平成16年10月25日号から
道産カラマツの住宅利用促進へ
業界ぐるみ普及を図る

住宅への利用がさけばれている
カラマツ人工林
 三井物産林業(株)では、道内で伐採されたカラマツを木造住宅に広く取り入れてもらう、啓蒙普及に力を入れており、このほどその一環として、道南・豊浦町で須藤建設(株)(伊達市、須藤芳巳副社長)が施工中の現場の主要構造材にカラマツ集成材が使われたのを機会に、ビルダーや建築関係の業者に施工現場を見てもらい、カラマツは住宅でも安心して使えることを知ってもらう構造見学会を開催した。

過去のイメージ払拭
 戦後に植林された道内のカラマツ人工林の間伐材を、木造住宅の構造材に取り入れてもらう利用促進運動は、行政を巻き込むかたちで2、3年前から活発化してきた。しかし、これまでカラマツはねじれや曲がりが激しく材が暴れるということで、住宅の構造材として採用することに懸念を抱いているビルダーや木材会社が多い。最近は木材の乾燥技術が発達し、構造材として何の問題もなく使えるようになったものの、なお、カラマツに対しての先入観を解消するためのPR不足や価格の問題が障害となり、採用に踏み切れない現場が多いという。

カラマツの構造見学会が開かれた住宅の現場
現場公開された室内の一画。赤みがかった梁がカラマツ集成材
 この現場の施主は、豊浦町で木材店を営んでいる牧野康則さん。仕事で木材を取り扱っていることもあり、道産材に対しては大きなこだわりがあり、構造材にはカラマツ集成材を採用。「大事なことはみんながカラマツに関心を持ってくれること。北海道で建てる家には北海道の木を使うことで、北海道の森が守られ地域経済の活性化につながる、ということをわれわれと一緒に工務店の方々も消費者へ伝えてほしい。そのためにも、自宅の建設にカラマツ材を採用、現場見学を通じてたくさんの人に良さを知ってほしい」と牧野さんは語る。
 一方、須藤建設ではこれを機会に今後の自社物件にカラマツ集成材を全棟に採用していく考えだ。同社の須藤副社長は「以前から地場材を使った家づくりを考えていたが、コストの問題もあり採用には踏み切れなかった。しかし、カラマツの乾燥技術が確立されてきたうえ、価格の問題も解消されたので、道産子として道産カラマツを使わないわけにはいかない。
 これからは、カラマツの赤身を活かせるように、室内を真壁にして柱や梁を見せたり、造作材にもカラマツを使うなどしてデザイン性を高めていきたい。工法は新在来構法を標準としているので、プレカット工場との連携も大事になってくるが、ソフトとハードの両面でしっかりとした家づくりが行えるよう努力したい」と話している。
 現在、道内に流通しているカラマツはほとんどが小径木のため、住宅の構造材には集成材として使われているが、ある程度の年数が経過すれば無垢材として使えるようにもなる。製材価格は輸入材の相場が基準となっていることから、製造元のオホーツクウッドピアでは、カラマツ集成材を輸入材と同じ程度の価格で販売していくことで、これまでの割高感の解消を狙っている。
 三井物産林業の金川営業部長は「間伐期を迎えたカラマツは、何らかの方法で利用しなければならない。今まで大半は使い捨てのような梱包材などに使われてきたが、できることなら何十年も人が住む住宅に使ってもらいたい」と話している。

RC部分を合理化
小樽・江田建設 断熱型枠で生コンを打設

一発型枠君で基礎を立ち上げた札幌市西区の現場。断熱型枠をさらに積み上げ1階のRC壁を造る
 (株)江田建設(小樽市、江田清三代表取締役専務)では、1階RC造の3階建て住宅の1階RC部分に、積み上げ施工が可能な断熱兼用型枠材「一発型枠君」(サンパックス(株))を施工し、このほどその住宅を札幌市西区に完成させた。
 基礎断熱工法を採用している現場では、断熱兼用型枠で基礎を立ち上げる方法も取り入れられているが、一発型枠君は何段にも積み上げ施工ができることから、本州ではRC造の躯体に採用する現場が増えている。
 今回の住宅は1階が一発型枠君で立ち上げたRC構造で、2階と3階は新在来木造構法。1階が親世帯、2階と3階を子世帯に分けた完全分離型の二世帯住宅で、1階は間仕切り壁も一発型枠君で立ち上げており、三LDKで生活にかかわる設備も全て整っている。ユーザーによると「室内は隣の部屋の話し声が全く聞こえないほどの静けさで、給気口の風切り音が耳に入る程度の防音性の良さ」という。
 施工は、土間コンクリートを打ち、布基礎はビーズ発泡ポリスチレンフォーム・厚さ57ミリの一発型枠君で型枠を組んでから、同じように1階の外壁と間仕切り壁も一発型枠君を積み上げ、生コンを打設、壁厚は264ミリ。最後に内装と外装を仕上げている。同製品の規格サイズは幅1200ミリ×高さ300ミリ×厚さ57ミリ。この一発型枠君の寸法に住宅のモジュールを合わせて設計すると、部材の無駄なロスがなくなり施工効率が良くなるという。
 RC部分の外壁仕上げは、断熱兼用型枠材にグラスファイバーメッシュを張ってから塗り壁材「プレスウィット」(サンパックス(株))のベースコートと仕上げコートを塗っている。
 同社の江田清三専務は「通常の型枠工事のように単管類や型枠をばらす手間がなく、容易に施工できる分だけ工期短縮につながり、工夫次第ではさらにコストを下げることもできる。今後、RCマンションにも断熱兼用型枠の採用を考えている」と話している。

外壁仕上げは1階がプレスウィット、2階がサイディング張り

製品プロフィール
製品名 一発型枠君
部位等 基礎、RC壁など
価格 1,500円(1セット/税込)
問い合わせ サンパックス(株)
室蘭市柏木町11-5
0143-55-4321
[Home page]

製品名 プレスウィット
部位等 外壁
価格 3,420円(?/税込)
問い合わせ サンパックス(株)
室蘭市柏木町11-5
0143-55-4321
[Home page]

繊維改善し断熱性アップ
東洋ファイバー マグ・ルージュ

在来壁用の16K・100ミリ製品
 東洋ファイバーグラス(株)では12月から従来の高性能グラスウールに替わる新商品として、断熱性能をアップし撥水性能を持たせるなどした新しい高性能グラスウール「ハイパーマグウール・MAG Rouge(ルージュ)」を発売する。ルージュはフランス語で赤色。製品色は赤色となる。
 繊維径を従来品の4~5ミクロンから3~4ミクロンへと細くして密度を上げずに性能をアップさせた。熱伝導率は16Kで0.037ワット/メートル・K。また細繊維化に伴い繊維質の改善に取り組み、繊維の飛散量を従来品比で3分の1に抑えたほか、自立性を向上させ、施工性をアップさせた。
 これら従来品からの改善のほか、業界初というすべての繊維に撥水機能を持たせた。グラスウールはもともと水を含んでも繊維方向への水の抜けはいいのだが、施工時の雨などユーザーの不安を極力解消するため、製品表面だけでなくすべての繊維に撥水処理を施した。
 製品は16Kと24Kがあり、主力となる16Kは在来の床・壁用、在来4寸用(120ミリ厚)、ツーバイシックス用(140ミリ厚)のカット品のほか、フリーサイズのロール品がある。24Kはツーバイフォー用(90ミリ厚)、在来用のカット品とロール品。
 パッケージを見て製品が分かるよう、赤色をベースに製品グループごとにパッケージデザインを変えた。
 工務店入り価格については問い合わせのこと。
 なお、同社では新製品の発売を記念して、12月から来年1月末まで2ヵ月間、高級フランスワインプレゼントキャンペーンを行う。新製品のブランド名「マグ・ルージュ」にちなみ、同製品30本注文ごとに赤ワインを1本プレゼントする。
 製品の問い合わせなどは同社本社営業部まで(札幌市中央区北3条西4丁目札幌第一生命ビル、Tel.011・232・3411)。

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