建材・設備機器メーカー 新JIS・JAS対応アンケート
シックハウス対策を盛り込んだ改正建築基準法の施行を来月に控え、本紙では新JIS・JAS規格のF☆☆☆☆に対し、主要な建材・設備機器メーカーに製品の対応や価格動向についてアンケートを実施。その結果、各メーカーともF☆☆☆☆の製品開発を積極的に進めており、今後の焦点はビルダーがいつから対応品を入手できるかに移ってきた。また、複合フローリングなどで値上げの動きが顕著であることがわかった。
設計価格は最大1割高に
複合フロア・合板 回答全社が四星揃える
今回のアンケートは、JIS・JAS製品の四月からの新規格、とりわけシックハウス対策のキーポイントとなるF☆☆☆☆への対応と、価格をどのように設定するのかを記入するアンケート用紙を建材・設備機器メーカー四十一社に送付、うち三十三社から回答を得た。
複合フローリングは、永大産業(株)や(株)パルなど13社中10社が全てF☆☆☆☆化すると回答。一部の製品にF☆☆☆やF☆☆も残ると回答したトステム(株)、松下電工(株)、大建工業(株)を加えると、全メーカーがF☆☆☆☆対応製品を揃えるとしている。トステムは新商品としてF☆☆☆☆対応製品をラインナップし、松下電工は基本的に全てF☆☆☆☆対応とするが、直張り床材はF☆☆☆対応製品も揃える。
F☆☆☆☆対応製品の価格は、(株)ウッドワンやユアサ建材工業(株)など6社が従来品より値上げする。値上げ幅は2~10%程度。松下電工、パル、東洋プライウッド(株)の3社も一部値上げ。値上げしないのはトステムと東リ(株)の二社。全体的に値上げに動くメーカーが多い。
合板(OSB含む)は、東洋プライウッドや丸玉産業(株)など5社中4社が全てF☆☆☆☆対応。一部の製品にF☆☆☆やF☆☆も残る島田産業(株)を含めると、全メーカーがF☆☆☆☆対応製品を販売する。
F☆☆☆☆対応製品の価格は、島田産業と札鶴ベニヤ(株)が五%以上の値上げ、東洋プライウッドと丸玉産業が一部値上げ、値上げなしとしているのはトステム一社だけ。複合フローリング同様、値上げが目立つ。
主な建材・設備機器メーカーの新JIS・JAS規格への対応状況(別ウィンドウが開きます)
仕上材は万全の四星
クロス・接着剤・塗料 従来品と価格も変わらず
クロスは、(株)サンゲツやリリカラ(株)、トキワ工業(株)など五社全てF☆☆☆☆に対応する。内装仕上げに使われることが最も多いだけに、各メーカーのF☆☆☆☆対応は当然の流れと言える。価格も値上げしない。クロス用接着剤についてもクロス同様、2社ともF☆☆☆☆に対応し、値上げはしない。
一般接着剤は、全4社ともF☆☆☆☆に対応。コニシやセメダインはJIS規格と同等の日本接着剤工業会の品質規格で自主表示登録製品となるJAIA・F☆☆☆☆の製品も揃えている。価格は東リ(株)の一部商品(エコロイヤルセメント)が5%値上げ。他社は値上げしない。
塗料は、日本ペイント(株)や関西ペイント(株)など4社が一部の製品にF☆☆☆またはF☆☆が残るとしており、全てF☆☆☆☆は1社のみ。メーカーによるとJIS規格の中でもSOP(合成樹脂調合ペイント)は原料の性質上、必然的にF☆☆☆かF☆☆になってしまうので、全商品F☆☆☆☆化は難しいとのこと。F☆☆☆対応製品の価格は、値上げをしないメーカーがほとんどだ。
GWは最高等級対応
断熱材・遮音ゴム ネオマは当面大臣認定
断熱材は、グラスウールメーカー二社については全てF☆☆☆☆対応とし、値上げはしない。グラスウールメーカーは全てこの2社と同じ対応になるだろう。旭化成建材(株)のネオマフォームは、F☆☆☆☆対応とするが、JIS取得までは大臣認定で対応する。
遮音ゴム系製品は今回回答のあったメーカーのうち、松下電工だけが製造・販売している。F☆☆☆☆に対応するが、約三%の値上げになる。
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大臣認定で混乱
メーカーから不満の声 国は万全の対策を
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今回の「建材等の新JIS・JAS対応アンケート」では、建材・設備機器メーカーから行政の対応のまずさや、F☆☆☆☆対応に当たっての苦労なども浮き彫りになった。
特に国土交通大臣認定に関しては、国の対応がスムーズに進まず、「認定作業が大幅に遅れている」「シックハウス新法施行前に認定が降りるかどうかはわからない」という状況になっている。メーカー側としては遅くとも7月1日までにはF☆☆☆☆対応製品を出荷したいとしている中、対応製品の供給が遅れる事態になれば、行政側にも相当の責任があると言わざるを得ない。
一方、JASを管轄する農林水産省の指導も遅れた。具体的指導は半年前で、国土交通省や農林水産省、林野庁などは先月6日になってから、登録格付機関がないなど、結果としてJASの格付が受けられないものについてのみJAS系製品の大臣認定の対象とする事務連絡を指定性能機関に示し、原材料を輸入品に依存しているフロア・合板メーカーなどは対応に慌ただしく追われている。関係省庁の指示を取り上げるまでもなく、今回の法律では中小の木材加工業者や輸入品が市場から追い出されるのではと懸念する声が国内外で挙がっている。
このほか、塗料メーカーからは、室内に使う塗料の一部は原料の関係でF☆☆☆☆を取れないものもあり、代替品はあるものの、コストや仕上がりなどが変わってきてしまうという指摘があった。
国が足を引っ張っている状況でも、ビルダーは法律を守らなければならない。国がこの状態では地方自治体も業務に混乱をきす心配があり、7月以降、業界は大混乱という最悪のシナリオも想定される。国は新法施行による混乱を未然に防ぐよう、今後一ヵ月、万全の対応をすべきだ。 |
ホルムアルデヒド規制 建材規制の区分
内装仕上げの制限 |
告示で定める建築材料
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その他
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名 称
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対応する新規格
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旧規格
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制限なし |
(規制対象外) |
・F☆☆☆☆
・非ホルムアルデヒド系接着剤などのJAS表示 |
-
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・大臣認定を受けた建材
・旧JIS、JAS+試験成績書 |
使用面積を制限
(換気量との相関関係) |
第3種ホルムアルデヒド発散建築材料 |
F☆☆☆
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JIS、JASのE0、Fc0 |
同上
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第2種ホルムアルデヒド発散建築材料 |
F☆☆
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JIS、JASのE1、Fc1 |
同上
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使用禁止 |
第1種ホルムアルデヒド発散建築材料 |
F☆
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JIS、JASのE2、Fc2、無等級
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(無認定品)
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JASの扱い:合板(普通合板、天然木化粧合板及び特殊加工化粧合板に限る)、フローリング、集成材、単板積層材については表示を義務化。
構造用合板、コンクリート型枠用合板、構造用集成材、構造用単板積層材、構造用パネルについては任意表示。ただし、コンクリート型枠用合板については上位等級(F☆☆☆☆)を設けない。 |
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