平成13年5月15日号から
下地ボードなどを釘なし施工「オールオーバー工法」
クリーンペア北海道
 クリーンペア北海道(株)(札幌市、長野義夫社長)では、高周波で接着テープを加熱・溶解することによって、釘やビスを使わずに内装下地の石膏ボードやフローリングの施工・剥離を可能にした「オールオーバー工法」の道内での本格的な普及に着手、同工法を導入するために必要な技術指導等を行う施工認定講習会の受付を開始した。
 同工法は東京電機大学理工学部の富田英雄教授を中心に、アキレス(株)、コニシ(株)など四社で共同開発したもの。釘やビスを使わないので建材を傷めることがなく、増改築やリフォーム、解体時には再び高周波を当てれば接着部分が溶けて簡単に剥がせるので、建材の再利用や分別廃棄処理も容易にできるなど環境問題に配慮している点が大きな特徴。石膏ボードを耐力壁に算入する場合も釘打ちに代えて使える。
 施工は石膏ボードやフロア材と受け材との間の通常釘打ちする箇所と同じ箇所に専用の変性ポリアミド系接着テープ(ホットメルト接着剤)を12cm程度の長さに切って挟み、高周波発生装置を建材の上から押し当てて数秒間高周波を放射するだけ。
 施工に当たっては同社が行う施工認定講習会を受けて登録を行うことが必要で、講習会は希望に応じて随時実施する。
 問い合わせや講習会の申し込みは同社(札幌市中央区南10条西10丁目1-20さくらビル、tel.011-552-5500。

施工時のイメージ

転用できる断熱型枠
HFI ネット販売
 ヒザキ・フォームワーク・インダストリーズ(株)(帯広市、日崎秀一社長)(略称HFI)では、7月からポリウレタン系断熱材を使用した高性能型枠兼用断熱材「P2型枠」をインターネットを通じて全国販売する。
 「P2型枠」は、カナダPolycrete社の開発した製品をHFIが栃木県に建設した工場で製造。最大の特徴は、コンパネのように何度か転用できる点。同社の試算によれば、型枠として1回使用し、次に型枠兼用断熱材として使うと、材工価格で合板型枠と同等以下になるという。
 製品は、硬質ウレタンパネルに亜鉛メッキ鋼板製のT字型バーを一体化した構成となっており、スチール製の専用セパレーターをT字型バーの孔に差し込み、コンクリートを打設する。ウレタンパネルの表面は、コンクリートと剥離しやすいよう特殊シートで加工されているため、他現場への転用が容易にできる。
 そのほかの特徴として、曲面施工も容易に対応可能。また、マイナス10℃の寒さでもコンクリートの養生は不要。
 同製品は、建材アウトレットモールなどのコンテンツを提供する「カーサナビ」でのみ購入可能。販売価格はm2あたり2,000円以下の低価格を予定しており、購入実績や購入数量に応じたディスカウント以外の値引きは行わない。
 製品の詳細や施工マニュアルは、同社ホームページで公開。問い合わせは、同社(tel.0155-36-9292)へ。

発電時の廃熱利用
燃料電池の可能性
  今年2月、2日間にわたり開催した「第6回寒地住宅学校」の講演内容を今号から数回にわたり掲載する。今回の寒地住宅学校は「技術が解決する住宅品質とコスト」を統一テーマに、ユーザーが魅力的と感じる住宅を提供するための、新しい技術による提案力と合理化の推進について探った。今回は、松下電工(株)FCGプロジェクト事業企画グループ課長安達淳治氏の講義「燃料電池の可能性」を紹介する。

2005年実用化へ
 燃料電池の仕組みは、水の電気分解と逆の原理により、水素と酸素を反応させて電気と水をつくりだすもの。住宅用コージェネレーションシステムは、燃料電池が電気を作り出すときに発生する熱を家庭の給湯と暖房に利用する。自家発電+温水を供給できる発電装置だ。
 発電時の廃熱も利用するためエネルギー効率が高く、エネルギー消費・炭酸ガスの排出削減につながるほか、水素は天然ガス、都市ガス、LPガス、メタノールなど各種原燃料から取り出すことができ、酸性雨の原因である窒素酸化物、硫黄酸化物はほとんど排出しない。燃焼がないため騒音がなく、環境に優しいシステムといえる。
 この燃料電池の中でいま最も注目されているのが、固体高分子形(PEFC)と呼ばれるもの。PEFCの特徴である小型・軽量という点を生かし、ポータブル用、住宅用コージェネシステムの開発が国内外のメーカーにより進められいる。
 住宅用コージェネシステムは、現在NEDOのプロジェクトとして2005年の実用化を目指して開発が進められている最中。昨年は世界初の住宅用コージェネシステムが松下電工、三洋電機(株)、松下電器産業(株)によって開発され、(社)日本ガス協会において試験および評価。燃料はいずれも都市ガスで、今年度は他のメーカーも試作に参加し、性能・安全性評価が実施される予定だ。燃料電池の定格出力は今のところ床面積120m2の標準的な住宅で約1kWを想定。

定格出力の設定など課題
 コージェネ効果を最大に発揮するためには、給湯の需要に対して100%供給し、電気は不足分もしくは過渡的需要を商用電力から供給を受けるシステムにするとよいことがわかっている。このような観点から、定格出力の設定、運転パターンの最適化、商用電力系統との連携方法、貯湯槽容量の設定が課題になっている。
 開発目標は、発電効率35%、排熱回収効率35%、温水温度70℃、寿命4万時間、コストダウン(普及時のシステム価格50万円)。

燃料電池の試作機(松下電工)

コージェネの概念図

コラム:外野席
物作りの楽しさ
 先の連休中、よく出かけたのはホームセンターである。自宅の玄関先だけでなく、事務所の前も花で飾りたいと四月中旬からよく通っていたのだが、連休後半はペンキ塗りのおもしろさに取り付かれてしまった。
 住宅づくりには必要不可欠のペンキ・塗装工事も、最近では塗装品・完成品組み立ての普及やトルエンなど有害化学物質問題の影響、さらにはコストダウンの対象工事として、見積もり項目から消える例も出てきているようだが、一方でDIY的な家づくりを好む層には自然素材を中心としたステイン系の塗料が人気である。
 前置きはともかく、ハケを握ったのは子供の頃以来。水性塗料を使い、花台やスツール、写真額縁を青と黄色で塗ってみた。子供たちもハケさばきを興味深げに覗き込んでいる。上手に塗れれば塗装屋さんは上がったり。うまくなんかできるわけがない。でも、五月の日射しを浴びながら、久しぶりに楽しく遊んだ。
 もの作りがこんなにも楽しいのはなぜだろう。最近、社内LANの構築などでパソコンのことばかり考えていた頭の中は、電子の世界から物作りの世界に切り替わり、みずみずしさを取り戻した(ような気がした)。出来上がった「作品」は原色とその組み合わせがかなり鮮烈。店では買えない色遣いに満足しているが、家族の評価は意外にも二分されている。

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