新住協札幌支部(武部英治支部長、武部建設(株)専務)が今年度と来年度の2ヵ年事業として進めている「Q1プロジェクト」の骨格が徐々にまとまり、札幌支部にとどまらず全道運動として来年のイベントに向け勉強会が進んでいる。
Q1プロジェクトとは、Q値(熱損失係数)1ワット/平方メートル・Kを1つの目標としながら、それぞれの地域で次世代省エネルギー基準のQ値1.6ワットの住宅に必要な暖房エネルギーを半減する住宅を提案するというもの。
室蘭工業大学鎌田紀彦教授の研究室が開発したQ値・暖房灯油消費量計算ソフト「Qpex」を使い、各社が“Q1”を施主に提案、実際に住宅を建設する。Q1の住宅を来年の秋頃をメドに一斉公開し、省エネ・CO2の削減と新住協としての家づくりをPRする考えだ。
9月15日には第1回の打ち合わせ会合が開かれ、10月末に開かれた4回の会合の中で断熱スペックや灯油消費量試算を行い、さらに細かな納まりやコスト試算なども行ったうえでユーザーを募集することになる。
断熱スペックの一例は別表の通りだが、この中で、現在のところポイントになっているのは開口部の断熱性能と換気による熱損失。
壁150ミリ断熱
まず壁の断熱は高性能グラスウール16Kまたは24Kの充てん100ミリプラス、外壁付加断熱としてグラスウールボード45ミリ程度。天井がセルロースファイバー300ミリ、基礎が押出スチレンフォームB3種60+60ミリ。
窓は木製トリプルアルゴンLow-Eガラスに、ブラインド代わりに断熱性能の高いハニカムサーモスクリーンを設置する。換気は第一種熱交換換気。
この仕様でQ値は間取りにもよるがおよそ1.0ワット。
換気については、熱交換換気を使わずに第三種換気とした場合は、そのほかが同じ仕様でもQ値は1.2ワット程度となる。熱交換換気と同様に換気排熱から熱回収するヒートポンプシステムなども考えられる。ヒートポンプシステムの場合、現状のQ値計算方法では熱損失の低減というかたちでQ値評価をできないが、暖房エネルギーの削減は可能になる。
窓についてはプラスチックサッシの在来商品ではかなり厳しく、Q1の先進国、スウェーデン製の木製サッシが標準的仕様となりそう。さらに断熱戸のように夜間の熱損失を抑える目的で、ハニカムサーモスクリーンを設置するとQ値を0.05程度低減できる。
プロジェクトではQ値1ワットを1つの目標としながら、いくつかの断熱仕様を検討し、コスト試算も踏まえてユーザーに提案する考えだ。
参加企業は札幌のほか全道の会員にも広がる見込み。 |
鎌田教授を交えて行われた会合の様子
Q1住宅の断熱仕様(例)
部 位
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断熱仕様
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断熱仕様2
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天 井
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CF300mm |
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壁
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高性能GW16K100mm |
GWボード45mm外付加 |
基 礎
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押出B3種外側60+内側60mm |
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窓
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木製トリプルアルゴン
Low-Eガラス |
ハニカムサーモ
スクリーン設置 |
換 気
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第一種熱交換 |
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