平成17年12月5日号から
高耐久な屋根防水改修
サンエナジー ECB防水シートを採用

オーシープランを施工中の現場。既存防水材の上から施工可能で、そのまま仕上げを兼ねる
 防水工法で50年の歴史を持つドイツ・カスター社の正規代理店であるサンエナジーでは、カスター社が製造している高耐久屋上防水シート「O.C.PLAN(オーシープラン)」を、このほど札幌市内の戸建住宅の車庫で実施した屋根防水改修に採用。既存の防水材を撤去せずに済み、雨天でも施工可能というオーシープランの特徴を生かし、コストを抑えながら耐久性の高い屋根防水を行った。

耐用年数は30年以上
 改修を行った車庫は、住宅とは別棟として建てられているもので、屋根は排水用の3つのドレンがあるフラット形状。住宅も車庫も今年で築10年を迎えたが、車庫の屋根はアスファルト系のシート防水材が劣化して浮き上がってきており、改修しておかないと本格的に雪が降る頃には何らかの障害が出てくるのではないかと、オーナーは考えていたという。
 今回防水材として採用したオーシープランは、瀝青(れきせい)とオレフィン系の原料を混合させたエチレンコポリマー瀝青(ECB)をシート状に加工した熱可塑性防水シート材。紫外線や熱、水の影響を受けないほか、コンクリート並みの引張強度や、4.5倍までの変形に耐える柔軟性をマイナス25℃まで維持する高い寸法安定性などにより、優れた耐久性を発揮する。可塑剤を使っていないので、水にさらされても毒性の物質が放散される心配もない。
 予想耐用年数は30年以上といい、カスター社は25年保証を行っている。施工は施工代理店のナカジマなどの責任施工。


1層目は金属製のディスクで両サイドを固定し、その上から2層目を熱溶着する
金物と熱溶着で固定
 施工は水勾配がほとんどなかったことから、屋根の一部に押出ポリスチレンフォームを敷いて水勾配を確保した後、幅1mのオーシープランを上下2層で段違いに施工している。具体的には既存防水材の上から1層目をほぼ80センチの間隔を開けて敷設し、オーシープランの両サイドを専用の金属ディスクとスパイクピンで固定。その後、1層目のオーシープランの間を覆うように上から2層目を敷設し、ジョイント部分に熱を加え溶着させている。
 また、笠木部分は専用のプレートを設置してからオーシープランを被せるように施工し、ドレン部分はオーシープランを加工し専用の部材を作って納めた。仕上げはオーシープランをそのまま見せている。
 施工面積は110m2で、工事は3日間で終了。途中で雨や雪が降ることもあったが、施工には全く影響はなかった。コストは塩ビシートで防水改修する場合でも既存防水材の撤去費用を含めて1万円/は超えるが、今回の現場は材工で1万円/ほどで、塩ビシート防水と同等以下という。
 サンエナジー社では「オーシープランは全く可塑剤が入っていないので、物性の安定度が極めて高く、耐久性は抜群。改修工事では既存の防水材を撤去することなく施工できるので、高耐久な屋根防水を、コストをかけずに行うことができる」と話している。
 オーシープランの問い合わせはサンエナジー(Tel.011・688・4446、Fax011・688・4447)へ。




日射熱大きく取得
札幌・勇和建設 低コストで灯油半分以下

断熱材が入り気密シートが施された室内
 勇和建設(株)(札幌市、齊藤保雄社長)では、限られた予算の範囲内で高レベルの省エネ化を実現するため、木製サッシやハニカムサーモスクリーンなどコスト高になる製品の採用を控え、日射取得率の高いペアガラスを採用するなど、大幅なコストアップにならない方法でQ値(熱損失係数)1.0Wを目指した住宅を建設中だ。

1階の室内。構造体は軸組金物テックワンで接合している
 同社がこれまで標準としている断熱仕様は、外壁がグラスウールブローイング105ミリ+外側に押出スチレンフォームB3種20ミリによるダブル断熱、基礎が押出スチレンフォームB3種60ミリ外張り+基礎内周部土間下に押出スチレンフォーム25ミリ、小屋裏がグラスウールブローイング300ミリとなっている。 標準仕様を若干変更しQ値アップ 今回のQ1住宅は新在来木造構法で延床面積51・3坪の二階建て。外壁の断熱仕様を、軸間に高性能グラスウール24K100ミリ充てん+押出スチレンフォームB3種30ミリ外張りとし、基礎と小屋裏の断熱は標準仕様のまま。基礎は押出スチレンフォームB3種60ミリを外側に張り、土間下内周部1m内に25ミリの押出スチレンフォームによる断熱補強しており、この断熱補強を行った基礎断熱工法は、公庫の仕様書では押出スチレンフォーム厚さ100ミリ相当の基礎断熱性能だ。

サイディングを張り終えた外観
 開口部は、日射熱取得が最も期待できる南西と北東側に、寸法が幅1690ミリ×2070ミリの掃き出し窓を4箇所に設け、全ての開口部のガラスを日射熱取得率が高いペアマルチスーパー・クリア(販売、日本板硝子(株))を採用。これによる暖房灯油消費量の試算では、一般的に使われているLow-Eペアガラスを採用したときよりも200リットルほど削減された。
 換気は第一種熱交換換気システムを採用しており、熱交換率80%、換気回数を0.1回/hとして計算したQ値は1.053W。年間暖房灯油消費量の試算は685リットル。次世代省エネ基準のQ値1.6Wで計算すると1601リットルなので、半分以下の暖房灯油消費量削減となっている。 
 同社の齋藤社長は「当社の標準仕様と比べても、大幅な仕様変更をせずに省エネ化が達成できた。リビングや洋室など4箇所に大きな掃き出し窓を設けたことや、日射取得率が高いガラスの採用は、暖房灯油消費量の削減に大きく影響している」と話している。

主な断熱仕様とQ値
基礎
押出スチレンフォームB3、外60ミリ+土間下25ミリ
高性能グラスウール24K100ミリ+押出スチレンフォームB3、30ミリ
屋根
ブローイング300ミリ
PVCサッシ・ペアLow-Eアルゴン入り
換気
熱交換換気(顕熱90%)
暖房
灯油温水セントラル(床下放熱器)
Q値
1.053W/m2・K
暖房エネルギー試算 685リットル(灯油)


省燃費の薪ストーブ
ダッチウエストジャパン 希薄燃焼システムを採用

リーンバーンヒーター『エンライト』

白い耐火セラミックで火室内の温度を高く保てる
 ダッチウエストジャパン(株)は、自動車の省燃費化にも使われる希薄燃焼技術を採用し、省燃費で燃焼持続時間も延びる薪ストーブ『リーンバーンヒーター“エンライト”』を今年1月から発売、灯油価格が急上昇している背景もあり、問い合わせが増えている。
 通常の薪ストーブは薪から発生する煙成分(燃料)1に対し14~15倍の空気で燃やすが、希薄燃焼=リーンバーンでは20~25倍の空気で燃やす。火室内を耐火セラミックで作ることで着火後短時間で高温度燃焼に達し、空気の撹拌を促進する部材の搭載で希薄燃焼の問題点とされる不安定な燃焼状態を克服した。さらに、煙が複雑な経路をたどりながら高温空気と混ざり合って再燃焼することで、排気をクリーンに保つとともに高い熱出力を得られ、安定した長時間燃焼が可能になった。薪の消費量も非触媒方式の従来品より約4割程度削減されるため、最大燃焼時間が10~14時間に延びた。また、ススがつきにくい構造で触媒も用いないためメンテナンスも楽。
 同社の薪ストーブは、輻射熱と対流熱をバランス良く発生させる構造となっており短時間で部屋を暖めた後は輻射熱のまろやかな暖かさで室内温度を維持することができる。このほか、オプションとして高気密住宅用に燃焼用空気を外気から取る外気導入キットや、ストーブ横に家具を置く場合に必要なサイドヒートシールドなどが用意されている。
 エンライトはスモール、ミディアム、ラージの3タイプあり、ミディアムタイプで最大熱出力が1万3100kcal、暖房面積は最大約150m2、最大燃焼時間は約12時間。本体寸法は675×757×640ミリで重量が191キログラム。本体標準価格は39万9000円(税込)。
 問い合わせは、同社(帯広市大通南28丁目4、Tel.0155・24・6085)へ。

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