平成16年10月5日号から
シートで軸組緊結
エステートツカサ J建築のJBRA工法採用
 (有)エステートツカサ(札幌市、飛世浩司社長)では、鉄筋の約五倍の引張強度を持つアラミド繊維を使ったJBRAシートとエポキシ樹脂系の専用接着剤で木造軸組接合部分を補強する「JBRA(ジャブラ)-1工法」を、このほど札幌市西区の新築現場で初採用。土台と柱の接合部など全14ヵ所にホールダウン金物等の代わりとしてJBRAシートを貼付した。同工法の新築住宅への採用は全国で初めて。

簡易に補強が可能
 同工法は、J建築システム(株)(札幌市、手塚純一社長・工博)が開発したもの。高強度・高弾性の「全芳香族ポリアミド繊維」を一方向配列した幅10センチ、長さ30~70センチのシートを、柱と土台・基礎や柱と横架材などの主要な接合部の上に専用接着剤で貼り、構造材と一体化させることで、構造材の断面欠損などを起こすことなく容易な施工で構造補強を可能にした。今年初めに日本建築センターの「建築物等の施工技術及び保全技術・建設技術審査証明」を取得、優れた引張強度や耐久性、施工性が公的に証明された。
 これまでにも既存住宅の耐震補強等に使われていたが、J建築システムでは新築にもホールダウン金物等の代わりとして使えるよう、数々の破壊試験や耐久性試験を実施してきた。また、実際の現場において品質が確保されるように「JBRA-1施工管理士」の資格を制定。同資格を取得した者が所定のマニュアルに則って施工管理する物件については、新築住宅でも同工法の採用が可能となった。


土台と柱をホールダウン金物の代わりにJBRAシートで緊結した箇所

JBRAシートをヘラでしごいているところ

胴差と上下の柱をJBRAシートで緊結した箇所
ホールダウン金物の代わり
 今回、エステートツカサでは、施工が容易で、技術指導を受ければ誰でも施工できる点に注目して、同工法を採用。延床面積約43坪の在来木造2階建ての新築物件で、土台と柱及び胴差とその上下に位置する柱の緊結にホールダウン金物の代わりとしてJBRAシートを貼付した。今回の現場では引き抜き力があまりかからない箇所は山形プレートを設置し、引き抜き力が大きい箇所にJBRAシートを貼付。引き抜き力に応じてJBRAシートの貼付け方法が決められている。
 日本建築センターの「建築物等の施工技術及び保全技術・建設技術審査証明」では、シート長さ30センチで片面貼りした時の引張定着強度は17kN以上、両面貼りの場合は同33kN以上などと判断されているため、10kNのホールダウン金物が必要な箇所なら、JBRAシートを片面貼りすれば、金物の代わりとして同等以上の耐力を得られることになる。施工についても、職人によると「施工は金物より楽にできるし、慣れれば金物の半分程度の時間しかかからない」という。
 エステートツカサの飛世社長は「部材コストはホールダウン金物より若干高くなるが、施工にかかる手間暇が軽減されるメリットを考えれば、その差はほとんどないようなもの。これからも全棟に採用していく予定だ」と話している。
 JBRA-1工法に関する問い合わせは、J建築システム(Tel.011・573・7779、Fax.011・573・7811)へ。

金物など値上がり相次ぐ
心配される住宅コストへの影響

OSBも木製品の中では値上がり幅が大きい
 このところ、建築金物の価格が上昇している。特にコモンネイル(CN釘)、鉄丸釘(N釘)は本紙が道内で毎月行っている木造住宅工事実行価格調査でも大幅に値上がりしており、加工番線や鉄筋関係も急上昇した。今後の見通しはどうなるのだろうか?


Z金物の値動きは比較的落ち着いている

CN釘は調査地によっては700円もの大幅な値上がり
 背景  中国経済の成長原油価格の値上がり
 鉄関連資材の値上がりは、中国経済の急成長が原因と言われ、その成長は2008年の北京オリンピックまでは続くと言われる。中国は世界最大の鉄鋼消費国になっており、全世界消費量の約4分の1を占める。鋼材を多量に使う自動車分野では、2000年に世界第8位、約200万台生産していたが、今年は約500万台を生産する見込みで、アメリカ、日本、ドイツに次いで世界第4位となる。また原油は一部産油国の政情不安や、ここでも中国の旺盛な需要などから、ニューヨークの原油先物市場が先月末に50ドルを突破するなど行き先が全く読めない状況だ。こうした影響で鉄をめぐる様々な相場が上昇する一方、樹脂製品や木製品の値上がりもあり、その余波が住宅建築業界にも及んできている。

広範囲に及び金物
 木製、ボード系なども CN釘、N釘、SN釘などを道内製造しているあるメーカーでは、昨年から原材料価格が上昇してきたことに対応し、今年3月から5月にかけて3回価格を改定し、さらに今月から出荷価格を平均5%ほど値上げするという。本紙の調査でも、CN釘が2350から3050円へ三割もの大幅な上昇となった調査地点もあり、値上げ幅は大きい。一方で、同じ棒鋼を原料に製造するZ金物は春先に価格改定を行ったが、末端価格にはあまり反映されていない。施工性や耐久性の良さを売り物にしたZマーク同等金物などもメーカーによってはすでに数%値上げしている。さらにZ金物、Z同等金物とも、7月と9月に原料が値上がりしたことを受け、年末の12月をメドに再値上げを予定している。
 建材の値上げは急激に上昇した鉄関係だけでなく、銅製品、塩ビパイプ、合成樹脂関連製品、石膏ボード、OSBなどの木材製品などと広範囲にわたっており、これからも年末へ向けてその動向から目を離せない状況だ。

新規見積り慎重に

 戸建の注文住宅が今ひとつパッとせず、受注競争の厳しさも相まって、ビルダーもこうした建材値上げをエンドユーザへ価格転嫁できずに我慢するケースも多く、とりわけ既に契約済みのケースは一層頭の痛いところ。建材の先行きは不透明、というよりは値上がりの可能性が強いと見られており、値上げする建材の品数が増えるにつれ、今後は市況動向の把握などにも力を入れる一方、見積単価、受注価格に慎重さが求められる。

土台の気密化工夫
アシスト企画 防水シートと気密材一体化

土台をぐるっと包み込むようにして室内側へ立ち上げる


ヌキの上に間柱施工で気密処理を省略できる。写真は基礎断熱の場合だが、布基礎でも使用できる
 (株)アシスト企画(札幌市、岡本勝社長)は、土台気密用パッキン付きの透湿防水シートを使い、基礎天端から土台の屋外側をぐるっと回し、室内側に先張りする新工法を札幌市北区新川の同社建築現場で初施工した。
 これまで同社では土台まわりの気密を確保するために、基礎断熱材の打ち込み時に基礎外周部に透湿防水シートを挟み込んで立ち上げ、土台上端から室内側に巻き込んで室内の防湿層と連続させていた。最近は、基礎天端ならしを省略、サンダーがけなどでレベル調整をする方法をとっているが、この方法だとレベル調整時に透湿防水シートを傷つけたり切断する可能性がある。そこで、日本住環境(株)(旧社名・宇部気密ハウジング(株))と今回使用した製品を共同開発、初施工した。
 製品名は「天端ジョシーツ500」。これは本紙8月5日号8面で紹介した「天端リスト」の姉妹品で、平行する2本のチューブ状EPDMゴム製パッキンを透湿防水シート「ジョシーツ」に接着したもの。
 施工は、基礎施工が終わってレベル調整後、基礎天端にゴムパッキン付き透湿防水シート「天端ジョシーツ500」を敷き込み土台を施工。土台外側から同製品シート部分を立ち上げて土台を包み込むように室内側に巻き込み、柱を建てる。その後室内の防湿層と連続させる。柱やアンカーボルトが貫通する場所では、あらかじめカッターなどで十字に切れ込みを入れる。土台上面はジョシーツを挟み込む形でヌキなどで抑え、釘打ちする。間柱はヌキの上から施工して気密処理を簡略している。
 土台と基礎天端の間の気密施工が簡素化されるほか、土台の室内側火打ち、大引き、根太受けなどが施工しやすくなるメリットもある。
 同社の岡本勝社長は、「気密テープなどで気密層貫通部分を補うような煩雑なおさまりをなるべく減らしたくて透湿防水シートを使った気密施工の合理化を進めてきたが、透湿防水シートをレベル調整時に傷つけるなどの心配があり、今回の工法を考えた。今後の当社の標準工法にしたい」と話している。
 「天端ジョシーツ500」は11月に日本住環境(株)から発売予定で、幅が500ミリで長さは20メートル巻。製品に関する問い合わせは、日本住環境札幌支店(札幌市中央区大通西5、Tel.011・222・6330)へ。

スワンヒルズ分譲開始
住まいのウチイケ こだわりの街並み計画

造成工事が終了したスワンヒルズの様子
 (株)住まいのウチイケ(室蘭市、内池秀光社長)では、室蘭市白鳥台の一画を宅地造成していたが、今月から分譲を開始する予定。きれいな街並みを形成するための配慮やロケーションの美しさが話題となり、本格販売前にもかかわらず既に3区画が売約となるなど注目を集めている。
 同社が企画・開発した白鳥台分譲住宅地「スワンヒルズ」は、総面積が3749平方メートル。全10区画で、1区画当たりの面積は82坪から116坪とゆとりある広さを確保している。白鳥台は市内でも高台にあるひらけた住宅地で、スワンヒルズがある白鳥台の南側は、白鳥大橋や室蘭港の全景が一望できる眺望に恵まれた場所。 
 きれいな街づくりを目標に掲げたスワンヒルズでは、デザインの統一感を演出することで景観を整えようという考えから、外壁材は木目調か木製外壁材、屋根材はファイバーグラスシングル材に仕様を制限するなど、様々な建築協定を定めている。また、建築物及び付属建築物の外壁後退距離は道路より1メートル、隣地境界線より1.5メートルとしている。

スワンヒルズから見た白鳥台と室蘭港の全景
 スワンヒルズを横断する幅員六メートルの道路は、ところどころに緩やかなアールをつけたり、電柱を敷地の裏側に立てるという工夫を凝らし、街並みの景観を引き立てるポイントとなっている。
 販売価格は、坪当たり5万8000円から6万8000円程度。
 同社の内池社長は「スワンヒルズを横断する道路では、ところどころにアールをつけるという設計を実現することが一番大変だった。きれいな街づくりは、外観や外構廻りなどデザインの統一を図ることが大事だと思う」と話している。

壁埋込型隠し金庫
アーステックジャパン 間柱の間にぴたりと納まる

左後部にビス用の穴が見える「まかせた蔵」

中はA4サイズまでの書類などがたっぷり収納できる
 アーステックジャパンは、このほど壁埋込型のセーフティーボックス「まかせた蔵」を発売した。家庭用金庫は、耐火性能を重視し、持ち去られにくいように厚く重く作られているが、最近はその場で解錠せずに重たい金庫でも複数人数で持ち去り、安全な場所で破壊するなどして盗み出すケースもあるという。「まかせた蔵」は金庫そのものを「見つけにくく」することが防犯性能を高めると考え、壁に埋め込む方式をとっている。例えば絵画を飾った裏側や、階段下のデッドスペースなど、いろいろな場所への取付けが考えられる。
 施工は、セーフティーボックスの側面に木枠をまわし、金庫本体と間柱にビス止めする。このため、金庫を容易に持ち去ることはできず、時間がかかる。壁から露出した前面部分は九ミリ厚の鉄板なので破壊されにくい。鍵は、暗証番号入力と防犯シリンダー錠によるダブルロック方式。暗証番号の認証は乾電池による電子式だが、万が一電池残量がないときなどは、外部電源を使って解錠することが可能。
 外形寸法は幅360×高さ290×奥行き190ミリで、重さは12キログラム。棚板を外すと中にはA4サイズの書類がたっぷり入る。設計価格は7万8900円(税込)。
 問い合わせは、同社(Tel.0155・61・1120)へ。

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