平成16年8月15日号から
結露防止に独自の工夫
帯広・鈴木設計 スチールハウスで事務所兼自宅
 鈴木徹建築設計室(帯広市、鈴木徹所長)は、自宅兼事務所をスチールハウスで建て替え中で、9月末の完成を目指して急ピッチで工事が進んでいる。鋼材の結露を防ぐために1階床組は木造ツーバイ材で床断熱とし、屋根トラスに構造用合板と断熱板を張った上に木造ツーバイのたる木を施工する二重たる木で鋼材たる木の熱橋を防ぐなど、独自の工夫を凝らしている。


現場には形鋼が納品され、現場フレーミングを行っているところ
床根太はランバー
 鈴木所長は、長期的な木材不足への対応や優れた強度で大空間が造りやすいことなどから、スチールハウスの将来性に注目。同氏が設計し、アサヒ金物(株)がフレーミングを担当して共同で十勝管内第1号のスチールハウスを4年前に完成させた。その後、新日本製鐵(株)が「ニッテツスーパーフレーム工法」としてスチールハウス事業に積極的に取り組んで供給棟数を伸ばしていることを知り、技術的なチャレンジへの興味もあり、自宅兼事務所の建て替えでスチールハウスを採用することにした。
 今回、構造体はパネル供給ではなく、(有)久保工務店(同市、久保誠社長)が現場フレーミングを行った。現場で組み立てることで輸送コストの低減を狙っている。
 断熱は、ネオマフォームを外張りし、外壁50ミリ、屋根80ミリ(40ミリの2層張り)としているが、床下部分は基礎断熱ではなく床断熱でブローイング235ミリを吹き込み、1階床組を木造210材とすることで地盤面の湿気などによる鋼材の結露の可能性を排除した。基礎外側は、押出スチレンフォームB3種30ミリを貼って壁面とツラを合わせ、基礎コンクリートの保護も兼ねた。
 小屋組はスチール206材でトラスを組み、その上に構造用合板を張ってネオマフォームを2層張り。さらに、木造206でたる木を組み、スチールトラスが軒先から出て熱橋にならないようあえて二重たる木の設計にした。また、間仕切り壁もすべて木造ツーバイとしている。リフォームなどで間仕切り壁を撤去する必要に迫られたとき、木造の方が取り回しがいいからだという。

外壁仕上げの下地となるサイディングが張りあがった現場
鈴木氏「普及の拠点に」
 プランは総2階建ての延床面積約70坪(組み込み車庫含む)で、1階が事務所、2階が自宅。
 外装仕上げは旭化成外装建材(株)とエスケー化研(株)が開発した乾式の塗り壁工法「大壁無目地工法」で、ベースに旭化成外装建材の3×10尺サイズの無塗装サイディング板を使い、アクリル系樹脂塗料のベルアートで仕上げることでモルタルと同じ仕上げをローコストで実現するもの。サッシはLow-Eペアガラス入り樹脂サッシで、換気はエアロバーコ(発売・ディックス(株))。暖房は天井輻射暖房の「ターマレイ」(発売・リフォジュール(株))を採用。熱損失係数を計算した上でパネル枚数を減らしランニングコストを抑える試みだ。
 鈴木徹所長は、「スチールハウスは約72二平方メートルの大空間を造ることができ、間取りの自由度が増す。鋼材の寸法安定性が高いので長期間にわたって安定性のある住宅になると期待している。完成後は暖房データの採取など、今回の取り組みを検証してスチールハウス普及の拠点となりたい」と話している。 
現場には形鋼が納品され、現場フレーミングを行っているところ

廃木材分別で新提案
道立林産試 CCA土台を薬剤で判別

道内における処理薬剤別解体土台の発生量予測
 現在、道内で解体される住宅の廃木材の約4割は、牛や馬などの畜舎の床に敷く家畜敷料に再資源化されているが、クロムや銅、ヒ素化合物など劇物・毒物を含む防腐剤「CCA」で処理された木材が混入していた場合、家畜の安全性はもとより、畜舎周辺の土壌や地下水が汚染される危険性があるため、住宅解体時にCCA処理木材を適切に判別し処理する方法が求められている。そこで道立林産試験場では、薬品を使ってCCA処理木材を判別・分別する手法を研究・提案。今年度中にマニュアルをまとめる予定だ。
 CCAは、昭和38年に日本工業規格(JIS)が定められ、本格的に生産が始まった。同試験場が旭川市内の解体物件の土台を調査したところ、昭和55年以前はクレオソート油による防腐処理が主流だったが、昭和55年頃から平成8年までほぼほとんど全ての住宅にCCA処理された土台が使用されていることがわかった。
 同試験場が道内の解体住宅から発生する土台の量を処理方法別にまとめた資料によると、CCA処理された土台は平成12年時点では解体土台全体の約20%を占め、3000立方メートル程度の量になるが、10年後の平成22年には約45%を占め、9000立方メートルに増加し、その後20年ほどは解体土台の最も多くを占めると予測される。

目視での判別は困難
 住宅に使われるCCA処理木材の多くは土台・大引・根太などの床組木材で、他には木製デッキの部材に使われている可能性があるが、木材の汚れなどにより、目視での判別は困難な場合が多く、万が一、CCA処理された木材が再資源化率の高い家畜敷料に混入した場合、家畜に対する影響はもちろん、敷料として利用した後に堆肥として畑などに使うとなれば、土壌や地下水が重金属によって汚染されることも考えられる。
 そこで同試験場では、ある薬品を木材にかけ、反応するかどうかで住宅の解体時にCCA処理された木材を適切に判別・分別する手法を研究・提案した。

CCAは青色に発色

今年度中にマニュアル作成 同試験場の手法は、CCA処理木材がほぼ床廻りに限られていることから、住宅の解体を行う前に外壁をハンマーで壊したり床板をはがすなどして土台や大引、根太を露出させる確認する木材の一部をのこぎりで切り欠くなどして表面部分を除去し、切り欠き部分とその他の部分をマスキングテープで区分薬品を切り欠き部分にかけて色の変化を確かめ、CCA処理木材かどうかを判別―という手順。
 薬品はクロムアズロールSという炭素主体の有機化合物で、一般の薬局等には売っていないため、薬剤メーカーに問い合わせて購入しなければならないが、毒物や劇物ではないため、誰でも入手可能。この薬品をCCA処理木材の切り欠き部分にかけると、青色に発色、CCA処理木材でない場合はオレンジまたはピンクになる。

土台の切り欠き部に薬品をかけると、CCA処理していた場合、青色に発色する
 判別後は、躯体上部を解体・撤去し、床板と根太の分離、大引・土台の解体を経て、CCA処理木材は他の木材と混同しないようスプレー等でマーキングし、保管・搬出する。
 同試験場では今年度中にこの判別・分別手法をマニュアルにまとめる予定。

普及には業者の意識向上が必要
 ただ、今後の課題として、この判別・分別手法を普及させるためには、時間とコストがかかっても環境を守る意識を解体業者に持ってもらうことが必要だ。また、この判別・分別手法を採用する意識の高い解体業者と、その他の業者間で発生すると予測される解体費の格差をどう解消していくかも課題の一つと言える。
 同試験場利用部再生利用科の清野新一研究職員は「これまでCCA処理木材の判別は、目視に頼るしかなく、実際には廃材がごちゃごちゃした解体現場で見分けなければならないためなかなか難しかったが、この判別手法を使ってもらえれば精度の高い判別ができると思う。また、CCA処理木材は焼却するにしても埋め立てするにしても、環境汚染の可能性はゼロとは言えないので、処理方法ももっと考えていかなければならない」と話している。

10万円切る低価格
帯広・アーステック 誤作動が少ないドアロック

指をのせるだけで解錠する最先端のシステム。センサー部はカバーがついている
 アーステック・ジャパンは、このほど定価10万円を切る低価格でしかも高性能な指紋認証式ドアロック「レオワン」を発売した。韓国・Testech社が開発したこの製品は、アメリカなど3ヵ国で特許を取得した独自のLEセンサーによる指紋認証方式を採用、指に液体や固形物が付着していたり、乾燥状態だったり、指を斜めに差し出すなど、従来認証が苦手だった悪条件でも確実に認証することができる。
 また、自社開発のセンサーを使用するため、特許使用料などがかからず安価に製品を販売でき、定価は税込で9万9800円と10万円を切った。カラーはブラック、レッド、ゴールドの3色。
 このほかの特徴として、暗証番号でもドアを開閉でき、指紋認証+4~10ケタの暗証番号入力のダブルセキュリティでドアを解錠することもできる。なお、ドアを閉めたら一定時間後にカギがロックされるオートロック機構や、パスワード誤入力を3回連続すると一定時間キー入力などを一切受け付けなくなる保護機構も備えている。また、ドア破壊時やドアロックの内部配線が切断されたときは自動的に大音量のアラームがなり、周囲近所に注意を喚起することもできる。
 指紋認証の登録は手順に沿えば誰でも簡単にでき、最大99通りの指紋を登録できる。このため、1人で右手人差し指、左手人差し指、右手親指…というように複数の指を登録しておけば、万が一の認証エラー時にも対応できる。電源は単3乾電池4本。電池交換時期を知らせるアラーム機能があり、万が一バッテリーがなくなっても、コンビニなどで売られている角形九乾電池を買えば解錠ができる。
 取り付けドア厚は35~45ミリまで対応、マイナス20℃の低温下でも動作が保証されている。
 問い合わせは同社(帯広市西23条南1丁目54、Tel.0155・61・1123)へ。

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