平成15年10月15日号から
e-ハウジング函館結成
地場産業の家づくり目指し工務店が団結
 家づくりを地場産業として発展させるためには、地場の工務店が地域材を利用して建てた住宅を普及させることが必要だ。しかし全国画一体制をとっているハウスメーカーの宣伝力に押され気味となり、工務店側の主張を消費者へ広く伝えることが難しい状況となっている。そこで、限りある工務店1社の力を結集し、同じ考えを持つ者同士が集まってこのほど函館の工務店が『e─ハウジング函館』を結成した。


2週間に1度の会合ではみんなが積極的にアイデアを出し合っている
出来る事から開始
ホームページ・合同見学会など

 函館の住宅市場はここ数年、景気低迷の中で大手ハウスメーカーの力がさらに強くなっており、地元工務店は厳しい戦いを余儀なくされている。そんな中、工務店七社、建材会社二社の合計九社が団結し、地域に根差した住まいづくりを目指す地元工務店ネットワーク「e-ハウジング函館(渋谷旭会長、渋谷建設(株)社長)」を結成。去る8月5日には設立総会を開催した。
 厳しい地場経済の中で、これから先に対する漠然とした不安を集まったみんなが抱えており、デザインや工法、住宅に対する考え方が多少異なる部分があっても、この状況を脱するために目指した目標がみんな同じだったことから、工務店同士の結集に至った。
 目指すのは『e-ハウジング函館なら安心』と消費者に思ってもらうこと。そのためには参加各社の建築技術の一層の向上が必要になるとともに、グループ化によるコストダウンの追求、ITなどを利用した共同の広報活動、共通工法の開発や共同の事業、地場産材を活用した地元産業への貢献も重要だ。
 そこで当面の目標として仮アップしたホームページの内容充実、合同現場見学会の定期開催、桐・から松・道南杉など地域材の活用―の3点を挙げ、2週間に1回のペースで会合を続けている。
 まずホームページは、道南で住宅新築を考える消費者へ総合的な情報を提供することを目指し、このなかで各社のバーチャルモデルハウスを閲覧できるようにする予定だ。
 また、十一月には初の合同現場見学会を市内で開催する予定だ。共同広告・共同集客でまず『e-ハウジング函館』の名前を知ってもらうとともに、集客数の増加を図り、ハウスメーカーと地場工務店が行っている家づくりの違いを訪れる消費者に知ってもらう。

地元に還元する家
江差町の桐を建材に利用

 地域材を活用する取り組みとしては、道南の江差町に植生している桐の木を住宅の床・壁・天井・建具に取り入れていこうという計画が持ち上がっている。資源量としては7万立方メートルあるが、建材としてどれだけ使えるかは未知数の部分もあるため、先ごろ会員が森へ視察に行き可能性を探ってきた。伐採や製材などはこれからだが、会員からは早くも「採用したい」という声があがっている。


立ち木を見て製品化を探るメンバー
 地場への貢献を掲げる同会では、割高になりがちな道産材を高級住宅ではなく、一部でもいいから一般の住宅に採用することを念頭に置いている。そのためのコスト配分を含め、地場の工務店ならではの提案を検討している最中だ。
 渋谷会長は「高性能な住宅を適正価格で供給し、住宅産業を地場産業として発展させていきたい。そのためにも消費者にはハウスメーカーと地場工務店が建てている住宅の違いを知ってもらいたい」と話している。
 同会会員は次の通り。
▽会長・渋谷旭、渋谷建設(株)社長▽副会長・川村伸之、(株)ハウザー社長▽理事・佐藤昌博、(株)マルサ佐藤建設社長▽同・葛西利吉、(株)葛西建設専務▽同・武田正人、(株)武田工房社長▽同・坪内克巳、立山アルミニウム(株)函館営業所所長▽同・池田忠光、田島木材(株)課長▽会計・事務局山野内辰男、(有)ノースランドホーム社長▽監事・笹谷幸二、(有)ささや工務店社長

新組織立ち上げへ
十勝支庁 道産カラマツ材の家を推進

山小屋風など若い感性にもアピールするカラマツ住宅(幕別町)
 十勝支庁林務課は、「十勝支庁カラマツの家づくり推進会議」を立ち上げ、先月8日に帯広市内で第1回会議を開催した。この会議には十勝管内の林業関係者、カラマツ住宅の建築経験のある工務店、設計事務所など計15名が参加、支庁側が民間の取り組みをバックアップする形で、十勝管内で産出するカラマツ材を使った家づくりを推進する考えだ。
 十勝支庁では平成14年度から3ヵ年計画で、工務店などが建設したカラマツ住宅を地域住民に対して積極的なPRを進めているが、カラマツ住宅を普及させるためには、民間が主体となった活動が必要になると判断、カラマツの家づくりグループを立ち上げる話し合いを行った。
 具体的には、住宅産業に携わる人たちが消費者とともに森林と住まいのあり方を再認識し、カラマツをはじめとした十勝産の木材を利用した家づくりを進めることで管内の森林を守り育てることを目的とした「顔の見える家づくりの会」(仮称)の設立を目指している。今後も、グループ立ち上げに向けて詰めの話し合いが持たれる予定。
 政府は、今年度から地域工務店を対象に「顔の見える木材での家づくり」促進・普及事業を行っており、道もこの事業に合わせて「地域の家づくり」全道協議会の設立を準備中だ。十勝支庁では、家づくりグループを立ち上げた後にこの協議会にも参加し、他のグループとも積極的に情報を交換したいとしている。
 問い合わせは、同支庁経済部林務課林産係(帯広市東3条南3丁目、Tel.0155・24・3111、内線2521)へ。

こだわり層から強い支持
ドライウォール
第2回 イシオカ建設
 イシオカ建設(株)(札幌市、石岡利昭社長)では、多彩なスタイルを持つ北米住宅をモチーフにした輸入住宅を主力に展開。室内にドライウォール下地のペイント仕上げを標準採用するなど、北米住宅としてのイメージをより高めた家づくりを提案。札幌や近郊でモデルハウスを公開し訪れるユーザーの間で話題となっている。
 同社が提案している輸入住宅は、設計担当者がアメリカのシアトルで学んだ設計思想、デザイン、間取り、工法といった北米住宅のノウハウを活かし、ユーザーのイメージやライフスタイルに合わせてアレンジしたオーダーメードの住宅。
 北米住宅という名称は、アメリカやカナダの長い歴史の中で生み出された様々な住宅スタイルの総称として使われているもので、ヨーロピアンスタイル・コロニアルスタイル・スパニッシュスタイルなど様々な北米スタイルに対応した輸入住宅を提供するためにも、規格化したプランは用意せず、ユーザーのイメージやライフスタイルを基準に造り上げる。
 ドライウォールのペイント仕上げは、ユーザーがイメージしている輸入住宅を演出するための一番のポイントだが、目に見えない良さもあるという。
 クロスだと破れたりひっかき傷がつきやすく、部分的な色褪せが生じた場合、補修をするには専門業者へ任せることになる。しかし、ドライウォールはボードの継ぎ目をしっかりと接合しているので、クラックや不陸が発生せず完成したばかりの状態を長年維持し、部分的な補修や色の塗り替えはユーザーの手で簡単に行える。このようにメンテナンスの手軽さや耐久性に優れているというメリットも評価が高い。
 同社のチーフプランナー安田晋也氏は「ドライウォールと出会ってから15年以上が経ち、何棟もの住宅に採用してきたが、今だにひび割れや不陸などの問題は発生していない。クロス貼りより工期が長く価格が若干高いことが唯一の問題点だが、メンテナンスが安くて容易。ユーザーからの評判はとても良い」と話している。

モデル公開した輸入住宅の外観


大きなアールコーナーが印象的なドライウォールの室内

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