平成15年9月5日号から
軸組の強度アップ
北見・建築館みうら LVLと接合金物を利用

LVLと集成材をクレテック金物で緊結した軸組
 建築館みうら(北見市、三浦秀秋代表)では、LVLと集成材の軸組をクレテック接合金物で緊結し、床組はプラットフォームとすることで構造体の強度と耐久性・施工性を高めると同時に、換気排熱を利用したヒートポンプの採用によって暖房灯油消費量の削減も目指した住宅を、このほど常呂郡訓子府町で完成させた。

 今回の住宅は延床面積約60坪の2階建て。同社ではこれまで、軸組には集成材を使用し、継手・仕口は現場で加工していたが、今回はより強度や耐久性に優れた構造を熟練大工でなくても施工できる工法にすることと、外周壁の構造をしっかり造って室内のスパンを飛ばし、間仕切り設置の自由度を高くすることを考え、通し柱にせん断力に優れるLVL、その他の柱と梁・桁・大引にホワイトウッド集成材、2階床根太にI型ジョイストを使用し、軸組の緊結にはマニュアルが充実しているクレテック金物を採用した。
 通し柱と土台はアンカーボルトに取り付けたクレテック柱脚金物とボルト、ドリフトピンで緊結し、横架材は柱にあらかじめ取り付けておいたクレテック接合金物の上から落とし込んで、ドリフトピンで留めるだけ。軸組外側にはOSB9.5ミリ3×10尺を釘打ちして耐力を確保。金物を取り付けるための柱の加工はプレカット工場で行い、金物の取り付けは現場で行った。


通し柱にLVLを使用している
在来軸組にI型梁使用
 また、床組は1、2階ともプラットフォームで、1階は910ミリピッチで入れた大引きの上に構造用合板28ミリを直張りし、2階は梁間にI型ジョイストを303ミリまたは455ミリピッチで入れて同24ミリを直張り。
 以前は2階梁間に集成材の根太を入れていたが、音が響きやすかったうえ、梁に欠き込みすることで梁の強度が落ちると考え、I型ジョイストに変更したとのこと。遮音を徹底するため、I型ジョイスト間にはGWブローイングを吹き込み、さらに2階床下地の構造用合板の上には防音効果があるコンビボード(大建工業)を敷いている。
 断熱は基礎が押出スチレンフォームB3種70ミリ、外壁が軸間に乾式吹き込みグラスウール100ミリ充てん+外側フェノールフォーム25ミリのダブル断熱(付加断熱)、天井がGWブローイング300ミリ。
 床・壁の面材を張る前の状態でも躯体が揺れることは全然なく、相当の強度を体感できたといい、工期も建て方などの詳細なデータは取っていないが、初めての大工でも手間取ることはなく、従来であれば3ヵ月かかるところを2ヵ月で終えることができたという。コストは金物やプレカット分が割高になるが、工期が短縮されたことで相殺されているそうだ。

HP(ヒートポンプ)で換気廃熱回収
厳寒地での省エネ手法に

 換気・暖房は灯油温水セントラルに換気排熱を回収するキーテック工業のヒートポンプを組み合わせて、暖房灯油消費量の削減を図っているのが大きな特徴。
 換気は第三種換気だが、布基礎に設けた150φの給気口から基礎断熱した床下に新鮮外気を取り込み、抑えコンクリートの一部に施した温水暖房のパイプによって予熱した後、風量100立方メートル/時のパイプファンで各階1箇所ずつダクトを通じて給気するという独自のシステム。排熱の回収効率を高めるため、換気ファンは2台設置しており、それぞれの排気ダクトはヒートポンプ本体に接続。排気に含まれる廃熱を回収して温水暖房用の不凍液と熱交換し、暖房に利用する。熱量が不足する時は灯油ボイラーで補う仕組みになる。
 計算上は、冬期の暖房灯油消費量が1ヵ月100リットルで済むといい、コストは通常の温水パネル暖房と比べると材工で50万円ほど割高になるが、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から補助金を受けることにより、施主の負担はかなり少なくなるという。
 同社の三浦代表は「全ての面で自社の工法として、完成に近づいた。今後はプランや室内空間利の有効利用などのソフト面でもオリジナリティを出していきたい」と話している。

外壁の断熱は軸間グラスウール乾式吹き込み100ミリとフェノールフォーム25ミリのダブル断熱
製品プロフィール
製品名 Finland Laminated Timber(LVL)
部位等 軸組通し柱
価格 およそ85,000円/ m3
問い合わせ 佐藤木材工業?苫小牧支店
苫小牧市晴海町26番7号
0144-53-8800

製品名 I型ジョイスト
部位等 2階床根太
価格 およそ70,000円/m3 (ランバー換算で)
問い合わせ 佐藤木材工業?苫小牧支店
苫小牧市晴海町26番7号
0144-53-8800

製品名 クレテック金物
部位等 軸組緊結金物
価格 要問い合わせ
問い合わせ 佐藤木材工業?苫小牧支店
苫小牧市晴海町26番7号
0144-53-8800

製品名 キーテック エコアンドエコ
部位等 暖房用ヒートポンプ
価格 要見積り
問い合わせ
キーテック工業?
札幌市北区北23条西3丁目1番25号
サンミッシェル北23
011-738-0711

2台の換気ファンから排気ダクトを接続しているヒートポンプ本体

基礎断熱のクラック対策
八雲町・加納工務店 弾性仕上げ材スタッコレックス

スタッコフレックスを基礎の仕上げに使用した住宅
 (株)加納工務店(八雲町、加納昭平社長)では、内外装用のコテ仕上げ材として使用されているスタッコフレックス(総発売元キャスケードコンポーネンツ、本社・米国ワシントン州)が基礎断熱の表面仕上げ材としてクラック抑制に効果があることから、基礎断熱住宅の全棟に標準採用している。
 以前、同社では基礎断熱の表面をモルタルで仕上げていたが、クラック発生の防止が課題となっていた。そこで加納社長は伸縮性と弾力性に優れたスタッコフレックスに着目。北欧や北米では外装仕上げ材として広く使用されていることもあり、昨年から採用に踏み切った。
 スタッコフレックスは、ドイツの化学製品メーカー「ロエサルケミカル社」が開発し、アメリカで商品化されたもの。製品はどのような下地にも塗ることが可能。メンテフリーで耐久性に優れている点も特徴だ。表面はリシン吹き付けのように仕上がり、仕上げ材の色は40色ある。
 加納工務店で行っている施工方法は、最初にベースコート1缶の半分を別容器に取り出し、同量のセメントを少量混ぜ合わせながら攪拌して下地材を作る。そして発泡断熱材の上に下地材を薄く塗り、その上にグラスファイバーメッシュを全体に貼ってからさらに下地材を塗る。下地材の塗り厚は3ミリ程度を目安としている。最後に専用の仕上げ材を塗って完成。
 同社の加納社長は「30年、40年先のことを考えたとき、耐久性に優れた製品の良さは必ずユーザーに理解してもらえると思うので積極的に採用している。スタッコフレックスをモルタルの価格と比較すると、1軒あたり約2万円ほど高くなるが、クラックの改修費用を考えると高いものではないので自信を持ってユーザーに進めている」と話している。


頭が痛い基礎断熱の仕上げ
 【解説】基礎断熱の仕上げモルタルに発生するごく細いクラックは、多くのビルダーが頭を悩ませている。
 原因は、押出スチレンフォームなどの板状断熱材が熱によって膨張伸縮するためと言われており、基礎のモルタルが断熱材の動きに追従することにより、割れてしまうわけだ。
 布基礎に発生する構造体のクラックではないので強度低下の心配はないが、見栄えが悪い上に印象もよくない。
 クラック防止には、炭素繊維入りのプレミックス樹脂モルタル「CFモルタル」((株)タイガー産業)があるほか、ビルダーなどがさまざまな工夫を凝らしているのが現状だ。

表面はリシン吹き付けのように仕上がる


製品プロフィール

製品名 スタッコフレックス
部位等 内装・外装仕上げ材
価格 4,500円~5,000円/m2(材工込)
問い合わせ ?カネマツ
帯広市西11条南丁目12-8
0155-36-6428

小型の気密測定器
コーナー札幌 高精度な風量測定器も発売

気密測定器KNS-5000C

風量測定器KNS-300
コーナー札幌(株)では、このほど制定された気密性能試験方法についてのJIS(A2201)に対応したコンパクトタイプの住宅気密測定器「KNS-5000C」を発売した。測定器本体が薄型で軽量、取り扱いが楽になった。
 プリンター内蔵で本体が6.4キログラムと軽量なほか、スタートボタン1つで全自動測定。データは100棟分記録でき、パソコンへの送信もできる。付属のソフトでJIS・IBEC方式の試験結果報告書が作成できる。
 測定器本体のほか、整流筒と送風機、窓取り付けプレート、三脚と専用受け台、付属品として初期消耗品一式と付属ソフトがついており、従来の整流筒も使える。価格は一セット75万円。
 同社はまた、換気システムの風量測定器「KNS-300」を発売した。シックハウス対策のための建築基準法改正により、換気設備の設置が義務化されたが、風量測定器は最も確実に換気風量を確認する方法としてこれまで以上に注目を集めている。
 同製品は特許出願中の半導体センサによって風量を検出するもので、10立方メートル/hの小風量から正確な測定が行える。
 測定方法は本体を排気グリルなどにあてるだけ。数値は瞬時にデジタル表示される。測定範囲は10~300立方メートル/h、電源は充電式ニッケル水素電池。携帯に便利なコンパクトタイプ。
 価格は19万8000円。
 問い合わせは同社へ(札幌市白石区南郷通2丁目北1-29、Tel.011・863・1911)。
 

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