平成17年3月25日号から
6月から発売開始
北ガス・エコウィル 寒冷地用ガスコージェネ

左/排熱利用給湯暖房ユニット
上/ガスエンジン発電ユニット
 北海道ガス(株)では、ガスエンジンで発電して電気を供給すると同時に、発電時の排熱を回収して温水を作り、暖房や給湯に利用する家庭用ガスコージェネレーションシステム「ECOWILL(エコウィル)」を今年6月1日から道央圏と函館で発売する。優れたエネルギー効率と低環境負荷を灯油システムと同等のランニングコストで実現できることをセールスポイントに、3年間で300台の販売を目指す。
 エコウィルは、本田技研工業が開発した1kWガスエンジン発電ユニットと、大阪ガスなど本州の大手都市ガス3社とノーリツ、長府製作所が共同開発した排熱利用給湯暖房ユニットを組み合わせたコージェネレーションシステム。各家庭の生活パターンに応じてガスエンジン発電ユニットを運転させて、11kWの電気を供給。同時に、冷却水と排気ガスから回収した熱を利用して排熱利用給湯暖房ユニットで約70℃の温水を作り、暖房や給湯に利用する。電力使用量が発電量を超える場合には電力会社の電気を使い、暖房・給湯に必要な熱量が不足した場合にはバックアップ用ガスボイラーを作動させて補う。
 北海道ガスでは一昨年に寒冷地向けの研究開発をスタート。設置方法や一部の仕様を改良し、昨年から今年にかけて道央圏の60軒の住宅で実証試験を実施したところ、システムとして全く問題なく稼働することが確認できたことから、発売を決定した。
 発電効率は約20%、排熱利用効率は約65%で、合わせて最大約85%の総合エネルギー効率となり、年間を通じて一般家庭で必要な電力の4割、暖房・給湯にかかる熱量の6割を賄うことが可能。天然ガスの使用により、CO2やNOx(窒素酸化物)の発生量が少なく、SOx(硫黄酸化物)や煤塵は排出しないなど環境にも優しい。

設置費用は約100万
 ガスエンジン発電ユニットと排熱利用給湯暖房ユニットの定価は76万円(税別)で、イニシャルコストは約40坪の住宅でパネル式セントラルヒーティングをする場合、材工で約120万円ほどになるが、ガスエンジン給湯器に対する国の補助金制度(住宅・建築物高効率エネルギーシステム導入促進事業費補助金)を利用すれば約100万円になる。ランニングコストはエコウィル専用のガス料金メニュー「家庭用コージェネレーション契約料金」により、灯油システムと同等という。
 当初は新築住宅を対象に販売し、設置は同社の責任施工。原則として2年に1回のオイル交換やフィルターの清掃・交換といった保守契約を結ぶことが必要となる。
 耐用年数は10年を想定しているが、メンテナンスにより、さらに長期間にわたって使用することも可能だ。
 なお、LPG(プロパン)仕様もグループ会社の北ガスジェネックスから同時発売される。
 問い合わせは同社札幌支店リビング開発グループ(Tel.011・207・7212、FAX.011・207・2065)へ
。 
ホームページhttp://www.hokkaido-gas.co.jp

古材利用のデザイン
旭川・芦野組 ノスタルジックな味わいに

施工中の室内。古材は棟木に松とカバ、左手前の柱にセン、右側の和室の軸組にナラを使用
 (株)芦野組(旭川市、芦野和範社長)では、古い住宅や農家の納屋に使われていた松やナラ・カバなどの木材を室内デザインの一部として見せることにより、古い木材の持つノスタルジックな味わいを感じられる住宅を美瑛町で建設中だ。
 この物件は新在来構法による延床面積約32坪の平屋建て。ユーザーから古材を使いたいという要望を受け、解体した築40年の住宅の和室に使われていたナラや、昨年の台風で壊れた農家の納屋に使われていた松・カバなどの古材を使ったプランニングを提案。単に古材を見せるだけでなく、室内外の仕上げも自然素材を積極的に使うことにより、昔の民家風のイメージを演出する考え。
 古材は、棟木に松とカバ、リビング・ダイニングの柱と玄関の上がり框にセン、和室の柱と敷鴨居にナラをそれぞれ採用。棟木は長さ3間の松と同2間のカバを継いで使っており、和室の柱は180ミリ角、鴨敷居は400×120ミリほどのナラだが、敷鴨居は障子が入る溝が狂っていたため、高さを3、4センチほどカットして加工し直した。

玄関の上がり框にもセンを使っている
勉強になるしとても面白い…同社大工
 古材の中には以前の住宅などに使われた時の仕口の穴が残っているものもあるが、一部の穴は込み栓や埋め木を行って処理。古材は現在の角材のようにきれいな四角い形状ではなく、太さや断面形状が異なるため、プレカットした新材との取り合い部分は大工が手作業で加工し、サンダー掛けも行っているが、これには5人工ほどかかっている。固くて重いために手作業での加工は非常に大変とのことだが、大工はそのような材料を扱う機会は滅多になく、いい経験になるので「勉強になるし、とても面白い」と話しているという。

自然素材で意匠統一

 これらの古材を含めて木を積極的に見せようと考え、登り梁も現しとしているが、古材と見た目の違和感をなくすために集成材ではなく無垢材を使用。内装も古材の雰囲気を引き立てるために床をパインの無垢材、壁をワラを混ぜた珪藻土とするなど、自然素材で仕上げる予定。外観も3寸5分勾配の無落雪屋根を採用し、壁は着色珪藻土モルタルとして腰壁には道南杉を使うなど、和風を意識したデザインを考えているそうだ。
 同社としては今後も使いたいというユーザーには古材を勧めていく意向。古材はすでに解体された状態で入手した時など、どのように使われていたのかがわからないケースでは、以前使われていた建物と同じ部位に同じ使い方で採用するのは難しく、その場合、一つ一つの材料を単独でどこにどう使うかがポイントなると考えている。
 同社の芦野社長は「古材は人工的ではなく、木が本来持っている自然素材の良さを感じられるのが大きな魅力。当社では自然素材を使うことが多いので、古材が合うのではないかと思っていた。やみくもに使うのではなく、デザインのポイントとしてどのような提案をできるかが重要になるが、振り向いた時にさりげなくそこにあるくらいがいいのではないか」と話している。


以前の建物で使われていた時の仕口の跡がそのまま残っている。一部は込み栓や埋め木などで処理するという
外観は屋根を3寸5分勾配の無落雪屋根とし、外装材には着色珪藻土モルタルと道南杉を使う予定

工事に施主も参加
神田商会 道産材でハンドカットログ

ラーチの丸太を積んだログハウスの外観
 (有)神田商会(長沼町、神田明敏社長)では、札幌から車で1時間ほどの場所にある長沼町マオイの丘で、ラーチの原木を加工したハンドカットのログハウスをこのほど完成させた。
 ラーチの原木は40~50年ほど前、ニセコ町の山奥に植林されたウェスタンラーチの苗木が成長したもので、基本的に国産カラマツとは樹種が異なるが、強度や耐久性は優れた性能を持っている。長さが12メートル、直径330ミリほどの原木を仕入れ、皮むきなど手加工してから現場で積み上げている。原木の加工から施工まで手造りによる作業と、自由設計が同社の大きな特徴だ。積んだ丸太の色は白色から黄褐色で、目が詰まっていて節が小さいものばかり。ラーチの原木は山林を所有している松原産業が販売している。
 マオイの丘は、緩い傾斜地となっている敷地が多く、1区画当たりの面積はほとんどが300坪以上あるので、住宅が密集することもなくゆとりがあり、天気の良い日は遠方まで見渡せる広大な景色も特徴の一つだ。
 建物は、1階が丸太を積み上げたハンドカットログで、2階が丸太で柱と梁を組んだポストアンドビーム工法。施主が建築関係の仕事に就いていることから、設備工事などは全て分離発注方式を採用し、自ら現場管理を行った。床材は四国産の杉、軒板、浴室の羽目板は米杉を張っているが、これはインターネットで自ら購入したものを使っている。塗り壁で仕上げた室内の壁は施主がコテを使って仕上げた。材料はシリックスリターナブルパウダーライト(販売元・?サメジマコーポレーション)を採用。アクセントをつけた模様などは素人の作業とは思えないほどの仕上がりだが「ほとんど見よう見まねだったので、塗るのに時間がかかりました」と語っている。


上/以造作も無垢材だけで仕上げた
右/2Fのフリースペース。塗り壁の部分はご主人が仕上げた
 同社の神田社長は「ここ数年のあいだにマシンカットのログハウスが増えてきているが、ハンドカットログハウスの良さでもある、手造りのあたたかさを知ってほしい。手間をかけた物づくりであっても、自由設計であることや当社にしかできないことを提案したい」と話している。

札幌にエコショップ
三素 自然エネ利用機器など展示
 (有)三素(富良野市、家次敬介社長)ではこのほど、太陽光発電機や風力発電機、ペレットストーブなど自然エネルギーを利用した設備機器を気軽に見学・体験できるアンテナショップ「キロル」を札幌市白石区にオープンさせた。
 同社はこれまで富良野市を拠点として営業を行っていたが、より多くの市民に自然エネルギーの良さを広めていくために、道内で最も人口が集中する札幌を拠点として営業活動を行うことを決めたという。また、同社のユーザーは札幌市とその近郊を中心に増えてきたことから、それらのユーザーに対する機器のメンテナンスや情報提供など、アフターサービスの充実を図ることも理由の1つ。
 アンテナショップには、太陽光発電モジュールとバッテリー、インバーターを一体化し、マンションのベランダなど省スペースでも太陽光発電を可能にした「べらんだ1号」や小型風力発電機「エアランド」、国産のコンパクトなペレットストーブ「ペレチカ」、太陽熱で調理を行う「ソーラークッカー」などを展示。これらの機器の仕組みや実際に稼働している状態を見ることが可能だ。
 また、民間団体や企業などがエコ関連の集会やセミナーを行う場合、空いているスペースをレンタルスペースとして提供することも考えている。
 現在は不定休のため、来店の際にはあらかじめ連絡が必要。
 住所は次の通り。札幌市白石区東札幌5条1丁目3-9(札幌コンベンションセンター向かい)、Tel.011・825・0265。

見学・体験できる自然エネを利用する各種設備機器の展示場

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