平成15年3月5日号から
解体費説明は詳細見積もりで
第8回寒地住宅学校 イオリナ・村上社長が提言

講演するイオリナ・村上社長
 北海道住宅新聞社主催、新木造住宅技術研究協議会、日本ツーバイフォー建築協会北海道支部、日本輸入換気システム連盟後援による「第8回寒地住宅学校」が、先月25・26日の二日間にわたって札幌市内の北農健保会館で開催され、「一歩先行く消費者への提案と説得力」を統一テーマに多くの受講者が、各講師の講義に熱心に耳を傾けた。今回は「解体費アップをどう説明するか―リサイクル時代、ビルダーとユーザーの責任―」と題して、解体工事や廃棄物処理に関する適切な対応方法などを解説したイオリナ代表取締役の村上泰司氏の講演要旨を紹介する。

避けられない環境問題
 1900年に4300万人だった日本の人口は、2000年には1億2600万人と、ほぼ3倍になった。世界の人口も16億人から60億人になり、車やエアコンなどの使用量も増加したことで、環境負荷が高まり、エネルギー消費量はほぼ20倍、CO2も23%増えている。このことが地球温暖化の原因になっているというのが一般的な意見だ。
 ただ、環境と我々の生活で折り合いをつけなければならないのも事実であり、例えば断熱・気密材をたくさん使う住宅でも、それにより石油エネルギーの消費が少なくなり、ライフサイクルで見れば環境負荷が低いという話ができないと、環境破壊と認識されてしまうこともある。
 また、環境に負荷をかけないために、これからは持続的発展が可能な経済社会が求められ、住宅を解体した時のゴミの発生を抑制する長寿命化や高耐久化、分別解体・リサイクルなどが重要になっている。特に建設廃棄物は、量が多いため環境への負荷も大きく、全産業廃棄物の二割、不法投棄の6割を占めると言われている。
 建設廃棄物のリサイクル率は85%となっているが、これは重量換算での話であり、容積換算ではもっと数字は低くなる。そこで昨年5月30日から一定規模以上の新築・解体工事に分別解体・搬出を義務付ける建設リサイクル法が施行になった。
どんぶり勘定は納得しない
 建設リサイクル法は、事前調査から工事の実施までの規定を細かく定めており、木くずやコンクリート等は再資源化が義務付けられている。ユーザーは工事の7日前までに届け出することになっており、業者はゴミがどれくらい発生し、どこに持っていって処理するかなどを書面で説明しないと違反になる。解体費用と処分費用も分けて算出して、ユーザーに示さないといけない。
 事前調査は、どの家をどう壊すかをよく調べるためで、費用がかかるなら発注者であるユーザーに請求すればよい。 業者がユーザーにきちんと工事内容を説明するためには、積算・見積りが必要だが、一式見積りは根拠がないのでユーザーは納得しない。積算・見積りは事前調査・工事計画に基づいて行い、解体工事費と運搬費、処分費を明確に区分し、元請業者が提示するのが当たり前の姿。解体工事費は、総工事費と調査費等で構成され、図面を起こした費用は調査費等に含めていい。総工事費の中には、解体工事費、収集・運搬費、処分費があり、そこに諸経費を計上して利潤を頂くことになる。これらの費用を算出してユーザーに提出するわけだ。

木くず30%、ガラ40%
明確に根拠を示すこと

 建設リサイクル法に該当する工事等の届け出にはゴミの予測量を記載するが、木造在来住宅の解体工事は約30%が木くず、約40%がコンクリート、残りが混合廃棄物と押さえておけばいい。新築は大体、平方メートル当たり15~20キログラムの間でゴミが出るので、15キログラム×延床面積(平方メートル)で予測できる。
 解体工事費の計算例を挙げると、例えば120平方メートルの建物を壊した場合、20人工かかったとして1人工1万5000円で30万円、足場のかけ払い損料が10万円、重機が10万円。これ以外にかからないとすると、解体工事費は50万円になる。収集・運搬費は90立方メートルのゴミが出て、トラック1台9立方メートルの積載量とすると10台必要で、1台1万5000円として15万円。処分費は、30%が木くずで40%がコンクリートとすると、木くずが大体30立方メートル、立方メートル当たりの処分費4000円として12万円、コンクリートが大体40立方メートル、同3000円として12万円、残りが混合廃棄物で大体20立方メートル、同1万円で20万円。処分費合計で44万円。全て合計すると、109万円かかることになる。
 積算・見積りは、内装撤去や屋根降ろしなどまで細かく見積もって計上しないと、ユーザーに値切られてしまう。しっかりした見積書を作らないとユーザーを説得できず、適切な処理が不可能な安い値段にするとマニフェストを作れない。そうなるとユーザーは費用を払わず、新築も頼まないということになる。そうならないために、解体工事の進め方やマニフェストが業者にとって非常に大切なものであるということを覚えておいてほしい。


解体工事費の構成

高性能住宅Q&A-必見! シックハウス新法3
珪藻土はどうなる?
建材リストに照らして判断
ホルムアルデヒド発散建築材料一覧
合板
フローリング
構造用パネル
MDFボード
パーティクルボード
木材のひき板などをホルムアルデヒド系接着剤で板状に成型したもの
ユリア樹脂板
壁紙
接着剤 壁紙施工用でんぷん系
ホルムアルデヒド水溶液を用いた建具用でんぷん系
ユリア樹脂系
メラミン樹脂系
ユリア・メラミン共縮合樹脂系
フェノール樹脂系
レゾルシノール樹脂系
保温材 ロックウール保温板・保温筒など
グラスウール保温板・保温筒など
フェノール樹脂系保温材
緩衝材 浮き床用ロックウール・グラスウール緩衝材
断熱材 ロックウール
グラスウール
吹き込み用グラスウール
ユリア樹脂系
メラミン樹脂系
ユリア・メラミン共縮合樹脂系
現場施工 塗料 アルミニウムペイント
油性調合ペイント
合成樹脂調合ペイント
フタル酸樹脂ワニス
油性系下地塗料
一般用さび止めペイント
多彩模様塗料
家庭用屋内木床塗料
家庭用木部金属部塗料
建物用床塗料
仕上げ
塗材
内装合成樹脂エマルション系薄付け仕上げ塗材
内装合成樹脂エマルション系厚付け仕上げ塗材
軽量骨材仕上げ塗材
合成樹脂エマルション系複層仕上げ塗材
接着剤
酢酸ビニル樹脂系溶剤形
ゴム系溶剤形
ビニル共重合樹脂系溶剤形
再生ゴム系溶剤形
 ではどんな建材が規制されるか。それが右の表です。合板やフローリング、壁紙、接着剤などはわかるとして、なぜ断熱材が入っているのか疑問に思う方もいると思います。これについてはあとで詳しく説明しますが、断熱材については天井裏等のいわゆる下地規制に関係する可能性があるからです。
 今回の規制はこれらの建材を4種類の等級に分けます。このうち第一種ホルムアルデヒド発散建築材料は使用禁止です。第2種と第3種は使用面積規制、そして第3種の上位規格となるF☆☆☆☆は使用制限がありません。
 さて、ここで問題です。基準を見るとクロス(壁紙)とクロス糊が対象であることはわかります。塗料も同様です。では石膏ボードはどうでしょうか。珪藻土はどうでしょうか。
 まず石膏ボードは規制対象建材に入っていませんので、規制対象外です(面積規制なし)。ただし、表面を塗装仕上げした場合、その塗料が規制対象建材であれば、塗料が規制対象となります。
 次に珪藻土です。珪藻土自体は土ですから規制対象外です。ただ、珪藻土建材には接着剤が使用されているものもあります。その接着剤が規制対象建材に入っている場合は、珪藻土建材として規制対象となると考えられます。また、珪藻土建材のホルムアルデヒド吸収効果については大臣認定を取得しなければ基準法上の効果は認められません。ただ、吸ホル効果が認められたとして、それが面積規制をどのように緩和するかについては現時点で何も決まっていません。これからの作業となるでしょう。
 次に規制対象部位はどこか見ていきます。
 規制対象部位は居室の床・壁・天井と、開口部の建具です。廻り縁や巾木、軸材などは対象外となります。つまり、面的部分が規制対象で、線的部分は対象外と言えます。このためモールディング材や集成材については対象とならないと考えていいようです。

泥棒対策に強い味方
トレーダー ガラスの貫通・飛散防止
 トレーダー(札幌市)では、ガラス面に貼ることによって、防犯対策や災害時のガラス飛散防止などに効果を発揮し、傷にも強いセキュリティーフィルム「HEART EYE(ハートアイ)」の販売を開始した。
 HEART EYEは表面に対引っ掻きコーティングが施された175ミクロンの透明なフィルム。テロ対策先進国・イギリスの安全ガラス及び安全プラスチックの性能基準であるBS6206の最高ランク「クラスA」に認定されており、1平方センチ当たり1,850キログラムの衝撃にも耐える。また、国際標準化機構の品質保証規格であるISO9002も取得している。
 泥棒は6割以上が窓ガラスを割って侵入するが、HEART EYEはガラス面に密着し、衝撃を受けて割れたガラスの落下と貫通を防ぐので、泥棒は侵入までにガラスの砕き音を長時間出し続けなければならず、最終的には侵入をあきらめざるを得ない状況に追い込むことが可能だ。
 また、地震などの災害時にもガラスの飛散・落下を防止できるほか、紫外線を98%以上カットするので家具などの色焼けも防ぐ。
 施工は水道水200ccに中性洗剤を1、2滴入れた水溶液で、室内側ガラス面の汚れを取り除いた後、フィルムとガラスに同じ水溶液を吹き付けて貼り付けるだけ。最後にガラスとフィルムの間の水と空気を押し出しながら圧着して仕上げる。
 価格はA4サイズ4枚またはA3サイズ2枚で5800円。
 問い合わせは同社(TEL 011・846・2110、FAX 011・846・2320)へ。


フィルムの構造

小型化したHD金物
タナカ 羽子板ボルトの代替用に
 (株)タナカは、ホールダウン同等金物の新製品として、「ホールダウンコーナー」「ホールダウンプレート」の2種をこのほど発売した。
 いずれも建築基準法告示1460号第2号(へ)適合商品(引張耐力10KN)として日本住宅・木材技術センターの性能認定を取得、従来羽子板ボルトを使用していた横架材と柱の緊結などで使用する。
 ホールダウンコーナーは、幅35×高さ120×奥行60ミリとコンパクトで、ビス止めタイプ。告示1460号第2号の表で基礎との緊結にアンカーボルトが必要な15KNタイプホールダウン金物を使用する部位も、N値計算の結果によっては基礎と緊結する必要のない同製品が使えることから、発売直後から引き合いが多く来ているという。
 ホールダウンプレートもビス止めタイプで、厚さ1.6×幅75×高さ200ミリでH型の形状。なお1階柱脚に使用する場合は、80角座金とアンカーボルトを併用する。
 同社ではこのほか、1460号第2号(は)適合商品(はしらどめ金物)として、ビス止めタイプの「ステンレスインナープレート」「はしらどめリトルコーナー」を発売した。ステンレスインナープレートは、山形プレートを超える強度を持ちながらコンパクトで板厚が0.8ミリと薄いため、土台の上に直接床合板を施工する際の土台と柱の取り合い部分にも施工できる。一方、はしらどめリトルコーナーも土台の上に取り付けられるタイプなので、壁パネル等の取付作業が容易な上、ビス本数が6本と少なくて済む。
 定価はホールダウンコーナー10KN用が350円(ビス、角ビット同梱)、ホールダウンプレート10KN用が320円(同上)で販売はいずれも50枚単位。ステンレスインナープレートは250円(ビス、角ビット同梱)、はしらどめリトルコーナーが150円(同上)で販売は100枚単位。
 問い合わせは、同社住宅資材事業部(茨城県新治郡新治村大畑702、TEL 0298・30・6111)へ。


ホールダウンコーナー

ステンレスインナープレート

ホールダウンコーナー施工図

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