平成16年1月25日号から
電気暖房を総合評価
北海道電機 製品実証住宅『プロメテウス』
 北海道電機(株)では、同社の主力製品である電気蓄熱暖房器などの電気暖房システムの性能を検証するとともに、オール電化のモデルハウス機能も備えた製品実証住宅「プロメテウス」を昨年11月に完成させた。現在はデータ取りを行っており、見学者も多く訪れている。
同一性能で2棟建設
快適・経済性など相互比較

 プロメテウスは、ギリシャ神話の神々のひとりで、「叡知をもって未来を見通し、新しい製品を創造する」という意味をこめて名付けられた。プロメテウスでは、様々な電気暖房システムの経済性、快適性などのデータを収集して総合的な評価を行い、最適な電気暖房システムの組み合わせを探り、同社の今後の製品開発に役立てる。異なる暖房システムの比較検証を高い精度で行うため、性能、間取りともに全く同一の住宅「プロメテウス1」と「プロメテウス2」の2棟を空知郡奈井江町の本社敷地内に建設した。
 住宅内には同社が主力とする電気蓄熱暖房器以外に、最近登場した電気ボイラーやエアコン、ヒートポンプシステムなどの他社製品も設置されている。片方の住宅が電気蓄熱暖房器でデータ取り、もう片方はエアコン暖房でデータ取り、というように1~2週間毎に暖房機器の組み合わせを変え、室内・室外の温湿度、暖房の消費電力、室内風速などを24時間体制で計測する。
 プロメテウス1、2とも木造平屋建て、延床面積約71平方メートルのツーバイフォー住宅で、施工後の実測値は相当隙間面積が0.8~0.9平方センチ/平方メートル、熱損失係数が約1.6ワット/平方メートル・Kと両棟ともほぼ同一性能で次世代省エネ基準もクリアしている。施工は松本建工(株)が担当した。

洋室の奥にデータ収集専用の小部屋がある
 設備はオール電化仕様で、給湯は寒冷地向け「エコキュート」給湯機、調理はIHヒーターを採用。ロードヒーティング、浴室、トイレ、和室などをプランに取り入れ、空知地区では数少ないオール電化住宅のモデルハウスとして工務店がエンドユーザーを連れて見学することもできる。
 同社は道内唯一の電線メーカーとして1987年に設立、その後1992年に電気蓄熱暖房器の道産化に初めて成功したほか、コネクタ付光ケーブル・コード、光ドロップケーブルの生産、北海道電力の地中送電監視システムや全国初の『介護保険システム』の納入など、地域密着型の企業として発展してきた。近田社長は、「あらためて自社製品を見つめ直し、本当にお客様に満足いただける製品を提供するため活用したい」と話している。
 問い合わせは、同社札幌支店(Tel.011・221・7789)へ。

実証住宅「プロメテウス」外観


実際に生活できる間取りとして設計されている

アセトアルデヒドが課題
VOC濃度実態調査
 室内空気中のホルムアルデヒド等の化学物質濃度の現状を把握することを目的に、平成12年度から実施している実態調査の平成14年度の結果がこのほどまとまり、国土交通省から発表された。
 14年度の調査では、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレンに加え、アセトアルデヒドを対象とした。
 結果は別表の通り。昨年七月から建築基準法の規制物質となっているホルムアルデヒドは、指針値(0.08ppm)をオーバーした住宅が1戸だけ、割合では0.2%となり、ほとんどが基準をクリアした。このほかトルエンとスチレンも一戸を除いて基準をクリア、キシレンとエチルベンゼンはすべてが基準をクリアした。
 一方でアセトアルデヒドは14年度夏の調査で9%、冬の調査では16%もの住宅が基準をクリアできなかった。ホルムアルデヒドにかわり、最近はアセトアルデヒドが検出されるようになってきたとする研究機関などの調査を裏付ける結果となった。
 また、12年度に指針値をオーバーした住宅の追跡調査では、ホルムアルデヒド濃度が冬場は低くなるものの夏場は再び上昇している実態が明らかになっている。14年冬の調査ではホルムアルデヒド・トルエンともに基準をオーバーした住宅がほとんどないが、過去の例からみて、翌夏には再び濃度が上昇し基準をオーバーする住宅が増えることも予想される。
 
新築1年以内の調査

12年度冬期
13年度夏期
14年度夏期
14年度冬期
ホルムアルデヒド
指針値=0.08ppm
平均濃度
0.073ppm
0.050ppm
0.043ppm
0.020ppm
超過住宅の割合
28.7%
13.3%
7.1%
0.2%
トルエン
指針値=0.07ppm
平均濃度
0.041ppm
0.023ppm
0.017ppm
0.003ppm
超過住宅の割合
13.6%
6.4%
4.8%
1.7%
キシレン
指針値=0.20ppm
平均濃度
0.006ppm
0.009ppm
0.006ppm
0.001ppm
超過住宅の割合
0.2%
0.3%
なし
なし
エチルベンゼン
指針値=0.88ppm
平均濃度
0.010ppm
0.005ppm
0.003ppm
0.002ppm
超過住宅の割合
なし
なし
なし
なし
スチレン
指針値=0.005ppm
平均濃度
実施せず
0.002ppm
0.004ppm
0.019ppm
超過住宅の割合
1.1%
なし
0.8%
アセトアルデヒド
指針値=0.03ppm
平均濃度
実施せず
実施せず
0.017ppm
0.022ppm
超過住宅の割合
9.2%
16.3%


平成12年度新築住宅の追跡調査
 
12年度冬期
13年度夏期
13年度冬期
14年度夏期
14年度冬期
ホルムアルデヒド
指針値=0.08ppm
平均濃度の変化
0.113ppm
0.073ppm
0.031ppm
0.055ppm
0.031ppm
超過住宅の割合
(100%)
31.1%
0.3%
12.9%
1.0%
トルエン
指針値=0.07ppm
平均濃度の変化
0.151ppm
0.022ppm
0.013ppm
0.009ppm
0.006ppm
超過住宅の割合
(100%)
5.5%
1.6%
0.8%
1.6%
 


軟弱地盤の補強基礎
コングロエンジニアリング 耐震性優れたMS基礎工法
 コングロエンジニアリング(株)(本社東京都)は、ベタ基礎とその下に設置する「地中改良壁」によって、基礎の不同沈下を防止する戸建住宅に適した軟弱地盤用基礎補強工法「MS基礎工法」(特許取得済)を本州以南で発売、既に10年間で1万棟以上の施工実績があり、北海道市場への参入も予定している。
 MS基礎工法は、ダブル配筋のベタ基礎(耐圧版)と地中改良壁、地耐力が不足する場合に採用する湿式柱状改良杭によって構成する。
 地中改良壁は小型パワーショベル1台で施工できる。所定の間隔で幅450ミリ、深さ600~1200ミリに掘削した土にソイルセメントを混入攪拌して埋め戻し、十分な転圧をかけて作るもので、幅450ミリの改良壁接地面とベタ基礎接地面が地盤を安定させ、不同沈下を防ぐ。耐圧版は高い剛性が必要となるため、300×200ミリピッチのダブル配筋・スラブ厚も175ミリと頑丈につくる。
 地盤の状況に応じて、粉体のセメント系固化材と水でセメントミルクを作ってポンプで圧送し、ロッドの先から吐出させて地中で土と混合攪拌する湿式柱状改良杭を併用すると、より安定した基礎となる。
 同工法は施工が簡単なほか、残土の宅外処分も少ない。施工後は同社による10年間の保証が付く。価格は地質の条件により大きく変わるが、だいたいベタ基礎よりも50万円程度割高になるという。
 問い合わせは、同社(東京都品川区南品川2-4-7、Tel.03・5461・9820)へ。
 

汚染空気をすぐ排出
宇部気密ハウジング セントラル換気用局所換気
 宇部気密ハウジング(株)では、第三種換気システムに取り付ける局所換気パッケージ「ぷらすワン」を2月から発売する。同社が販売する全ての第三種換気システムに使用できる。タバコの煙など全般換気では排出に時間のかかる汚染空気を発生源から素早く屋外へ排出する。
 ぷらすワンは、ダクト式の局所排気で、汚染空気の排出源となる部屋に本体を取り付け、ダクトは第三種換気システムの排気ファンと外排気間の配管にT字管で接続する。
 最大換気量は約90立方メートル/時で、タバコの煙や焼き肉の臭いなど、室内空気が著しく汚染されたときにスイッチを入れ、オフの時はぷらすワン内蔵のダンパーが閉じるため第三種換気システムへの影響はない。建物の外壁に新たに穴を開ける等の工事が必要なく、外壁の汚れや凍害などの心配もない。
 ファンの埋込寸法は175ミリ角、接続ダクトは100ミリ径で、騒音は29dB、本体質量は1.6キログラム。商品は、ファン本体、フレキダクト、T字管など施工に必要な部材がすべてセットされている。設計価格は4万円/1セット。
 問い合わせは、同社札幌支店(札幌市中央区北1条西5丁目興銀ビル、Tel.011・222・6330)へ。

ファン本体。これと、スイッチとフレキダクト、T字管、結束バンドなどをワンパッケージにした

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