアルデヒド濃度が約3倍に上昇するなど、ホルムアルデヒド放散量の多い材料と少ない材料を一緒に保管すると、放散量の少ない材料が汚染される可能性があることが明らかになった。
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会場では最新のシックハウス情報に、多くの参加者が熱心に耳を傾けた
 なお、F☆☆☆ランクのMDFに重ねた合板のホルムアルデヒド濃度は、換気回数0.5回/時で約3週間、同1.0回/時で1週間養生すると、元の濃度に戻ることが、ホルムアルデヒドの再放散試験でわかっている。
 このほか、水、カテキン・キトサン、微生物・酵素、尿素、ヒドラジド化合物をそれぞれ利用した市販のホルムアルデヒド吸着・分解材料の性能も検証。この中ではヒドラジド化合物と尿素を利用した材料の効果が高かったが、吸着・分解材料はあくまで緊急避難的なものであり、塗布するタイプのものは一度塗っても1年後には効果が薄れてくるため、定期的に塗布する必要があるとしている。

ホルムアルデヒド発生源から放散されるホルムアルデヒドの
F☆☆☆☆建材等への吸着量

各種ホルムアルデヒド吸着剤の効果(デシケーター法で測定)

内外装に樹脂塗料会
北見・エボホームオオヒラ クラックに強くメンテ容易

NSアートパレで外装仕上げを行った現場
 エボホームオオヒラ(有)(北見市、大平邦夫社長)では、モルタルと同等の意匠を実現でき、クラックも入りづらいシリコーン変性アクリル樹脂系意匠塗材「NSアートパレ」(日本化成(株)製)を2年前から外装仕上げに採用。今年は施工する全棟の外装仕上げのほか、内装の一部にも採用していく考えだ。
 同社ではこれまで、サイディングの凍害やコーキング切れを不安に感じるユーザーに対しモルタルを勧めていたが、クラックが入りづらく、メンテナンス負担のない材料として、2年前にNSアートパレを初めて施工したところ軽量で非常に弾力性があり、顔料が材料に含まれていて再塗装などの手間もかからないことから、モルタルに代わり採用するようになったという。
 外壁での施工は、通気胴縁となる24ミリ×45ミリの桟木の上に面張力が強くたわみにくい防水紙一体型のラスを張り、専用の特殊軽量モルタルを塗ってファイバーメッシュをふせ込み、再び専用モルタルを塗って16ミリ前後の下地を造る。次に専用シーラーを下地に塗った後、NSアートパレを2度塗りして7ミリ前後の厚さで仕上げる。
 仕上げはコテやローラーを使って様々な意匠を付けることができ、ほぼどんな色にも対応可能。ただ、色は一度施工すると簡単に再塗装で変えることができないため、慎重に決める必要があるとのこと。

和室の下地に直塗り
 また、同社では現在施工中の物件で、初めて室内にもNSアートパレを採用した。施工したのは和室で、内装下地の石膏ボードの上から直接NSアートパレを2度塗りしている。
 内装仕上げで和の雰囲気を出す場合、珪藻土という選択肢もあるが、施工状態によっては珪藻土の粉末が床に落ちたり、服に粉が付いて汚れたりすることがある。しかし、NSアートパレであれば、調湿などの機能はないものの、珪藻土と変わらない意匠を作り出すことが可能で、床が汚れることもないため、ユーザーにも提案しやすいと同社では考えている。
 施工価格はユーザーへの見積りで外装が約7000円/m2、内装が約4500円/m2。外装は以前行っていたモルタル仕上げの場合、耐水コンパネを下地に使い、塗装も必要だったが、NSアートパレはいずれも不要となるため、コスト的にはモルタル仕上げと同等だという。
 同社の大平社長は「NSアートパレは最初に施工してからまだ2年ほどだが、これまでクラックが入った物件は一つもなく、ユーザーの評判もいい。サイディングとうまく差別化できたと思う。今後は室内での施工をもっと考えていきたい」と話している。


モルタルと変わらない意匠を実現することができる

特殊軽量モルタルで下地を造っているところ

製品プロフィール
製品名 NSアートパレ
部位等 外壁等
価格 問い合わせのこと
問い合わせ 日本化成(株)札幌営業所
札幌市白石区東札幌三条5-3-8-501
011-823-3001
[Home page]

小住宅向け天井扇
キョーワナスタ 浴室、トイレなど3ヵ所排気

KS-TV100UL
 (株)キョーワナスタではアパート・マンションなど小規模住宅を対象とした天井扇タイプのダクト式第三種換気を提案、天井扇換気ユニットを2タイプ発売した。これから本格的な提案営業活動を開始する。
 ワンルームマンション対応の1ヵ所排気タイプと2~3LDK程度まで対応する3ヵ所排気タイプがあり、3ヵ所排気タイプのKS-TV100ULは、浴室に設置して浴室換気を行うほか、トイレともう1ヵ所の合計3ヵ所から汚染空気を常時換気する。レンジフード以外の局所換気扇は必要なく、コストを抑えながら安定したダクト換気が行える。
 同社のモデルプランでは、およそ16坪の2LDKマンションに設置し、浴室・トイレ・廊下の3ヵ所から排気、給気は個室とリビングから行い、換気量は弱運転で87、強運転で135/hを確保できる。
 いずれのタイプも消費電力の少ないDCモーターを採用。また給気レジスターは花粉除去フィルターやマイナスイオン発生パネルなど付加機能を加えた角形のKS-V20R、フードは強風時の雨や風の吹き込みを防ぎ高層マンションにも対応できるKS-V10FSを組み合わせる。
 天井扇ユニットはオープン価格。モデルプランは天井扇のほか、フード×4、排気グリル×2、角形レジスター×3で9万4300円(税別、ダクト含まず)。 問い合わせは同社各支店へ(札幌=Tel.011・741・2250)。


独自の形状で制震
YSE 取り付け簡単な補強金物

小回りがきくグレートホルダー6型
 (株)YSEでは、柱・梁といった構造体に取り付け耐震性能を高める耐震補強金物「グレートホルダー」の販売をこのほど開始した。日本全土で地震の発生が増えるなか、リフォーム時の耐震改修を主な対象に販売していく。
 グレートホルダーは「制震・求震」をうたう補強金物。軸組の接合箇所であればどこでも取り付けでき、上下左右の揺れに対して、弾力性を生かして吸収・復元力を高め、構造体への影響を軽減するという。金物は耐久性と耐腐食性に優れ、柔軟性と剛性に優れた特殊鋼を採用している。
 床下や小屋裏などどこにでも取り付けることが可能で、筋交いや火打ちとして使えるタイプもある。
 取り付け箇所によって形が異なるグレートホルダーは全部で1~6型まであり、なかでも小回りがきく6型のサイズは長さ300×幅50×高さ45ミリ。価格はオープン。
 問い合わせは同社(札幌市中央区北1条西26丁目2-22、Tel.011・633・1101)まで。

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