平成15年6月5日号から
「F☆☆☆☆」品投入で値上げも
建材・設備機器メーカー 新JIS・JAS対応アンケート
建材・設備機器メーカー 新JIS・JAS対応アンケート
 シックハウス対策を盛り込んだ改正建築基準法の施行を来月に控え、本紙では新JIS・JAS規格のF☆☆☆☆に対し、主要な建材・設備機器メーカーに製品の対応や価格動向についてアンケートを実施。その結果、各メーカーともF☆☆☆☆の製品開発を積極的に進めており、今後の焦点はビルダーがいつから対応品を入手できるかに移ってきた。また、複合フローリングなどで値上げの動きが顕著であることがわかった。

設計価格は最大1割高に
複合フロア・合板 回答全社が四星揃える

 今回のアンケートは、JIS・JAS製品の四月からの新規格、とりわけシックハウス対策のキーポイントとなるF☆☆☆☆への対応と、価格をどのように設定するのかを記入するアンケート用紙を建材・設備機器メーカー四十一社に送付、うち三十三社から回答を得た。
 複合フローリングは、永大産業(株)や(株)パルなど13社中10社が全てF☆☆☆☆化すると回答。一部の製品にF☆☆☆やF☆☆も残ると回答したトステム(株)、松下電工(株)、大建工業(株)を加えると、全メーカーがF☆☆☆☆対応製品を揃えるとしている。トステムは新商品としてF☆☆☆☆対応製品をラインナップし、松下電工は基本的に全てF☆☆☆☆対応とするが、直張り床材はF☆☆☆対応製品も揃える。
 F☆☆☆☆対応製品の価格は、(株)ウッドワンやユアサ建材工業(株)など6社が従来品より値上げする。値上げ幅は2~10%程度。松下電工、パル、東洋プライウッド(株)の3社も一部値上げ。値上げしないのはトステムと東リ(株)の二社。全体的に値上げに動くメーカーが多い。
 合板(OSB含む)は、東洋プライウッドや丸玉産業(株)など5社中4社が全てF☆☆☆☆対応。一部の製品にF☆☆☆やF☆☆も残る島田産業(株)を含めると、全メーカーがF☆☆☆☆対応製品を販売する。
 F☆☆☆☆対応製品の価格は、島田産業と札鶴ベニヤ(株)が五%以上の値上げ、東洋プライウッドと丸玉産業が一部値上げ、値上げなしとしているのはトステム一社だけ。複合フローリング同様、値上げが目立つ。

主な建材・設備機器メーカーの新JIS・JAS規格への対応状況
(別ウィンドウが開きます)

仕上材は万全の四星
クロス・接着剤・塗料 従来品と価格も変わらず

 クロスは、(株)サンゲツやリリカラ(株)、トキワ工業(株)など五社全てF☆☆☆☆に対応する。内装仕上げに使われることが最も多いだけに、各メーカーのF☆☆☆☆対応は当然の流れと言える。価格も値上げしない。クロス用接着剤についてもクロス同様、2社ともF☆☆☆☆に対応し、値上げはしない。
 一般接着剤は、全4社ともF☆☆☆☆に対応。コニシやセメダインはJIS規格と同等の日本接着剤工業会の品質規格で自主表示登録製品となるJAIA・F☆☆☆☆の製品も揃えている。価格は東リ(株)の一部商品(エコロイヤルセメント)が5%値上げ。他社は値上げしない。
 塗料は、日本ペイント(株)や関西ペイント(株)など4社が一部の製品にF☆☆☆またはF☆☆が残るとしており、全てF☆☆☆☆は1社のみ。メーカーによるとJIS規格の中でもSOP(合成樹脂調合ペイント)は原料の性質上、必然的にF☆☆☆かF☆☆になってしまうので、全商品F☆☆☆☆化は難しいとのこと。F☆☆☆対応製品の価格は、値上げをしないメーカーがほとんどだ。
 
GWは最高等級対応
断熱材・遮音ゴム ネオマは当面大臣認定

 断熱材は、グラスウールメーカー二社については全てF☆☆☆☆対応とし、値上げはしない。グラスウールメーカーは全てこの2社と同じ対応になるだろう。旭化成建材(株)のネオマフォームは、F☆☆☆☆対応とするが、JIS取得までは大臣認定で対応する。
 遮音ゴム系製品は今回回答のあったメーカーのうち、松下電工だけが製造・販売している。F☆☆☆☆に対応するが、約三%の値上げになる。
大臣認定で混乱
メーカーから不満の声 国は万全の対策を
 今回の「建材等の新JIS・JAS対応アンケート」では、建材・設備機器メーカーから行政の対応のまずさや、F☆☆☆☆対応に当たっての苦労なども浮き彫りになった。

 特に国土交通大臣認定に関しては、国の対応がスムーズに進まず、「認定作業が大幅に遅れている」「シックハウス新法施行前に認定が降りるかどうかはわからない」という状況になっている。メーカー側としては遅くとも7月1日までにはF☆☆☆☆対応製品を出荷したいとしている中、対応製品の供給が遅れる事態になれば、行政側にも相当の責任があると言わざるを得ない。

 一方、JASを管轄する農林水産省の指導も遅れた。具体的指導は半年前で、国土交通省や農林水産省、林野庁などは先月6日になってから、登録格付機関がないなど、結果としてJASの格付が受けられないものについてのみJAS系製品の大臣認定の対象とする事務連絡を指定性能機関に示し、原材料を輸入品に依存しているフロア・合板メーカーなどは対応に慌ただしく追われている。関係省庁の指示を取り上げるまでもなく、今回の法律では中小の木材加工業者や輸入品が市場から追い出されるのではと懸念する声が国内外で挙がっている。

 このほか、塗料メーカーからは、室内に使う塗料の一部は原料の関係でF☆☆☆☆を取れないものもあり、代替品はあるものの、コストや仕上がりなどが変わってきてしまうという指摘があった。

 国が足を引っ張っている状況でも、ビルダーは法律を守らなければならない。国がこの状態では地方自治体も業務に混乱をきす心配があり、7月以降、業界は大混乱という最悪のシナリオも想定される。国は新法施行による混乱を未然に防ぐよう、今後一ヵ月、万全の対応をすべきだ。

ホルムアルデヒド規制 建材規制の区分
内装仕上げの制限
告示で定める建築材料
その他
名  称
対応する新規格
旧規格
制限なし (規制対象外) ・F☆☆☆☆
・非ホルムアルデヒド系接着剤などのJAS表示
・大臣認定を受けた建材
・旧JIS、JAS+試験成績書
使用面積を制限
(換気量との相関関係)
第3種ホルムアルデヒド発散建築材料
F☆☆☆
JIS、JASのE0、Fc0
同上
第2種ホルムアルデヒド発散建築材料
F☆☆
JIS、JASのE1、Fc1
同上
使用禁止 第1種ホルムアルデヒド発散建築材料
F☆
JIS、JASのE2、Fc2、無等級
(無認定品)
JASの扱い:合板(普通合板、天然木化粧合板及び特殊加工化粧合板に限る)、フローリング、集成材、単板積層材については表示を義務化。
構造用合板、コンクリート型枠用合板、構造用集成材、構造用単板積層材、構造用パネルについては任意表示。ただし、コンクリート型枠用合板については上位等級(F☆☆☆☆)を設けない。
キッチン等も低ホル
水廻り・箱物製品  一部でF☆☆☆など残る

 キッチンなどの水廻り製品は、サンウェーブ工業(株)やノーリツ(株)など8社中6社が全てF☆☆☆☆対応。(株)樋口は一部の製品にF☆☆☆またはF☆☆が残る。このほか、(株)INAXは下地部分を除きF☆☆☆☆だが、年内を目途に全ての材料をF☆☆☆☆にする。
 F☆☆☆☆対応製品の価格は、松下電工が1.3~4%、朝日ウッドテックが約2%値上げ、永大産業と樋口が一部値上げとなり、サンウエーブ工業は未定。他の4社は値上げしない。
 下駄箱などの箱物製品は、大建工業や永大産業など十社中七社が全製品F☆☆☆☆に対応。朝日ウッドテックとユアサ建材工業は、一部の製品にF☆☆☆またはF☆☆が残り、ウッドワンでは大臣認定を申請中だ。F☆☆☆対応製品の価格は、大建工業と永大産業が値上げ、松下電工、パル、東洋プライウッド、ユアサ建材工業が一部値上げ、他社は従来品より値上げすることはない。

高性能住宅Q&A-必見! シックハウス新法12
複雑な換気対象室
住宅全体で0.5回とればOK
あやふやだった点の扱い(再掲載)
問  題
あやふやだった点
結  論
建材規制の対象部位 ①軸材・巾木類の扱い 規制対象外(額縁、手すり、窓台、建具枠、カーテンボックス等の造作材、障子、間柱も同様)。ただし面積制限あり
②クロス(壁紙)・じゅうたんの下地 接着剤・下地材も仕上げ規制(クロスなどとともに三位一体で規制対象)。なおフロアは接着剤まで仕上げ規制
③収納の棚板など 取り外せるものは対象外
④面積計算 実面積でよいが芯々でもOK(安全側だから)
設計変更の扱い ⑤造作家具の追加・変更 上位基準への変更・追加は再度の確認申請不要
換気設備関係 ⑥居室の対象外 納戸や押入(原則は天井裏等、ただし換気設計によって変わる)
⑦居室と一体となるドア等 ドアのアンダーカット(1㎝程度)、折れ戸、引き戸、ふすま・障子
⑧レンジフードの扱い 低量常時換気分のみ
⑨換気設備のスイッチ 容易に止められないもの(常時運転を指示する注意書き、カバー付きOFFボタンなど)
⑩冬場の換気量 自然換気+機械換気でクリアできればよい
天井裏等の規制 ⑪居室との区画方法 気密層、壁の上下枠材(2×4壁)
 前回は6.の居室の対象とならない部位について“居室”とはの説明で終わりました。
 第二に、押入やクローゼットは基本的には天井裏等の扱いです。例外は2つ。一つはこれらの空間が給気経路になっている場合。押入と居室の空気の流通を促進する場合も含め、その場合は居室扱いです(排気経路の場合は天井裏です)。もう一つは納戸などで居室との開口がなく独立した部屋となっている場合。この場合は完全な換気対象外です。
 “居室”の基準がはなはだ複雑ですが、これが大きな意味を持つのは換気量設計の時だけです。換気量設計では家全体で0.5回/hを確保していれば安全側ですので問題ありませんし、ファンの能力がギリギリの時の設計は換気設計を行う外注会社に任せるというかたちで割り切ったほうがいいと思います。
 一方、建材規制については、居室以外もF☆☆☆☆を使うべきです。そうでないと、法律には対応したけどシックハウス患者がでたという悲しい結末になりかねませんので。
 7.居室と一体となるドア等というのは、部屋の区画があっても換気経路として見なしてよい空気経路のことを言っています。ドアのアンダーカット(1センチ程度)、折れ戸、引き戸、ふすま・障子となっており、このうちアンダーカットの1センチというのは、扉の周囲の隙間と合わせて100~150平方センチの開口をとるという意味です。
 8.レンジフードの扱いは常時換気モードの付いた機種のみが認められます。
 9.換気設備のスイッチは設計上の配慮としてマニュアルに盛り込まれました。『常時換気できるように、ユーザーが勝手に止めないように配慮しなさい』ということですが、それならOFFスイッチを無くせばいいわけで、輸入換気などは問題なくクリアできます。そうでない場合も配慮しなさいという意味です。
 10.冬場の換気量については道内から多くの意見が出たところです。結論から言うと、自然換気を当てにして、合計で0.5回/hでいいですよ、というのが国土交通省の立場です。
 11.居室と天井裏等との区画方法として、気密層と通気止めがありますが、このうち通気止めについてはツーバイの上枠と下枠が対象となります。そうすると、ツーバイで充てん断熱の場合は、天井裏等に該当するのは一階天井ふところと一階床下地合板、特定の収納スペースだけで、床下も小屋裏も対象となりません

無利子融資を開始
旭川市 最高200万、返済は5年以内
 
 旭川市では、リフォーム市場の活性化によって住環境の改善と地元中小企業の景気回復につなげようと、旭川市住宅資金貸付制度の一つとして、リフォーム工事に対し最高200万円を五年間無利子で貸付する「リフォーム貸付無金利制度」を創設し、先月6日から受付を開始した。
 この制度は旭川商工会議所が同市に政策提言として進言し採用されたもの。昨年度までリフォーム融資は有利子で行われていたが、新築戸建市場が縮小する中、リフォーム需要を喚起して地場経済の活性化につなげるためには、インパクトのあるものにすることが必要と判断し、金融機関に対する利子は同市が支払うことで無利子を実現した。
 今年度の予算枠は7400万円で、利用条件としては同市の定める旭川市北国型住宅建設工事施工基準などに適合することが必要。ただし、一般的な塗装、板金、内外装改修、設備改修などは全て融資の対象工事となっているので、実際には増改築のほか、修繕などほとんどのリフォーム工事に利用可能だ。
 詳しくは同市都市建築部建築指導課(Tel.0166・25・8597)へ。

小樽店を新規開店
エースリペア 引渡し前の室内キズを補修
 新築住宅の引き渡し前に付けてしまった室内のキズなどを専門の技術で迅速に補修するエースリペア(登別市、上野正史代表)は、これまで胆振管内中心に事業を行ってきたが、このほど札幌圏の拠点として小樽店を開設した。
 キズの補修は、現場監督が補修キットなどを使ってやることが多かったが、補修した跡がわからなくなるほどの仕上げを期待するのは難しい。同店では、床材、玄関ドア、室内建具、アルミサッシ、表しにした梁や柱などにうっかりつけてしまったキズを、ドイツ製ケーニッヒ社などの専用補修剤で修復し、専用塗料で補修跡がわからないように木目や節などを筆で描いてきれいに仕上げる。
 引き渡し前に何度も補修してもらったという室蘭市のある工務店は、「どんなに気を付けていてもキズは必ずつくもの。エースリペアの補修技術は、無垢材の節にできたキズまで補修跡がわからないように直すなど、補修というよりも現状復帰と言ってもいい」と話している。
 補修対象は、木製品全般とアルミ・樹脂サッシ、スチール建材、人造大理石など。料金は木製品の場合、1現場につきキズ二箇所までが7000円、それ以上は1箇所につき2000円プラス。別途出張費がかかる。問い合わせは、小樽店(小樽市潮見台1丁目14-4、Tel.0134・27・1115か090・7057・5662)へ。

玄関ドアのキズは目立つが

修復跡はわからなくなった

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