結露防止に独自の工夫 |
帯広・鈴木設計 スチールハウスで事務所兼自宅 |
鈴木徹建築設計室(帯広市、鈴木徹所長)は、自宅兼事務所をスチールハウスで建て替え中で、9月末の完成を目指して急ピッチで工事が進んでいる。鋼材の結露を防ぐために1階床組は木造ツーバイ材で床断熱とし、屋根トラスに構造用合板と断熱板を張った上に木造ツーバイのたる木を施工する二重たる木で鋼材たる木の熱橋を防ぐなど、独自の工夫を凝らしている。
現場には形鋼が納品され、現場フレーミングを行っているところ
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床根太はランバー
鈴木所長は、長期的な木材不足への対応や優れた強度で大空間が造りやすいことなどから、スチールハウスの将来性に注目。同氏が設計し、アサヒ金物(株)がフレーミングを担当して共同で十勝管内第1号のスチールハウスを4年前に完成させた。その後、新日本製鐵(株)が「ニッテツスーパーフレーム工法」としてスチールハウス事業に積極的に取り組んで供給棟数を伸ばしていることを知り、技術的なチャレンジへの興味もあり、自宅兼事務所の建て替えでスチールハウスを採用することにした。
今回、構造体はパネル供給ではなく、(有)久保工務店(同市、久保誠社長)が現場フレーミングを行った。現場で組み立てることで輸送コストの低減を狙っている。
断熱は、ネオマフォームを外張りし、外壁50ミリ、屋根80ミリ(40ミリの2層張り)としているが、床下部分は基礎断熱ではなく床断熱でブローイング235ミリを吹き込み、1階床組を木造210材とすることで地盤面の湿気などによる鋼材の結露の可能性を排除した。基礎外側は、押出スチレンフォームB3種30ミリを貼って壁面とツラを合わせ、基礎コンクリートの保護も兼ねた。
小屋組はスチール206材でトラスを組み、その上に構造用合板を張ってネオマフォームを2層張り。さらに、木造206でたる木を組み、スチールトラスが軒先から出て熱橋にならないようあえて二重たる木の設計にした。また、間仕切り壁もすべて木造ツーバイとしている。リフォームなどで間仕切り壁を撤去する必要に迫られたとき、木造の方が取り回しがいいからだという。
外壁仕上げの下地となるサイディングが張りあがった現場
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鈴木氏「普及の拠点に」
プランは総2階建ての延床面積約70坪(組み込み車庫含む)で、1階が事務所、2階が自宅。
外装仕上げは旭化成外装建材(株)とエスケー化研(株)が開発した乾式の塗り壁工法「大壁無目地工法」で、ベースに旭化成外装建材の3×10尺サイズの無塗装サイディング板を使い、アクリル系樹脂塗料のベルアートで仕上げることでモルタルと同じ仕上げをローコストで実現するもの。サッシはLow-Eペアガラス入り樹脂サッシで、換気はエアロバーコ(発売・ディックス(株))。暖房は天井輻射暖房の「ターマレイ」(発売・リフォジュール(株))を採用。熱損失係数を計算した上でパネル枚数を減らしランニングコストを抑える試みだ。
鈴木徹所長は、「スチールハウスは約72二平方メートルの大空間を造ることができ、間取りの自由度が増す。鋼材の寸法安定性が高いので長期間にわたって安定性のある住宅になると期待している。完成後は暖房データの採取など、今回の取り組みを検証してスチールハウス普及の拠点となりたい」と話している。
現場には形鋼が納品され、現場フレーミングを行っているところ |