(財)住宅保証機構では今年度から性能保証住宅設計・施工基準を改訂、木造住宅の屋根は「勾配屋根としなければならない」と定め、木造のフラット屋根を禁止。10月から新基準を適用しているが、北海道については特記仕様を「北海道版」として用意。この中で無落雪屋根としてM型無落雪とともにフラットルーフを認めた。
まずM型無落雪は下図の通りで、住宅金融公庫の仕様書分冊北海道版などと大きな違いはない。主なポイントは1.屋根板金と横樋とのつかみの部分をしっかり施工する(この部分からのスガモリが多い)
2.横樋を途中で継がない 3.横樋まわりと野地下に断熱材を施工する 4.横樋の下は小屋裏換気を妨げないよう高さを確保する 5.縦樋は階下にまっすぐ下ろす(小屋裏等で横引きしない)。
次にフラットルーフは、当初はフラットルーフを禁止し、M型または勾配屋根だけとする考えだったが、じゅうぶんな設計・施工配慮があればスガモリ事故を避けられるほか、道東や道北で広く普及している点も踏まえ、条件付きで認めることになったもの。
フラットルーフの定義は、十分の一未満の勾配とし、それ以上は勾配屋根とする。
基準は1.材質は塗装溶融亜鉛メッキ鋼板(同等以上の鋼板) 2.葺き方は立平葺き(同等以上の防水性能) 3.パラペットを設ける場合、立ち上がりは原則水上部で120ミリ以上
4.勾配は100分の5程度以上 5.シーリングは適切な個所に連続して施工 6.天井及び屋根の下部を適切に断熱 7.積雪時に屋根面にたわみが生じないよう根太および下張り合板等の仕様は地域の積雪量に応じたじゅうぶんなものとする―の七点。
このうちポイントになるのは4.の水勾配と⑦のたわみの問題。特にたわみについては、積雪荷重によってたわみが発生してしまうと水勾配がとれなくなるため、たる木や母屋のピッチを十分に検討し、安全な設計をしてほしいとしている。たわみがなければ勾配については水勾配が確保できる程度で設計してよい、という考え方だ。
このほか小屋裏の換気と天井面の断熱・気密性、継ぎ手の防水材などについては十分に配慮してほしいとしている。
釧路20日など講習会を実施
なお、同機構では改訂された性能保証住宅設計施工基準・標準仕様の講習会を開催中で、今後の予定は次の通り。
釧路・20日(水)釧路キャッスルホテル(大川町2)▽帯広・21日(木)寿御苑(西7条南6)▽函館・11月9日(火)函館建築工業協組研修室(高盛町19)▽胆振日高・11月10日(水)室蘭市中小企業センター(東町4)。時間割は共通で午後1時から4時まで。内容は1.性能保証住宅設計施工基準・標準仕様と同北海道版
2.住宅金融公庫の証券化支援事業 3.住宅保証制度。講師は同機構のほか公庫北海道支店職員、住宅保証制度の事務機関。
問い合わせは(財)北海道建築指導センター住宅保証部へ(Tel.011・271・9980)。 |
通し吊り子、防水パッキンなどによって防水性を高めたフラットルーフの屋根例
((株)キムラ・ヤネ興業カタログから)
M型無落雪屋根の施工例〈参考図〉
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