平成16年6月15日号から
風を利用して除雪負担軽減
苫前町・北斗団地

建物に当たってより流速を増した西風が、出入口周辺や道路の雪を払うよう配慮した北斗団地の配置計画
 積雪寒冷地の道内では、高断熱・高気密化によって住宅の寒冷対策は飛躍的に向上したが、一方で雪対策についてはまだ十分に行われているとは言えない。ましてや風が強い沿岸部では強風による地吹雪や吹き溜まりなどが生活上の障害となるため、内陸部以上に雪対策は重要になってくる。そのような中、道北の日本海側に位置する苫前町では冬期に一定方向から吹く風を利用して、雪が吹き払われる場所に動線を確保、逆に吹き溜まりとなる場所には堆雪スペースを取るなど風雪対策の配置計画を行った公営住宅・北斗団地を平成12年に完成。除雪負担が少なく、暮らしやすいと住民から好評だ。

強い西風で雪払う
  苫前町は日本海に面した苫前地区と内陸寄りの古丹別地区に分かれているが、苫前地区では昔から強風を防ぐために板塀を設置するほど風が強く、冬期は平均7~8メートルの風が吹き、1ヵ月の半分は吹雪いているため、住宅建設を考えるうえで風雪対策は、第一に考えなければならない課題となっていた。
 北斗団地はそのような背景のもと、風・雪などの克服と気候風土を考えた住宅・環境づくりなどを掲げた留萌リージョナル・ホープ計画に準じて設計・施工されたもの。2戸1棟の木造平屋建て5棟と、10戸1棟のRC造2階建て4棟で構成されている。
 設計にあたり同町では、まず風雪対策として冬期に恒常的に吹く風をいかに利用するかを検討。風況調査を行ったところ、冬期には風が真西から吹いていることがわかり、道立寒地住宅都市研究所(現北総研)がまとめた風と吹き溜まりに関する研究データを参考に、西風によって雪が吹き払われる場所に道路など、雪が吹き溜まりとなる場所に堆雪スペースができるように建物と団地内道路等を配置した。
 具体的には、建物と団地内道路を西から東にかけて平行するように配置。風は建物に当たると左右に分かれて流速が速くなる性質を利用し、建物西面に当たってさらに流速を増した強い西風で建物南北にある団地内道路や出入り口の雪を吹き払う。また、基本的に建物の風下側に雪が溜まっていくので、団地内の風上側となる西側に木造平屋建て、風下側となる東側にRC造2階建てを配置している。



木造平屋建ての夏(上)と冬(下)の様子
雁木等で動線確保
 このほか、木造平屋建てでは玄関前にアプローチ兼用のカーポートを設けるとともに、落雪で建物正面が埋まることがないよう、屋根形状を工夫して雪が背面に落ちるようにしている。
 RC造二階建てでは、建物と物置・駐車場との間に雁木(カバードウォーク)を設けたほか、駐車場には屋根を架け、西側に防風板を付けることで、車と人の動線を地吹雪や強風から守っている。雁木の入り口には下側を10センチ程度開けた防風板を付けて、強風を遮ると同時に、雁木内に侵入した雪を開口部から入る風が吹き払う。

RC2階建ては雁木を介して駐車場・物置と一体化し、人の動線を吹雪から守っている
 完成から4年が経ったが、住民は「除雪をほとんどすることはない」とのこと。空き家待ちの人がいるほど人気があり、近隣の街から入居の問い合わせもあるそうだ。
 同町建設課建築係の星輝美係長は「吹き溜まりと吹き払いを考慮した配置計画については、予想以上の効果が得られた。昔の人は板塀に代表されるように経験的に風雪対策を考えた住宅づくりを行っていたと思うので、今後も屋根形状などを含めて町中の建物を見直し、先人の知恵を住宅の風雪対策に活かしていきたい」と話している。
 

メンテ不要が決め手
マイホームきだ 高価格でも満足リフォーム

10年前の新築当時の外観。レンガ調サイディングも使用


リフォーム後の外観。レンガの微妙な色合いで高級感が増した
 (有)マイホームきだ(上富良野町、黄田稔社長)は、上富良野町内で10年前に新築した住宅の外壁リフォームに、本物のスライスレンガと断熱板、下地合板を一体にしたカナダ製のレンガパネル外装材「パンブリック」(発売元・岡本インターナショナル(株))を採用、「耐久性の高いものを」というオーナーの希望に応えた。

再塗装より貼り替え
  リフォームした住宅は同社が平成六年に新築したもので、延床面積約五二坪の新在来木造構法。断熱は外壁部がグラスウール24K100ミリ充てん、第三種換気、先張りシート工法なども採用しており、現在の高断熱・高気密住宅と比べてもそん色ない。
 ところが外装に関しては、新築後7、8年経った頃から窯業系サイディングのコーキングの切れや釘の浮き、北面ではサイディング自体が波打つなどの不具合が目立ちはじめた。塗装もあせてきたので、再塗装の見積もりをとったら、100万円を超える価格にオーナーはびっくり。「10年ごとに百何十万もかかるのは耐えられない」と今回は多少費用がかさんでも今後安心できる外装材はないかとオーナーに相談され、同社ではパンブリックを勧めた。今回は予算とデザインの点でパンブリックは1階のみ使用し、2階は金属サイディング張りにしている。
 工事内容は、外装材の全面貼り替え、ウッドバルコニーと屋根の再塗装などで、内装や設備は全くいじっていない。外装材の貼り替えは、既存のサイディングをいったん剥がして下地の状態を細かくチェック。木部の傷みはなかったが透湿・防水シートに一部破れがあり補修した。その後、通気胴縁を取り除き、透湿・防水シートの上からパンブリックを直貼りした。気密性がしっかりしているため通気層なしで使うことにより充てんプラス外張りのダブル断熱のメリットを期待できると判断した。
 パンブリックは外壁に要求される耐久性・耐候性に優れたレンガをパネル化して乾式工法化したもの。パネルは本物のレンガを13ミリ厚にスライスし、41ミリ厚の硬質ウレタン、合板と一体化。レンガ本来の高級感ある外装仕上げとなるほか、経年変化で味わい深い外観になる特徴もある。パネルを突きつけた際にウレタン層にエアホールを作って浸水を止める形状になっており、シーリングレスで施工可能。

出窓まわりのおさまりもきれいに仕上がっている
製品プロフィール
製品名 パンブリック
部位等 住宅の外装用
価格 問い合わせのこと
問い合わせ 岡本インターナショナル(株)
兵庫県加古郡稲美町北山2-65
0794-92-0280
[Home page]
カナダで耐久性に高評価
  カナダでは約30年前からこの製品が使われており、27年前にパンブリックで仕上げた住宅の増改築の際にパンブリックの劣化状況を調査したところ、ほとんど劣化が見られず、目地部分にも浸水した跡がないなど優れた耐久性が確認されたという。
 施工費は、屋根の塗り替えなど全て込みで420万円ほど。オーナーは「塗り替えの手間と費用を考えるとメンテ不要のパンブリックは決して高くないし、断熱性能もさらに向上したのが嬉しい。レンガの素晴らしい質感が気に入り、家に帰ってくるとき遠くから自分の家を眺めるのが楽しみ」と話している。
 同社では、「当社が初めて施工したときはビデオマニュアルもまだなかったが、1棟手がけたら要領がわかり、以後は何の問題もなく施工できている。10年前と比べ外装材の選択肢は少しずつ増え、パンブリックのような優れた商品がでてきたので今回提案させていただいた。もっと多くのお客さまに使って欲しい」と話している。

素早く高所排気
アシストホーム モデルにぷらすワン初採用

モデルハウスの外観
 (株)アシストホーム(札幌市、岡本勝社長)は、ゴールデンウイークから公開しているモデルハウス(5月25日号4面既報)でセントラル換気用局所換気パッケージ「ぷらすワン」(発売・宇部気密ハウジング(株))を初施工した。タバコをよく吸う人が家族にいたり、焼き肉などを室内でよく食べるユーザーにぷらすワンを提案する考え。
 ぷらすワンは、宇部気密ハウジングが販売する「ピアラ」、「オーロラ」などの第三種換気システムに取り付ける局所換気パッケージで、セントラル換気だけでは排出に時間のかかるタバコや焼き肉の煙を汚染源から素早く排出するもの。
 食堂・居間に取り付ける局所換気としては、壁付けするパイプファンもあるが、アシストホームでは給気口と排気口が接近している場合にはショートサーキット現象が起きる可能性があり、部屋全体に拡がる汚染空気を換気できないのではないかと考え、今まで採用していなかった。これに対し「ぷらすワン」は、換気システムのダクトに接続して排気するため、取り付け位置を壁ではなく天井部分で自由に設定でき、逆流防止弁の採用で未使用時は換気システムに影響を与えないなどの特徴があり、「必要なときに確実に汚染空気を排気する」性能があると判断、採用に踏み切った。
 今回のモデルハウスでは、第三種換気システム「ピアラ」のダクトにプラスする形で食堂の隅に設置している。ダクトの長さは7メートルほど。施工もマニュアル通りに行って問題はなかったという。施工後、換気風量測定も行い、ピアラ本体を運転した状態で、最大40立方メートルの風量が得られた。
 同社の岡本勝社長は、「今まで第三種換気システムを使ってきてタバコの煙で悩んでいるなどの不満があったわけではないが、お客さまへ一歩進んだ提案がしたかった。価格もユーザー提示の材工価格で4、5万円のアップで済むので受け入れやすいと思う」と話している。
製品プロフィール
製品名 ぷらすワン
部位等 食堂などの天井に取り付け
価格 4万円(税抜)
問い合わせ 宇部気密ハウジング?札幌支店
札幌市中央区北1条西5丁目興銀ビル
011-222-6330
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