平成16年4月25日号から
NPO法人へ移行
新住協総会 8月メドに新体制

あいさつする安田理事長

基調講演を行う鎌田先生
代表理事に鎌田教授と安田弘氏
 冒頭あいさつに立った安田理事長は「鎌田先生が在来木造の改良に取り組んで20年あまり、その工法を広げようと新住協を立ち上げてまる十五年。その節目の年にNPO法人化を控え、先生の地元室蘭地区で総会を開く記念すべき年になった。これを機に会員は一層技術を研磨したい」と意義を述べた。
 続いて議案審議に移り、NPO化について本州事務局の會澤健二氏は「4月9日に宮城県庁に設立認証申請書を提出。書類審査が順調に進み認証されれば、8月にも法人登記ができるようになる。現在の新住協はNPO法人登記と同時に解散、会員と事業などすべてを新法人に移行・譲渡する」と説明。
 新法人移行後は事務所を仙台市に置き、事業や地域の活動を支援する。新体制の代表理事には現在顧問の鎌田紀彦氏と現理事長の安田弘氏。
 なお、総会に先立ち、札幌と室蘭地域を中心に住宅見学会を開催。室蘭コースは100名を超す参加者が、PFP工法による住宅などを見学した。

基調講演鎌田先生
今後は炭酸ガスによる省エネ評価も

 総会終了後は、同会顧問の室蘭工業大学鎌田紀彦教授が基調講演。新住協15年の足跡とNPOの目指すものに触れたあと、これから5年の技術開発計画を説明。この中で特に暖房・給湯について「ガスコージェネ、燃料電池、ヒートポンプ、太陽熱温水器など、今後は熱源のあり方から見直す必要がある。寒冷地でも使える太陽熱温水器の開発が進んでいるほか、ガスエンジンによるコージェネシステムも市販間近。その後は燃料電池の時代となるだろう。
 ヒートポンプ暖房については、道南・八雲町の(有)ノースランドホームがキーテック工業(株)と共同で、高い省エネ効果の地中熱ヒートポンプを劇的なローコスト価格で実現した。いずれも新住協の会員で、今年はデータ取りも行う予定だ。
 このように暖房・給湯の熱源がバリエーションに富んだ時代になってくると、『灯油消費量で何?』という評価方法は通用しなくなる。その時に必要になってくるのが温室効果ガスとされる炭酸ガスが製造時と使用時でどのくらい発生するのかという視点。いわゆるライフサイクルCO2。これは断熱材の選定などでも同じだ」と述べ、省エネルギー性を炭酸ガス排出量で評価する新しい手法の開発に取り組む考えも示した。

同会のコンテストで最優秀賞を受賞した佐渡邸
(伊達市、住宅見学会・室蘭コース)


200名を超す会員で埋まった会場

電子メディアでPR
十勝支庁 カラマツ住宅の普及促進
 十勝支庁では、十勝流域森林・林業活性化センターの協力を得てCD-ROM「とかち発カラマツ住宅」をこのほど制作、一般消費者や工務店、設計事務所などの希望者に無料で配布している。
 これは、同支庁が平成14年度から3ヵ年計画で行っている「カラマツの家づくり推進事業」の一環として企画されたもので、動画や写真を多用してカラマツ住宅の魅力をPRする内容になっている。
 内容のポイントは、1.十勝支庁がこのCD-ROMを作成したねらい、2.十勝でカラマツ住宅を建てた6人の施主に『なぜカラマツで建てようと思ったのか』など、様々な質問をビデオインタビューして収録、3.カラマツ林から住宅ができるまでを動画で紹介、さらに大工にカラマツを使った印象について『施工のしづらさはあるのか』などビデオインタビュー、4.最後に写真や動画で十勝管内の工務店、設計事務所が手がけたカラマツ住宅を紹介―となっている。
 カラマツ住宅の紹介では、設計や施工者、建築費用なども掲載、消費者がカラマツ住宅を検討するときに費用やどこに頼めばいいのかなど、必要な情報が得られるように編集されている。
 CD-ROM郵送希望者は、同支庁経済部林務課林産係(Tel.0155・24・3111内線2521)へ問い合わせのこと。
CD-ROMを挿入するとデモ画面の後、自動的にこのページが開かれ、閲覧者は見たい情報にアクセスできる

オールウッドを初採用
江田建設 省エネ・健康面にも配慮

室内は角ログ風の仕上げだが、外観は自由。写真は塩ビサイディング仕上げ
 (株)江田建設(小樽市、江田清三専務)ではこのほど、フィンランドパインを床・壁・天井ほとんどの内装仕上げに使用したWWS工法(オールウッドシステム)を、札幌市清田区の住宅に初採用。今後、ログハウスを求めているユーザーにも提案していく考えだ。
 WWS工法とは、サンパックス(株)(室蘭市、泉澤高光社長)が開発した内装仕上げ工法で、同社が輸入している無垢のパイン材を、自社工場で図面に合わせてプレカット、現場で組み立てる方式なので、材料費は多少高くなるが内装工事の大幅な省力化が可能となり、オールウッドとしての低価格化を実現。
 壁・天井材は厚さ32ミリ、床材は17ミリ、建具にも無垢のパイン材をふんだんに使用、接着剤などはほとんど使わずに組み立てるので、シックハウス対策にも効果的だ。暖房システムは換気排熱を利用したヒートポンプ暖房を標準仕様としている。
 今回の住宅は、延床面積およそ50坪の在来木造2階建て。敷地は緩やかな勾配になっており、地階に駐車場・ホビールーム・玄関を設け、1階と2階を居住スペースとしている。
 玄関ホールの壁と天井の仕上げ材には多孔質性を持たせるため、ドライウォールコンパウンドにほたて漆喰を混ぜて使用、1階和室の壁にはタイガーケンコートを使用しているが、どちらにも有用微生物群の働きで抗酸化機能に優れた飲料水EM-X(イーエムエックス)や、有害物質を無害化させるEMスーパーセラを添加することで室内をクリーンな環境に高めている。この仕様で価格はクロス並み。
 そのほかは床・壁・天井・建具からキッチンやリビングに造り付けた収納棚まで全て無垢のパイン材。ログハウスとほぼ同様の仕上げで、給排水や設備など全て込み・税抜き坪40万円台という価格を実現した。外壁はメンテナンスの必要がない樹脂サイディングを全面に張っている。
 住宅の断熱仕様は、基礎に硬質ウレタンボード53ミリ、外壁に同61ミリを外張りし、屋根はグラスウール24K250ミリを使用した外張り断熱工法。


壁・天井の仕上げ材にほたて漆喰を混ぜて多孔質性を持たせた


室内はログハウスのように木に囲まれた空間
ヒーポンを全棟標準へ
 江田建設では、暖房の灯油消費量削減を目指すため、換気排熱を利用したヒートポンプ暖房(製造元・キーテック工業)を、昨年竣工した小樽市内の住宅に初採用。ユーザーが負担する暖房コストの軽減とCO2排出量の削減に貢献し、地球環境を守りたいという考えから、今回の住宅にもヒートポンプ暖房を採用する予定だ。現在NEDOの補助金を申請しているため、抽選結果が決まり次第取り付けることになっている。
 断熱性能もヒートポンプ暖房に対応できるように熱損失を抑え、気密性能を高めた。気密性能は0.39平方センチ/平方メートル。ヒートポンプ暖房は圧損抵抗を4分の1に小さくした北欧住宅研究所・川本清司所長が指導した改良型のシステムですべての暖房をまかなう予定。
 同社の江田清三専務は「ログハウスを希望している人の中には、価格を聞いてあきらめてしまう人が多いので、そんなユーザーにはWWS工法を勧めたいと思う。これからも地場の企業と協力しながら工務店らしいアイデアを提案していきたい」と話している。

製品プロフィール
製品名 EMスーパーセラ
部位等 接着剤などに添加
価格 2,500円/?
問い合わせ (有)熱帯資源植物研究所
沖縄県具志川市栄野比1212-4
098-972-4661
http://www.tpr-net.co.jp/
製品名 EM-X
部位等 塗料・接着剤などに添加
価格 5,000円/容量500ml
問い合わせ (有)熱帯資源植物研究所
沖縄県具志川市栄野比1212-4
098-972-4661
http://www.tpr-net.co.jp/
工法名 WWS工法
(オールウッドシステム)
部位等 内装仕上げシステム
価格 要見積り
問い合わせ サンパックス(株)
室蘭市柏木町11番5号
0443-55-4321
http://www.sunpax.jp/
製品名 エコアンドエコ
部位等 暖房用ヒートポンプ
価格 要見積り
問い合わせ キーテック工業(株)
札幌市北23条西3丁目1番25号
サンミッシェル北23
011-738-0711
http://keytech.cool.ne.jp/

技術テキスト改訂
北暖協 技術の進歩や法改正に対応
 北海道暖冷房換気システム協会(石原侑理事長、(株)第一セントラルシステム社長)では、暖冷房・換気に関するシステムの設計・施工とメンテなどの技術資料をまとめた『暖冷房換気システム技術テキストブック』(A4判・272ページ)を大幅改訂し、このほど発刊した。一般にも1冊5000円(送料別途)で販売する。
 今回の改訂では、暖冷房換気機器の技術の進歩や建築基準法の改正など業界における新たな動きに対応し、幅広く普及している温水セントラル暖房と、需要が高まっている冷房に関する情報を充実。さらにこれまで掲載していなかった融雪システムの情報を新たに紹介するとともに、燃料電池や電気ボイラー、電気蓄熱暖房、ヒートポンプなど、新しいシステム等についても取り上げている。また、計量表示単位を世界的に使われている「SI単位」に統一した。
 詳しくは同協会事務局(札幌市中央区南1条東1丁目パークイースト五階森永エンジニアリング内、Tel.011・251・9811、Fax.011・251・9814)へ。


大幅に改訂した技術テキスト

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