驚異の調湿効果 |
塗り壁材「エコセブン」 換気0.5回/hで湿度40%台を維持 |
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エコセブンの原料はゼオライト(上)とブライオゾーア(下)。つなぎはつのまたですべて天然素材 |
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高断熱・高気密・セントラル換気の住宅で、冬場の室内の相対湿度を40%以上に維持する塗り壁材が出現した。「エコセブン」(商品名)を施工した住宅を測定してわかったもので、その性能は保湿・調湿力にとどまらず、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドといった化学物質のほか、二酸化炭素を吸収する効果も極めて高いことが実験で明らかになった。
結果が示す不思議な力 真冬、不在の部屋で44%
測定を行ったのは北海道・日高管内新冠町の高断熱・高気密の新築木造住宅。気密性能は相当隙間面積で0.47平方センチ/平方メートル、セントラル暖房で換気は第三種換気システム。換気量は0.55回/hで、普通であれば相対湿度が冬場には20%台まで低下するはずだ。 エコセブンを塗ったのは二階の六畳の洋室。天井と壁に施工している。 測定結果によると、竣工後、およそ2ヵ月を経過した今年2月13日から19日までの約6日間の平均相対湿度は43.8%(室温20.2℃)。この期間は部屋には誰もおらず、室内に水蒸気発生源はなかった。 比較のため同時に測定した1階の食堂では、平均で33.4%(室温23.2℃)。こちらは壁と天井にドライウォールコンパウンドが施工されている。
湿度データを比較しやすいように、室温を20℃としたときのそれぞれの湿度換算値は、エコセブンを施工した洋室が約44%、食堂は約40%で、単純比較でも食堂より4%ほど高い。食堂はオープンな間取りのLDKとなっており、室内で最も湿度発生源が多い空間。一方、2階の洋室は夜間も含め誰も在室しなかったにもかかわらず4%高い値を示しており、竣工初年度とは言え驚異的保湿力と言えそう。 測定を行った(有)北欧住宅研究所・川本清司所長は、「0.5回の換気を行った高断熱・高気密住宅では、厳寒期には相対湿度が20%台に低下するが、エコセブンを塗った部屋は理想的な40%台となっている。食堂もコンパウンドが多少の保湿力を持っていると思われるが、その性能差は歴然としている。塗り壁の施工水も完全に乾燥した状態のデータであり、エコセブンは加湿器なしで適当な湿度環境をつくりだしている。ただその調湿メカニズムは解明されていない」と語っている。
温・湿度測定は竣工直後にも行っている。この時は入居者が換気量を0.44回に落としており、在室期間もあったため湿度はさらに高く、室温20℃換算で湿度は62%近い値を示した。なお、データは入念な測定機器の較正を経て計算している。 |
仕上げは顔料で着色して色柄を好みで仕上げられる
2階洋間のVOC測定データ 平成14年12月23日 (主な物質のみ、水色が厚生労働省の指針値) |
VOC効果も抜群 ホルムアルデヒドも低減 竣工直後0.026ppm
一方、化学物質のほうは竣工直後に川本所長が測定し、北見工業大学・機械システム工学科の坂本弘志教授が分析した。塗り壁のほか、室内仕上げはFC0クラスの建材を使用。
それによると、ホルムアルデヒドが0.026ppm、トルエンが0.025ppmなど、グラフのように厚生労働省の指針値を軽くクリアしている。
これまで数多くのVOC測定を行っている川本所長はこの結果について「ホルムアルデヒドについて言えば、普通の住宅はどんなに濃度が低くても0.048ppm程度だ。これに対しエコセブンを施工した部屋は、竣工直後から〇・〇二六ppm。この値は普通の住宅の一年後の測定値より低く、驚異的だ」とその性能を語っている。 エコセブンのVOC低減効果は実験室でも確かめられている。実験を行った北海道大学大学院・工学研究科の横山真太郎助教授によると、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドの低減効果のほか、二酸化炭素の吸収性能が抜群に高いという。その性能はエコセブン一平方メートルで、大人約3.5人分の呼気に含まれる二酸化炭素を吸収する能力を持っている。しかも吸収された二酸化炭素は化学変化を起こして石灰質を生成。つまり塗り壁材そのものの成分に変化するという。
原料は苔虫類のブライオゾーアとゼオライト
エコセブンは北海道・仁木町のゼオライトと同阿寒町で産出する「ブライオゾーア」と呼ばれる苔虫類の化石を原料にした塗り壁材。 ゼオライトは水質処理材や土壌改良材として幅広く使われる材料。一方、ブライオゾーアはその性質がまだよくわかっていないが、調湿効果や臭いの吸着効果が高いことが実証され、吸水試験(調湿作用)では珪藻土を上回る性能を示している。 製造元はコトブキ工業、発売は(株)タイガー産業から(Tel.011・851・3711)。 |