シートで軸組緊結 |
エステートツカサ J建築のJBRA工法採用 |
(有)エステートツカサ(札幌市、飛世浩司社長)では、鉄筋の約五倍の引張強度を持つアラミド繊維を使ったJBRAシートとエポキシ樹脂系の専用接着剤で木造軸組接合部分を補強する「JBRA(ジャブラ)-1工法」を、このほど札幌市西区の新築現場で初採用。土台と柱の接合部など全14ヵ所にホールダウン金物等の代わりとしてJBRAシートを貼付した。同工法の新築住宅への採用は全国で初めて。
簡易に補強が可能
同工法は、J建築システム(株)(札幌市、手塚純一社長・工博)が開発したもの。高強度・高弾性の「全芳香族ポリアミド繊維」を一方向配列した幅10センチ、長さ30~70センチのシートを、柱と土台・基礎や柱と横架材などの主要な接合部の上に専用接着剤で貼り、構造材と一体化させることで、構造材の断面欠損などを起こすことなく容易な施工で構造補強を可能にした。今年初めに日本建築センターの「建築物等の施工技術及び保全技術・建設技術審査証明」を取得、優れた引張強度や耐久性、施工性が公的に証明された。
これまでにも既存住宅の耐震補強等に使われていたが、J建築システムでは新築にもホールダウン金物等の代わりとして使えるよう、数々の破壊試験や耐久性試験を実施してきた。また、実際の現場において品質が確保されるように「JBRA-1施工管理士」の資格を制定。同資格を取得した者が所定のマニュアルに則って施工管理する物件については、新築住宅でも同工法の採用が可能となった。
土台と柱をホールダウン金物の代わりにJBRAシートで緊結した箇所 |
JBRAシートをヘラでしごいているところ |
胴差と上下の柱をJBRAシートで緊結した箇所 |
ホールダウン金物の代わり
今回、エステートツカサでは、施工が容易で、技術指導を受ければ誰でも施工できる点に注目して、同工法を採用。延床面積約43坪の在来木造2階建ての新築物件で、土台と柱及び胴差とその上下に位置する柱の緊結にホールダウン金物の代わりとしてJBRAシートを貼付した。今回の現場では引き抜き力があまりかからない箇所は山形プレートを設置し、引き抜き力が大きい箇所にJBRAシートを貼付。引き抜き力に応じてJBRAシートの貼付け方法が決められている。
日本建築センターの「建築物等の施工技術及び保全技術・建設技術審査証明」では、シート長さ30センチで片面貼りした時の引張定着強度は17kN以上、両面貼りの場合は同33kN以上などと判断されているため、10kNのホールダウン金物が必要な箇所なら、JBRAシートを片面貼りすれば、金物の代わりとして同等以上の耐力を得られることになる。施工についても、職人によると「施工は金物より楽にできるし、慣れれば金物の半分程度の時間しかかからない」という。
エステートツカサの飛世社長は「部材コストはホールダウン金物より若干高くなるが、施工にかかる手間暇が軽減されるメリットを考えれば、その差はほとんどないようなもの。これからも全棟に採用していく予定だ」と話している。
JBRA-1工法に関する問い合わせは、J建築システム(Tel.011・573・7779、Fax.011・573・7811)へ。 |