熱交で2棟目に挑戦 |
札幌・STV興発 年間灯油消費量348リットル |
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特徴的な書斎コーナーと窓の配置
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STV興発(株)(札幌市、北島壽一社長)では、新住協が昨年から提唱しているQ1.0(キューワン)住宅の2棟目を札幌市大谷地に完成させ、去る9月18日に現場見学会を開催。断熱性能だけでなく、落ち着いた雰囲気を感じさせる内外観の仕上がりにも来場者の注目が集まった。
熱交換気本体をユーティリティーに配置
オープン階段と米杉の羽目板
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今回の住宅では、第一種熱交換換気システムを採用しての取り組みとなり、熱交換換気の熱回収率を80%、換気回数を0.1回相当として計算した熱損失係数(Q値)は0.83W。暖房にかかる年間灯油消費量のシミュレーションでは348リットルとなり、次世代省エネ基準レベルの1253リットルに対しておよそ73%も削減するという超省エネ住宅となっている。断熱仕様は前回と同じく、基礎断熱は外側に押出スチレンフォームB3種100ミリ+内側に同20ミリ、外壁は高性能グラスウール16K100ミリ充てん+フェノールフォーム50ミリ外張り(ダブル断熱)、屋根は高性能ロックウール330ミリ吹き込み。
建物は軸組接合金物テックワンを使った新在来木造構法で延床面積はおよそ42・1坪の2階建て。
北西角地の敷地に対して北側に建物、西側にアプローチを兼ねたカーポートと物置を配置し、南東の一角に大きな庭を設けている。
外装は、1階が稚内産珪藻頁岩による左官仕上げ、2階が角波鋼板貼りとし2種類の素材を使い分けた。リビングが位置する南面に日射熱を取得し開放感を演出するため、大開口部を設置し大きなウッドデッキを造り付けている。
玄関は靴置き場を来客用と家族用とに分けている。玄関土間が床暖房なので、雨や雪で濡れた靴をそのまま置いておくだけで乾く。
1階はリビングダイニング+キッチン、洗面脱衣室や浴室など水廻りを配置。リビングから上る階段は間仕切りがないオープン階段。この階段と接する西側の壁だけ米杉羽目板を貼って空間にアクセントをつけた。
2階は書斎を併設した主寝室と子供部屋を2つ配置し、書斎とそれぞれの子供部屋に窓付きのロフトを設けた。1階からロフトまでの通気をしっかり確保し、湿気や熱気を高窓から排出する計画。また、吹き抜けのリビングを囲う腰壁手すりは単行本などを整理できる本棚の役割も兼ねている。
同社の北島社長は「今回のQ1住宅では、年間の灯油消費量が計算上で3488リットルと大幅な省エネ化を実現した。この住宅を通して地球環境に配慮した家づくりのあり方を知ってもらいたい」と話している。
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建て方がほぼ終わった現場
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主な断熱仕様とQ値
基礎
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押出スチレンフォームB3、外100ミリ+内20ミリ |
壁
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高性能グラスウール16K100ミリ+フェノールフォーム50ミリ |
屋根
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高性能ロックウール吹き込み330ミリ |
窓
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木製サッシ・トリプルLow-Eアルゴン入り |
換気
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熱交換換気(顕熱90%) |
暖房
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灯油温水セントラル |
Q値
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0.83W/m2・K |
暖房エネルギー試算 |
348リットル(灯油) |
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