平成16年11月15日号から
NPO法人に移行
新住協 代表理事に鎌田先生と安田氏
代表理事に就任した室蘭工業大学鎌田紀彦教授(写真左)と
安田弘STV興発(株)会長(写真右)
 新木造住宅技術研究協議会(略称新住協。安田弘理事長、STV興発(株)会長)では、先月25日にNPO法人の認証を受け、今月一日から「NPO法人新木造住宅技術研究協議会」として新たなスタートを切った。

非営利活動を十数年
 新住協は、昭和60年に室蘭工業大学の鎌田紀彦教授(当時助教授)が新在来木造構法を発表したことを受けて結成された道内の工務店等による研究実践グループが起源。新在来木造構法普及研究協議会として木造住宅の高断熱・高気密化技術の普及に努め、平成五年に新木造住宅技術研究協議会に改称。以後、木造住宅の総合的な技術の研究・開発及び実践に取り組み、北海道・東北から中部・関西まで会員数650社の団体に発展した。これまでも営利を追求しない技術研究団体として活動してきたため、関係者はNPO的な性格が強い団体であると認識していたこともあり、今回、社会情勢の変化も考慮して任意団体からNPO法人への移行に踏み切った。

北海道 Q1プロジェクト推進
 NPO法人としての新住協は、仙台に統括事務局を置き、代表理事には室蘭工業大学教授・鎌田紀彦氏と安田弘氏の2人が就任。これまでは建築・設計・資材機器等の専門家を中心とした団体だったが、今後は「良質な住宅の普及を望む市民」と協働する市民活動的な性格も持つことになり、事業としては木造住宅の高性能化に関する工法、建材、設備機器等の技術研究開発事業高性能住宅に関する普及啓蒙活動事業高性能住宅の技術研究開発、普及啓蒙に関する出版、発行事業―の3項目が柱になる。

今年4月に開かれた総会で、NPOへの移行が報告された。写真は当日の様子
 代表理事の鎌田教授は「NPO法人化を機に、市民と一緒にもう一段高いステップの住宅運動を展開したいと考えている。道内では次世代省エネルギー基準による暖房エネルギー消費量の半減を目指すQ1プロジェクトを推進力としながら、より高い省エネルギー性やライフサイクルCO2、地震・火災に対する安全性、市民活動をキーワードに、これからの新住協の活動を第二次高断熱・高気密住宅運動として提唱したい」と話している。

来年には記念セミナーも
 道内については、11月5日号で報じたように、今年度と来年度の2ヵ年にわたりQ1プロジェクトを全道規模で推進。Q値(熱損失係数)1ワットを合い言葉に、暖房エネルギー半減という高い目標を掲げ、住宅会社と同時に一般ユーザーに対し、暖房に使われるエネルギー消費がCO2排出につながっていることや、その削減が地球温暖化を抑制すること、高断熱化やパッシブソーラー技術で暖房エネルギーの削減を目指す家づくりへの意識啓蒙を進める。
 来年前半には札幌・旭川・帯広などで記念セミナーの開催も予定しており、会員以外の専門家や一般ユーザーにも積極的に働きかけたいとしている。

冬場の凍害を解消
北美建 RC断熱改修にシュトー

EPSボードを張ってから塗り壁材で仕上げている様子
 (有)北美建(小樽市、今北光春社長)では、RCマンションの断熱改修工事に、ドイツ・シュトー社の外断熱外装システム「シュトーサーモ・クラシック」(販売元、(株)ダンネツ)を採用し、小樽市入船町の現場でこのほど改修工事を行った。
 このMSは、築50年ほどで6世帯が入居しているRC4階建て。入居者から結露が発生するという相談があったのでオーナーと打ち合わせた結果、断熱改修工事を行うことになった。
 どのような工法を取り入れるかが大きなポイントとなり、当初は発泡プラスチック系断熱材とスレートを組み合わせた複合板を張ってから、リシンで仕上げるという方法も検討された。しかし、複合板と複合板の張り合わせを処理するシーリングが切れてしまい、そこから水分が壁体内に侵入し凍害などの被害が起こったという例や、昼と夜の温度変化でスレートが膨張収縮を起こし、シーリング切れやビス穴から水分が侵入するといったことも考えられるため、シーリングを使わない工法としてシュトーサーモ・クラシック工法の採用を決めた。 
 簡単な施工で外断熱と塗り壁仕上げができる工法で、ドイツでは30年の実績がある。ビーズ法スチレンフォーム(EPS)を断熱材に使用し、その上に専用の塗り壁材を塗って仕上げる。断熱材の熱伝導率は0.039ワットで厚さ100ミリの製品を使った。


EPSボードのサイズを調整する専用器械
乾式工法で施工は手軽
 工事は既存の外壁に接着モルタルを塗ってからEPSボードを千鳥張りし、ジョイント部分の隙間は現場発泡ウレタンで処理。その上にベースコートを塗ってからグラスファイバーメッシュを埋め込んでしごき、24時間のオープンタイムをとった後、トップコートで仕上げている。工期は施工面積160平方メートルを3~4人で2週間ほどかかっており、価格は材工で1万8500円/平方メートル(税別)。
 防火認定の関係で新築はRC造のみの対応だが、近い将来には木造にも対応する予定。
 同社の今北光春社長は「シーリングを使わず凍害の心配がないので安心できる工法だと思う。骨材でいろんな表情を演出できることも大きな魅力」と話している。 


製品プロフィール
製品名 シュトーサーモ・クラシック工法
部位等 外壁
価格 18,500円(?/税別、※EPS100の場合)
問い合わせ ?ダンネツ市場開発推進室
札幌市白石区川下2127番地4
011-875-3969
[Home page]

多用途の仕上げ材
キャスケード 珪藻土など混ぜて使用可能

デコラテックスの製品ラベル
 キャスケードコンポーネンツ(本社アメリカ・シアトル)は、ドライウォール用万能コンパウンド「マジックマッド」にあらかじめ顔料を混ぜてそれだけで室内仕上げ材として使えるよう商品ラインナップを充実させ、商品名も「デコラテックス」として新たに発売した。

デコラテックス単体ではこのように白色に近い
 デコラテックスは、水性アクリル樹脂系の弾性コンパウンドをベースに、天然大理石の加工時などに出る粉末を主原料にしたホルムアルデヒドを一切含まない室内仕上げ用塗材。弾性が高いためクラックが入りにくく、塗りやすく速乾性の扱いやすさをセールスポイントにしている。アメリカでは移動中に微振動が絶えず加えられるトレーラーハウスの内装用として使われており、ドライウォール工法の下地となるコンパウンドとして販売していたが、珪藻土や貝殻粉末などの自然系塗り壁材を混ぜてそのまま下地兼仕上げ材として使われる場合が多いことに着目、使いやすいようにあらかじめ顔料を混ぜた着色品を用意し、アイボリー系、ベージュ系など八色程度を今後在庫予定し、商品名も仕上げ材として使えることをアピールするため変更した。原材料にホルムアルデヒドを一切含んでいないため、室内の仕上げ材として面積制限を受けることなく使用できる。
 1缶で139平方メートル施工でき、価格は2万3000円/缶(税別)。道内では(株)カネマツ(帯広市)が販売代理店となる。
 問い合わせは、キャスケードコンポーネンツ日本事務所(横浜市港北区新横浜3-20-5、Tel.045・475・0711)か(株)カネマツ(帯広市西11条南2丁目、Tel.0155・36・6428)へ。

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