平成15年6月15日号から
追加資料の提出を求めず
検査は原則目視確認のみ
道と札幌市の対応 改正基準法の確認・検査
 シックハウス対応の改正建築基準法で、確認申請と中間・完了検査についての道と札幌市の対応が明らかになった。いずれも確認時は申請書類のチェックのみで、換気に関連する圧力損失計算書の提出は求めない。また、中間・完了検査では申請書類をもとに現場での目視確認のみ。北海道建築指導センターも札幌市に準じる。ただ、細かい点については建築主事の判断となるため、施行当初は札幌以外の市町で対応に温度差が生じることも考えられる。

 確認申請 
 道独自の記入用紙を作成 
 建築確認申請書類では、建材規制について「使用建築材料表」を追加し、換気設備については「建築設備の種類」のなかに換気に関する項目を追加することになっている。首都圏では申請書類に含まれない換気の圧力損失計算書の提出を求める例もあるとされるが、道も札幌市も圧力損失計算結果を求めることはない。
 札幌市ではチェックしづらい場合に平面図に天井高を書き込むような措置も検討するとしているが、現時点で申請側の負担が増すようなことは考えていない。また建築指導センターでは「圧力損失計算書は確認・検査で申請内容に疑問が生じれば提出を要求するかもしれない」としている。
 なお、道では使用建築材料表や換気量計算書について、独自に作成した記入用紙を作成しており、ホームページからダウンロード可能だ(http://www.pref.hokkaido.jp/kensetu/kn-ksido/sickhouse/)。いずれの書類もこの書式に従えば、とりあえずは問題なさそうだ。
 法改正に伴い、建築確認の手数料値上げも予想されたが、自治体も指導センターも現時点での値上げはしない。

 中間・完了検査  ▼何を揃えるか 
ラベル確認できる写真 必ずしも全室撮る必要なし
 中間・完了検査申請図書では、「工事管理の状況」の表の中に内装仕上げ規制の対象となる建材の種別と面積、換気設備の状況を追加するとともに(別表)、内装仕上げについては写真を貼付することになった。
 このうち別表の内容については、基本的に確認申請図書と照合すればよい。圧力損失計算書は、設計図書としては必要だが、提出を求められることは原則としてない。
 問題は写真。どこをどのように撮ればいいのかという点だ。法規上は「内装の仕上げに用いる建築材料の取り付け等の工事終了時に…当該建築材料を用いた内装の仕上げの部分を写した写真」を添付することになっている。これをそのまま読むと施工終了時に写真を撮ればいいように受け取れるが、そうではない。
 道も札幌市も、JIS・JASなどの表示マークにより、ホルムアルデヒド発散建材の区分が判断できるものについては、原則として取り付けられた時に表示マークが判別できる写真を撮影・添付するが、施工後では隠れて見えなくなる場合は施工途中に撮影する、としている。
 このほか札幌市と指導センターは、梱包や容器にも表示があれば撮影しておくように、としている。いずれも仕上げが同じであれば全部の部屋を撮影する必要はなく、1ヵ所だけ撮影すれば良い。

国土交通省が編集した「木造住宅のシックハウス対策マニュアル」に掲載されている記入例


戸建住宅のシックハウス対応方法の例
 ▼何をチェックするか 
換気は動作確認だけ
 完了検査でのチェックは使用建材は目視、換気は機械が作動するかどうかの確認にとどまる。天井裏については、点検口があれば見るかもしれない、という程度。目視で確認できないものについては、チェックしない(できない)。つまり工事監理者が記載した申請書の内容を信じるということだ。
 このため、換気量やホルムアルデヒド濃度のチェックはなく、せいぜい給気口やアンダーカットに手を当てて空気の流れをチェックする程度だ。
 
その他 6月の確認から新法対応も
 このほか、新築して使用開始後五年を経過した住宅のリフォーム工事は内装仕上げ規制の対象外となるが、この5年は完了検査が終わった日が起点となる。
 なお、シックハウス新法は来月1日以降の着工物件から適用されるが、札幌市では今月中に確認申請を出す物件でも来月以降の着工になるとわかっているものについては、使用建築材料表や換気量計算書の提出を求めており、道も提出が望ましいとしている。

安易な“健康”宣伝に警鐘
欠陥住宅被害全国協議会札幌大会 札幌地裁シックハウス訴訟で業者の瑕疵認定

シックハウスをテーマに活発な議論が交わされた会場内の様子
 弁護士や建築士を中心に、全国ネットでの活動を進めている欠陥住宅被害全国連絡協議会(上野勝代代表幹事、京都府立大学教授)では、5月31日と6月1日の2日間、札幌市教育文化会館で全国大会となる第15回札幌大会を開催。「シックハウス」をメインテーマに、法的な問題点、被害事例などについて参加者による報告・討論が行われた。また、大会に先立って同協議会11番目の地域ネットとなる北海道ネットが設立された。
 大会初日には欠陥住宅・シックハウス・リフォーム110番の結果や、シックハウス被害に遭ったユーザーの事例、昨年12月に札幌地方裁判所で判決が出たシックハウス訴訟などについて報告が行われ、特にシックハウス訴訟は、全国でも2例目となるもので、参加者の注目を集めた。
 被害者の弁護を担当した房川樹芳弁護士によると、この裁判はユーザーが施工業者から請負代金1040万円を請求されたのに対し、化学物質過敏症を発症したとして逆に施工業者に不法行為または債務不履行に基づく損害賠償を反訴請求し、さらに建築上の瑕疵を理由に瑕疵補修に代わる損害賠償を請求した事案。
 ユーザーがパンフレット等に健康住宅を謳う施工業者に、化学物質等を極力避けたいことを話したうえで平成8年に請負契約を締結し、同9年2月に引き渡しを受けたが、入居後、母親が体調を崩して入院、オーナー自身も体調が思わしくなく、環境改善と原因調査を施工業者に要請したという。道立衛生研究所で室内の空気を測定した結果、ホルムアルデヒド濃度は0.08ppmを下回ったが、安全性を高めるため換気量を増やし、給気口や空気清浄機を増設した。しかし、その後、裁判の中での鑑定では、住宅の一部でホルムアルデヒド濃度が0.08ppmを上回っていた。

契約上は過失なし
化学物質過敏症は認める

 判決では、道立衛生研究所の測定は厚生労働省の指針通りではなく、その後の裁判中の鑑定は日常生活上の濃度であるとし、ホルムアルデヒド放散量は台所の棚を除き概ね0.1ppm程度以下と判断。一方、母親は肺炎が体調を崩した原因としたものの、オーナーが化学物質過敏症を発症していたことは認めた。
 しかし、住宅と化学物質過敏症との因果関係については、オーナーが歯学部在籍中にホルマリンに暴露していたことや、従来から持っているアレルギーなども原因とし、相当の因果関係があるとはいえ、住宅が唯一の原因ではないと判断。また、請負契約の内容はホルムアルデヒド濃度が0.08ppmを超えないようにする内容を盛り込んだものと認める根拠はなく、化学物質が全く発生しないことを前提に契約したとも認められないため、ホルムアルデヒド発生建材の使用が違法で、債務不履行になるとは考えられない。
 ただし、施工業者は、健康住宅をテーマに宣伝しているのであれば、健康被害が生じないよう他の業者以上に最大限注意すべきであるとし、住宅に若干の瑕疵を認めて27万2千円の支払いを命じている。
 房川弁護士は、今回の裁判について、「化学物質過敏症の存在とユーザーの発症を認めたものの、この住宅への入居が唯一の原因ではないとした点は問題が残る。裁判所は厚生省がホルムアルデヒドの室内濃度指針値を定めた平成9年6月時点までは注意義務の存在を認めず、予見可能性もないとしたが、逆に言えばそれ以後の契約であれば認められることになろう」としており、現在行っている控訴審では、換気が不足していなかったかどうかを論点にしていく考えを示した。

北海道ネット設立
地方含む相談体制の構築へ
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 今大会と同時に設立された同会の北海道ネットは、道内で欠陥住宅に被害に遭っている人の受け皿として、弁護士4名。建築士3名でスタート。代表幹事に粟生猛弁護士、幹事に建築士の宮下悟氏が選任されており、事務局を石川和弘弁護士が務める。今後は、弁護士・建築士としてシックハウスを含む欠陥住宅問題を処理するための力を付けて、道内地方都市でも常時相談に応じることができる体制を整えていく意向だ。
 問い合わせは事務局の石川弁護士(岩本法律事務所、Tel.011・281・3001)へ。

高性能住宅Q&A-必見! シックハウス新法13
個別換気は建基法
世界の進化形はセントラル
 居室の範囲について、最後に1点、注意点を付け加えます。床下に新鮮空気を導入して加温し、室内に給気する暖房・換気方法の場合は、床下も居室扱いとなります。同様に通常は居室扱いではない間仕切内部などが換気経路となる場合、これらの空間も居室扱いとなって仕上げ規制にかかります。
 さて、換気方法についてセントラルがいいか、個別でもいいかという問題が後回しになってしまいました。法律上はどちらでもOKです。では何を選ぶべきか、本紙の考え方を紹介したいと思います。
 個別換気は今回改正された基準法に対応するベーシックなもの、セントラルは基準法が求めている品質を上回るハイグレード商品という位置づけで考えるのがわかりやすいと思います。
 基準法に対応するだけなら、パイプファンなどを居室につけて、その換気量を積み重ねるだけでOKです。しかし、各居室で1つずつ、換気扇が回り続けているより、ダクトで配管されたシステムで排気し、セントラルファンで室外に排出する方がスマートであることは間違いありません。
 暖房も個別ストーブからセントラルへ進化しました。換気もセントラルが進化形であることはファンの騒音、空気を排出するファンの馬力、室内デザインなどの面から考えて、当然のことと言えます。
 個別のファンでもいい、しかし、進化形はセントラルだという考え方からすると、今回の新法によって日本国中に個別ファンをたくさんつけた家が何十万戸も建設される(たぶん)という状況は、日本の住宅事情がいかに遅れているかを端的に表していると言わざるを得ないでしょう。
 2月からはじめた連載ですが、アッという間に施行日が近づいてきました。連載の最後に、最も大切になるユーザー対応について見ていきたいと思います。
 連載の最初に触れたように、ややこしいのは法律の解釈の部分で、実際にどう対応すればよいかという点は割と簡単です。施行直後は建材の入手に混乱があるかもしれませんが、F☆☆☆☆建材を使い、セントラル換気を設置すればよいのです。確認申請時には書類が2つ増えますが、それも基本フォームをつくっておき、あとは現場ごとに書き込めばOK。完了検査の時も、建材の写真を撮って、換気システムの圧力損失計算書を換気設備業者からもらい、用意しておけばいいのです。
 たいへんなのは顧客対応です。今回の法律は、医学的にもまだ完全に解明されていない“シックハウス症候群”に対応するためのものです。ここが問題です。主婦は特に、ただでさえ精神的にまいっているケースが多いわけですから、入居後、体調を崩して『シックハウスだ』と言われたらどう対応するか、とても難しい問題なのです。

仏デザイナー住宅
インターデコハウス インテリアと内装に特色

FC加盟のジョンソンホームのモデルハウスとして建てられた


実用性の中に、遊び心を取り入れたウォールアート(写真は2F部分)
 ハウジング山地(株)では、フランスの有名デザイナー「ミッシェル・クラン」と提携、同社が展開する企画型輸入住宅「インターデコハウス」の内装とインテリアをトータルでコーディネート提案するモデルハウスを札幌市西区に仮オープンさせ、今月21日からインターデコハウスのオプション仕様「MK DECO Living」として販売する。
 ミッシェル・クラン氏はフランスの有名なファッションデザイナーで、日本でも婦人服や小物などが幅広い層の女性に支持されている。モデルハウスのコンセプトは、「Life Is Fashion~暮らしの気分を着替える住まい~」。春夏秋冬と季節によって衣替えをするように、気持ちに合わせて室内空間を変えることができる住まいを目指している。ソファや家具などのインテリアもすべてミッシェル・クランがプロデュースしたオリジナル品を使用、これらは同社直営輸入家具店の「フロム・ワシントン」でも販売しており、単品で購入できる。

遊び心を加えるウォールアート
 モデルハウスは、延床面積約50坪の二階建てで、札幌市西区琴似の大手スーパーの駐車場内にあり、買い物に来た女性客がふらっと立ち寄るなど、気軽に訪問できる。外装は同社が販売する特殊モルタル材「アクロフレックス」の新しいバリエーション「マリブ」仕上げ。立体的な「デコラティブ」と凸凹の少ない「セミスムース」の中間の質感を持つ。
 プランニングは、1階はリビングルームの床をGLまで下げ、テラコッタタイル張りとして土間感覚にした。ダイニングの壁はドライウォール仕上げだが、ウォールアートとして花の絵を描き加え、季節毎に書き換えることによって気分も一新できる。2階は洗面所、トイレを一体化した「パウダールーム」を広くとるなど、女性のニーズを組み入れたプランニングになっている。このほか、子供部屋の室内壁はウッドチップ壁紙のオガファーザー(イケダコーポレーション(株))を自然塗料で着色、床材はメープル材を自然塗料で着色するなど、自然建材を多用している。
 ベースとなるインターデコハウスは、ツーバイフォー工法を採用した企画型輸入住宅。人気の高いヨーロッパデザインを内外装に取り入れ、全国規模でFC(フランチャイズ)展開し、コストダウンを実現、本体価格(暖房、屋外給排水、照明等は別)は1坪あたり30万円台からの設定。
 今回のオプション内容やFC加盟についての問い合わせは、同社インターデコハウスFC本部(札幌市西区八軒4条東5丁目1-1、Tel.011・737・8888)へ。

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