TJIとLSLで組まれた床組み
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ここ数年、木やせによるクレーム防止と、供給量や価格が不安定なランバーの代わりに、木質I型梁を床根太などに採用するビルダーが増えてきた。エンジニアードウッドならではの安定した品質と供給体制、軽量で換気ダクトの貫通施工も容易という施工性の良さなど、木質I型梁が持つ多くの魅力を活かして差別化を図るビルダーもいる。そのような中、進化するツーバイフォーをキーワードに、木質I型梁などのエンジニアードウッドと専用金物、その設計・施工上の注意点等を特集した。
課題の木やせ解消
木質I型梁は、フランジと呼ばれる38~58ミリ×38ミリサイズのLVL等を、ウェブと呼ばれる構造用合板やOSBでつないだI型状のエンジニアードウッドで、米国ウェアーハウザー社の「TJIジョイスト」が代表的だ。同じサイズのランバーと比べてコスト高になるため、これまで標準仕様として採用するビルダーは少なかったが、ここにきて採用するビルダーが増えてきた。
その理由の一つが、ランバーの供給量や価格が安定しないことだ。アメリカの住宅着工が好調なことから、日本へ十分な量を輸出することができず、価格も高くなっている。
もう一つの理由が安定した品質の確保だ。最近のランバーは品質が悪く、以前と比べてねじれやすくなったという声も聞く。210のランバーは高さ方向で1センチ以上は木やせすると言われており、床根太やたる木が木やせした場合、床鳴りがひどくなったり、クロスにしわが寄ったりして補修や調整が必要になる。品確法によって床の傾き具合などがシビアに見られるようになってきた今日では、そうした観点からも神経質にならざるを得ない。
木質I型梁(以下TJIなど)は、エンジニアードウッドなので供給量は安定しており、寸法安定性や強度に優れ、ランバーのように1センチも木やせすることはない。同サイズのランバーより軽量で現場での取り回しが楽なため、慣れれば大工も施工が楽になる。
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TJI・LSLとディメンションランバーの比較
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TJI・LSL
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ディメンションランバー
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寸法精度
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安定している |
バンドルを解いた時点で235mmに対してバラつきがあり、正確なパネル製作にはプレーナーなどの処理が必要
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経年変化
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TJI・LSLとも含水率が8
10%程度に収まっており、施工後の寸法形状変化は少ない |
施工後の含水率の低下により、235mmの高さ方向の収縮が発生し、床鳴りの原因となる
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長 さ
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定尺はなく、希望の長さでの発注が可能。最長で11,800㎜(38フィート)
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12、14、16、18、20フィートの定尺 |
検品作業
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基本的に精度が出ているために、検品に要する時間は大幅に短縮可能
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木のそり、曲がりがあるために選別技術者が必要 |
価 格
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TJI・LSLともディメンションランバーと比較して多少コストは高い
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TJIよりコストは低いが北米の住宅事情などによって価格・供給量が左右される
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廃材処理
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焼却は可能。再利用に関しては要検討
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焼却は可能 |
6mを超えるパネル
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可能 |
難しい |
作業性
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軽量であるため良好 |
TJIと比べると重く、ハンドリングは悪い
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