ウレタンボードによる外張り断熱工法(ソトダン21工法)を採用する(株)奥野工務店(札幌市、奥野諭社長)では、桁上断熱や屋根断熱の採用などによって、全棟平均で相当隙間面積0.3cm2/m2前後の高気密性能を確保するとともに、胴差し廻りに外装材等の荷重を受ける桟を付加したり、ファイヤーストップを施工するなど、ユーザーにより高い安心感を与える住宅造りに取り組んでいる。
現在、同社では気密測定、換気風量測定、CO2濃度測定を全棟標準で実施しているが、これだけ高い気密性能を安定して実現できるのは、気密層を桁上で取る桁上断熱や屋根断熱の採用がポイントとなっている。
桁上断熱では小屋梁の上に合板を張り、その上に防湿・気密シートを回してから断熱材を施工するため、外壁のシートと桁上のシートを連続させることが容易で、現場ごとの気密性能の差も解消。屋根断熱ではさらに気密層の連続が容易だ。
ただ、これだけ気密性が高くなると、レンジフードのファンに負荷がかかったり、給気口から導入される外気量の割合が増えるため、冬期に冷気を感じやすくなることもあるそうだ。これらの点は、同時給排気型のレンジフードと、外気温に応じて開閉量を自動調整する給気グリルの採用で対処していく意向だ。
また、一、二階外壁のシート張りは、長さ3.2mの製品を横使いで一発張りすることにより、シートのジョイント部分を最小限に抑え、基礎・土台廻りの気密施工では、基礎天端・土台間にパッキン材を挟むのではなく、基礎工事の時に基礎断熱材内側に先張りシートをテープで固定しておき、布基礎打設後に立ち上げて外壁のシートと連続させている。これは、土台に使われる木材が他の構造材より品質が低い場合を想定し、万が一、パッキン材で追従できない隙間が発生しても気密性能が損なわれないようにとの考えだ。
構造面では、ユーザーに安心感を与える工夫として、胴差し廻りに45×60mmの桟を横に流し、外装材等の荷重を受けられるようにしている。
外壁軸間部分では、天井面と面揃えで横桟を納めてファイヤーストップとしているのが特徴。火災時の燃え抜けを抑制するとともに、軸組外側に耐力面材として使っている構造用合板と内装下地材の受け材も兼ねており、施工の合理化にもつなげている。 |
軸間部にファイヤストップを設置
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