平成17年5月15日号から
Q1住宅を一般公開
札幌・STV興発 次世代基準比で約5割削減

南西面の大きな開口部が特徴的な外観。鋼板外装で冷たくなりがちな印象を木の羽目板で和らげた


外張りダブル断熱材のフェノールフォームを施工。桟材を入れずに全面張りとし、断熱パネルビスで躯体に止めつけた
 STV興発(株)(札幌市、北島壽一社長)では、ゴールデンウィーク期間中の6日間、石狩市樽川の明乳パストラルシティーで、新住協が昨年から提唱しているQ1.0(キューワン)住宅のモデルハウス完成現場見学会を開催した。

第三種換気で挑戦
 同社が加盟する新住協(NPO法人新木造住宅技術研究協議会)では、代表理事で室蘭工業大学教授の鎌田紀彦氏が、昨年から暖房にかかる灯油消費量を次世代省エネ基準レベルの半分に減らすキューワン住宅を提唱。会員工務店が鎌田教授のもと勉強会を重ね、今年、全道各地にキューワン住宅を建設することになっており、モデルハウスは第1号。

基礎と壁体のカットモデル。基礎断熱は内外両側で断熱性能を稼ぐ。壁は150ミリの高断熱仕様。このほか屋根のカットモデルや主な使用建材類も展示している
 キューワンとは、熱損失係数(Q値)1Wを合言葉に、灯油消費量を半減しようという取り組みで、省エネ・経済性の追求とともにCO2排出量を削減することで地球環境を守っていこうというもの。
 建物は延床面積がおよそ47坪の新在来木造構法による2階建て。外観は1、2階ともに角波鋼板を張り、カーポートの一部分とポーチには無機質感を和らげる羽目板・塗装仕上げとした。
 キューワンの仕様は、基礎断熱=外側に押出スチレンフォームB3種100ミリ+内側に同20ミリ、外壁=高性能グラスウール16K100ミリ充てん+フェノ
ールフォーム50ミリ外張り(ダブル断熱)、屋根=高性能ロックウール330ミリを吹き込み。
 開口部は日射熱取得が期待できる南東、南西面がアルゴン・Low-EペアのPVCサッシ、そのほかは木製の超高断熱トリプルガラスサッシとし、ほとんどの開口部に断熱効果があるハニカムサーモスクリーン(販売元、セイキ総業(株))を採用。換気は第三種ダクト式セントラル、暖房は灯油温水セントラル。
 南西面はQ値計算上は不利になる大きな開口部を設け、日射熱取得と同時に開放感を演出。冬の夜や夏の間はハニカムサーモスクリーンで冷気や熱気を抑える。
 これらの仕様で熱損失係数は1・18W。暖房にかかる灯油消費量のシミュレーションは、次世代省エネ基準レベルの1704リットルに対し944リットル、およそ45%削減という大幅な省エネ化となる。
 なお、相当隙間面積は0.22/m2。このほかホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレンのVOC5物質も測定、すべて指針値をクリアしている。
 モデルハウス内にはキューワンの意味や断熱構造のカットモデル、Q値計算書などを展示し、ユーザーの関心も思いのほか高かったという。


シンプルな間取りとインテリア。窓に付いている乳白色の障子がハニカムサーモスクリーン
今後の断熱設計の指針 北島社長
 室内はシンプルモダンをテーマに、幅広い年代層に受け入れられやすい間取りとインテリアがポイント。1階は、玄関の隣にシューズクロークを設け、米ヒバの浴室からガラス越しに眺めることができるインナーテラスを配置。リビングダイニングと対面式キッチンは23帖の広々した空間で、一部を吹き抜けとした天井の大きな開口部が開放感を演出。
 同社の北島社長は「熱損失だけを考えれば、窓を小さくした方が有利だ。しかし大きな窓は北国に暮らすものにとって1つのあこがれ。太陽熱取得の面でも有利になる。今回はモデルハウスということもあり、あえて不利な条件に挑戦してみた。熱回収を行わない第三種換気でも灯油消費量を45%削減できることがわかり、今後の断熱設計の指針になる」としている。

地下室の可能性PR
小樽・トベックス シアタールームなどに利用

音が外に漏れにくい地下室の特徴を活かして造ったシアタールーム
 同社では去る4月1日、標津郡中標津町に営業所「イースタントベックス」を開設。現在公開しているポスト&ビームタイプのモデルハウスに続き、今秋にはマシンカットタイプのモデルもオープンさせ、道東のユーザーにログハウスの魅力を広くPRする考えだ。
 今回の営業所開設は、同社のログハウスの情報を得るためには、小樽の展示場などへ行くか、ホームページを見るしかなかった地元ユーザーに対し、同社のログハウスを直接見ることができる場を提供すると同時に、これまで道東方面で施工した物件のメンテナンス体制を強化することが目的。スタッフは鈴木雅博チーフ他1名。営業時間は午前9時から午後5時(水曜定休)。
 住所等は〒086-1165、標津郡中標津町緑町北1丁目8番9、Tel.01537・2・8351。

  工法プロフィール
 
工法名 U-style工法
部位等 RC躯体防水
価格 問い合わせのこと
問い合わせ (株)ナカジマ
網走市字藻琴231-1
0152-61-6474

傾斜地を利用して地下室をプランニング(地下室の外壁はスタッコフレックスで仕上げる前の状態)

中標津町にオープンしたイースタントベックスのモデルハウス

U-style工法で防水施工した後の地下RC躯体の様子

断熱パネルで剛床
HPC プレカットして現場搬入

断熱床パネルのサンプル品
 北海道プレカットセンター(株)では、構造用合板に断熱板を張り合わせた「HPC断熱床パネル」を販売しており、採用する住宅会社が除々に増えるなど実績を伸ばしている。
 断熱床パネルは、3×6尺の構造用合板28ミリにスタイロエース100ミリ(販売元、ダウ化工(株))を貼り合わせたもので、在来木造工法専用の根太レスパネルとして使うことができる。
 製品は土台などに乗せてビス打ちする耳部分がついた凸形状。プレカット工場との連携で図面に合わせて同パネルをカットした後、現場搬入後には3×6尺グリッドの土台など横架材の上にパネルを敷いてからビス止めするだけなので、従来の工法に比べて工期が短縮される。ビスを150ミリピッチで打つことで剛床を構成。また、パネルの固定に釘ではなくビスを使うことで床鳴りや異音を抑えることができる。合板はF☆☆☆☆品、断熱材はノンフロン品のB3種(熱伝導率0.028W)。価格はオープン。
 問い合わせは同社札幌営業所(札幌市中央区北3条西2丁目10-2札幌HSビル3F、Tel.011・271・3577)まで。

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