平成15年4月25日号から
驚異の調湿効果
塗り壁材「エコセブン」 換気0.5回/hで湿度40%台を維持




エコセブンの原料はゼオライト(上)とブライオゾーア(下)。つなぎはつのまたですべて天然素材
 高断熱・高気密・セントラル換気の住宅で、冬場の室内の相対湿度を40%以上に維持する塗り壁材が出現した。「エコセブン」(商品名)を施工した住宅を測定してわかったもので、その性能は保湿・調湿力にとどまらず、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドといった化学物質のほか、二酸化炭素を吸収する効果も極めて高いことが実験で明らかになった。

結果が示す不思議な力 真冬、不在の部屋で44%
 測定を行ったのは北海道・日高管内新冠町の高断熱・高気密の新築木造住宅。気密性能は相当隙間面積で0.47平方センチ/平方メートル、セントラル暖房で換気は第三種換気システム。換気量は0.55回/hで、普通であれば相対湿度が冬場には20%台まで低下するはずだ。
 エコセブンを塗ったのは二階の六畳の洋室。天井と壁に施工している。
 測定結果によると、竣工後、およそ2ヵ月を経過した今年2月13日から19日までの約6日間の平均相対湿度は43.8%(室温20.2℃)。この期間は部屋には誰もおらず、室内に水蒸気発生源はなかった。
 比較のため同時に測定した1階の食堂では、平均で33.4%(室温23.2℃)。こちらは壁と天井にドライウォールコンパウンドが施工されている。
 湿度データを比較しやすいように、室温を20℃としたときのそれぞれの湿度換算値は、エコセブンを施工した洋室が約44%、食堂は約40%で、単純比較でも食堂より4%ほど高い。食堂はオープンな間取りのLDKとなっており、室内で最も湿度発生源が多い空間。一方、2階の洋室は夜間も含め誰も在室しなかったにもかかわらず4%高い値を示しており、竣工初年度とは言え驚異的保湿力と言えそう。
 測定を行った(有)北欧住宅研究所・川本清司所長は、「0.5回の換気を行った高断熱・高気密住宅では、厳寒期には相対湿度が20%台に低下するが、エコセブンを塗った部屋は理想的な40%台となっている。食堂もコンパウンドが多少の保湿力を持っていると思われるが、その性能差は歴然としている。塗り壁の施工水も完全に乾燥した状態のデータであり、エコセブンは加湿器なしで適当な湿度環境をつくりだしている。ただその調湿メカニズムは解明されていない」と語っている。
 温・湿度測定は竣工直後にも行っている。この時は入居者が換気量を0.44回に落としており、在室期間もあったため湿度はさらに高く、室温20℃換算で湿度は62%近い値を示した。なお、データは入念な測定機器の較正を経て計算している。

仕上げは顔料で着色して色柄を好みで仕上げられる


2階洋間のVOC測定データ 平成14年12月23日
(主な物質のみ、水色が厚生労働省の指針値)

VOC効果も抜群
 ホルムアルデヒドも低減 竣工直後0.026ppm

 一方、化学物質のほうは竣工直後に川本所長が測定し、北見工業大学・機械システム工学科の坂本弘志教授が分析した。塗り壁のほか、室内仕上げはFC0クラスの建材を使用。
 それによると、ホルムアルデヒドが0.026ppm、トルエンが0.025ppmなど、グラフのように厚生労働省の指針値を軽くクリアしている。
 これまで数多くのVOC測定を行っている川本所長はこの結果について「ホルムアルデヒドについて言えば、普通の住宅はどんなに濃度が低くても0.048ppm程度だ。これに対しエコセブンを施工した部屋は、竣工直後から〇・〇二六ppm。この値は普通の住宅の一年後の測定値より低く、驚異的だ」とその性能を語っている。
 エコセブンのVOC低減効果は実験室でも確かめられている。実験を行った北海道大学大学院・工学研究科の横山真太郎助教授によると、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドの低減効果のほか、二酸化炭素の吸収性能が抜群に高いという。その性能はエコセブン一平方メートルで、大人約3.5人分の呼気に含まれる二酸化炭素を吸収する能力を持っている。しかも吸収された二酸化炭素は化学変化を起こして石灰質を生成。つまり塗り壁材そのものの成分に変化するという。 

原料は苔虫類のブライオゾーアとゼオライト
 エコセブンは北海道・仁木町のゼオライトと同阿寒町で産出する「ブライオゾーア」と呼ばれる苔虫類の化石を原料にした塗り壁材。
 ゼオライトは水質処理材や土壌改良材として幅広く使われる材料。一方、ブライオゾーアはその性質がまだよくわかっていないが、調湿効果や臭いの吸着効果が高いことが実証され、吸水試験(調湿作用)では珪藻土を上回る性能を示している。
 製造元はコトブキ工業、発売は(株)タイガー産業から(Tel.011・851・3711)。

高性能住宅Q&A-必見! シックハウス新法8
“居室”を換気する
どんな住宅でも0.5回/h以上
 それでは今回から換気について説明していきたいと思います。法律にはいろいろな換気手法が書かれていますが、話がわかりにくくなるので、最も一般的な手法について説明します。
 換気の位置づけはこうです。
 シックハウス対策として規制されるクロルピリホスとホルムアルデヒドのうち、ホルムアルデヒドは発散量の少ない、あるいは発散しない建材を使ったとしても、竣工後に持ち込まれる家具などによって濃度が上がる可能性があることから、住宅の居室で0.5回/hの換気を義務づけるという内容です。つまりどんな建材を使っても0.5回/hhは必要で、ホルムアルデヒドを発散する建材を一定以上使った場合はさらに増やして0.7回/hにしなければなりません。
 しかし、前回も触れたように0.7回の換気はあまり現実的ではありません。換気を0.5回に抑えるためにもF☆☆☆☆製品を使うことが必要です。仕上げ面すべてにF☆☆☆☆製品、または同等品を使えば、換気回数は0.5回でいいのです(詳しくは前号の表を参照ください)。
 次に換気手法について見ていきたいと思います。
 基準上はセントラル換気でなければならないとは言っていませんので、個別換気でもOKです。ただ、換気手法が異なると換気する空間も違ってくる場合があるので注意が必要です。
 まず、原則は“居室”を換気することです。この場合、トイレやユーティリティ、廊下は居室ではありません。玄関ホールも居室ではないと考えていいでしょうが、ダイニングやキッチンはリビングと一体の設計がほとんどでしょうから、居室になると考えられます。押入や納戸は換気対象面積から除外されると考えられます(これらの点については5月の講習会で使われる国土交通省監修のマニュアルが出るまでハッキリしません)。また、換気量は各居室ごとに0.5回を満たすというのが基本的な考えです。 
 しかし、この方法だと現在の換気設計の考え方と整合しない部分が出てきます。そこで換気経路の一部としてドアのアンダーカットなどで居室とつながっている廊下などは居室と見なし、全体として換気量基準をクリアできればいいことになっています。セントラル換気の場合は、ほとんどがこの方式です。ですから居室の換気義務化とは言え、室内空間のほとんどが換気対象面積になるわけです。

汚れ落としが簡単
インクコーポ 特殊フィルム加工のクロス


ひと拭きすれば汚れは落ちる
 (株)インクコーポレーション北海道では、表面に特殊フィルムをラミネートすることにより、拭き取るだけで簡単に汚れが落ちる「洗えるクロス」と「洗エコクロス」を、昨年8月の会社設立と同時に道内で販売開始。汚れが落ちない場合、10年以内であれば無料で貼替える保証も付いており、同社では特に水廻りなど汚れやすい場所や清潔さが求められる場所での使用を勧めている。
 洗えるクロス・洗エコクロスは、クロスに特種フィルムをラミネートしたもので、通常のクロスはフィルムに熱をかけて加工する時に、切れたりピンホールができたりするが、同製品はフィルムの厚さや加工時の温度などを独自に工夫することにより、破損部分のない均一なフィルム層をクロス表面に成形。汚れはフィルム層に全て付着し、内部まで入り込むことはないため、タバコのヤニや手あか、マジックのいたずら書きなどを水拭きで拭き取ることができ、ひどい汚れでもシンナーや漂白剤を使えば落とすことが可能。
 また、耐摩耗性にも優れるほか、廃番を作らないので、何年か後にクロスが傷ついたり破れたりしても、部分的な貼替えだけで元の状態に戻せる。汚れが落ちない場合は無料で貼替える10年保証も付いている。
 カラーは、塩ビ系の洗えるクロスが12色、オレフィン系の洗エコクロスが24色。規格は92センチ幅で、価格はオープンプライス。
 問い合わせは同社(Tel.011・765・9886、Fax.011・765・9887)へ。

防蟻済み型枠断熱材
小西機械商会・ワンダーEフォーム 部材工夫し簡単施工で高強度


防蟻済みで施工性にも優れている点が特徴
 道内でのシロアリ被害は、ここ数年厳寒地の旭川でも確認されており、ビルダーはシックハウス新法への対応や施工の合理化、コストダウンとともに、シロアリ対策も考えなければならない時期に来ている。そのような中、(有)小西機械商会では、人体に無害な防蟻剤で防蟻処理を施すとともに、専用の連結部材や鉄製セパレーターの採用、最小限の部材構成によって、優れた強度と施工精度、現場管理のしやすさなどを実現した型枠兼用断熱材「ワンダーEフォーム」(開発元・(株)オリジナルスペース他一社、発売元・森六(株))の発売を開始した。
 ワンダーEフォームは、シロアリ対策と施工の簡略化を目的に開発されたもので、シロアリの食害などを防止するため、型枠断熱材にアメリカで十数年前から使われている防蟻剤を使用しているのが大きな特徴。防蟻剤は人体に無害なので職人や居住者の健康を損ねることはない。
 施工は型枠断熱材の決められた位置に取り付けたバーサータイという専用の部材で上下の型枠断熱材を連結しながら積み上げ、セパレーターとなる鉄製のバーサージョイントをバーサータイにセットしていくだけなので、熟練工でなくても施工可能。バーサージョイントは縦筋が干渉する場合、位置を左右にずらして取り付けられるよう工夫されている。
 バーサータイで上下の型枠断熱材が結合するので、縦方向に対して高い強度と施工精度を実現し、鉄製のセパレーターによって、コンクリート打ち込み時の膨張に対しても十分な強度を発揮。横方向のジョイント部分も、型枠断熱材の左右端部をあり継ぎ加工して、ズレや分離を防いでいる。
 型枠断熱材はビーズ法ポリスチレンフォーム50ミリ厚で、サイズは長さ1,200ミリ×高さ300ミリの1種類のみだが、コーナー部や十字・T字部分は、型枠断熱材をコーナー部・十字・T字にセットできる専用部材で対応。部材点数も少なく、現場での施工性向上や部材管理のしやすさにつながっている。
 また、表面はモルタル仕上げやタイル仕上げがしやすいリブ加工を施しているほか、バーサータイなどの専用部材は環境に優しいペットボトルの再生品だ。
 基礎幅は120ミリ、150ミリ、180ミリに対応しており、標準設計価格は1セット3,750円(型枠断熱材2枚、バーサータイ・バーサージョイント各12個)。

試読・購読はこちら

このページの先頭へ

運営サイト

株式会社北海道住宅新聞社
〒001-0029 札幌市北区北29条西4丁目2-1-201
tel.011-736-9811 fax.011-717-1770

当サイトで使用している写真およびテキストの無断転載を禁止します。

Copyright (c) 北海道住宅新聞社. All Rights Reserved.