エコ化

2016年04月01日(18:13)

申し込み殺到!札幌版次世代住宅補助

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基準を改定して使いやすくなった札幌版次世代住宅基準の補助申し込み第1回が締め切られ、応募多数で抽選となりました。
どのくらい応募多数かというと、以下のように
 
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スタンダードレベルの補助20件に対して119件の応募、すなわち募集倍率6倍です!
 
まずは大成功といえるでしょう。
http://www.city.sapporo.jp/toshi/jutaku/10shien/zisedai/zisedaihojo.html
時代の後押しもあり、札幌市の基準改定が受け入れられた結果だと思います。
抽選にもれた約100件が全部スタンダードレベルで建つわけではないと思いますが、仮に1/3が建ち、補助物件と合わせて50件のスタンダードレベルの住宅が建つとなると、これはすごいことです。
札幌の一般個人住宅は年間に4500件くらい。そのうち3月末の申込分で50件以上がスタンダードレベルとは!
 
今後は、ベーシックをもう少し減らしてでも、スタンダードを手厚く補助したほうが良いのではないかな、と白井は思いました。
 
この点とあわせて、もう一つ検討したらいいなと思うのは、スタンダードの抽選にもれた人は、ベーシックの抽選会に参加できるようにしてはどうかと思うのです。もう一歩進んで、スタンダードに漏れた人がベーシックの抽選において優先権を持ってもいいのではないかと。
 
というのも・・・
第1に、高い目標に向かって投資する意欲ある市民を、補助のかたちでサポートするために、ベーシックを希望する市民よりスタンダードを希望する市民を優遇していい。
 
第2に倍率はそのときによって異なるでしょうから、スタンダードに応募が集中したときに、はずれた人とベーシックが当たった人との間にただよう何となくの不公平感は解消されたほうが良い。
 
第3に、今の選考方法だと、住宅事業者の中にはスタンダードに10棟以上申し込んで1棟も当たらない会社もある一方、ベーシックに5棟以上申し込んで全部当たる会社もでてきてしまう。これは「残念だね」で肩をたたいて済む問題ではない気がする。
 
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制度がさらに改善され、みんなが納得して取り組める仕組みになるように、札幌市には引き続きがんばってほしいと思います。
 
※写真は札幌市のHPからお借りしました

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2016年02月21日(17:15)

経済産業省がZEH登録制度を発表しましたね。

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1.ZEHビルダーでないと補助金は受けられない。
2.2020年度における年間のZEH建築(改修)割合を50%以上とすることを目標として各年度の目標値を設定・公表すること
3.公募開始時期については、平成28年4月上旬~中旬を予定
この3点がポイントでしょう。
http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/zeh_builder/
〈画像は経産省のホームページをキャプチャーしたもの〉

やり方がじつにエグイですね。
義務化よりよっぽど高度な戦略と言えるかもしれません。

しかし、よく考えると、これは太陽光発電を住宅に設置することをなかば義務化する政策です。しかもその費用は国民負担。

いろいろな意味で今後議論が起きるでしょう。
ただ、背を向けるわけにはいきません。

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2015年11月18日(19:59)

温風暖房の可能性

昨日はあったかリフォーム倶楽部主催のセミナー
「暖房熱源と暖房方法の選択」が開かれました。

講師は同会会長で北大名誉教授の繪内正道先生。
繪内先生はじゅうぶんな準備の上に講演内容を組み立ててくださいました。参加者の皆さんにとって、なかなか刺激的な内容だったと思います。

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そのなかで、スライドを1枚、ピックアップしてみました。
断熱性能がうんと高い住宅では、どんな暖房方法が良いのか。
いままでと同じか、それとも変わってくるのか。

繪内先生は、Q値で1.0Wよりも高性能になってくると、温風暖房が有利だ、という見方を示しておられます。
温風暖房の位置づけは、今後の焦点の1つかもしれません。断熱性能が高くならないと、温風だけで家を暖めることは難しいのです。しかし、熱交換換気の給気を加温するだけで暖房できるレベルになると、温風暖房はいままでと全く違ったものになってきます。
エアコンとも違うし、巨大な送風機で空気を回す温風暖房とも違う、気流感のほとんどない暖房になります。

ルームエアコンに押され気味で話題になりにくいですが、熱交換換気+給気加温の可能性を忘れてはいけない、というメッセージでした。

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2015年11月08日(17:11)

メーカーに開発を促す。掃除しやすい熱交換換気を!!

住宅の断熱が進んでくると、換気によって捨てられる熱が無視できない量になります。
換気の目的は室内の空気をキレイに保つことですが、そのために「大量の熱も捨てているのは何とかならんか」ということで
捨てる熱を回収する仕組みがスウェーデンで開発されました。

回収した熱はどう使ってもいいのですが、仕組みが最も簡単なのが、回収した熱で給気を暖める
「熱交換換気」です。

いいことずくめに見える熱交換換気ですが、
汚れ防止のフィルターが目詰まりすると換気量が極端に減り、「掃除してください」のサインとして、窓の結露が現れます。
住まい手が掃除すれば問題ないのですが、掃除がめんどうだとなるとこの機械はなかなか困った問題を抱えてしまうことになるのです。

こういった熱交換換気の掃除のしやすさを真正面からとらえて、これをわかりやすくポイント化し評価することで、メーカーに製品開発のキッカケにしてもらおうという動きが進んでいます。

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写真はその報告書。まだ完成しておらず、編集中バージョンです。
この取材で先週金曜日、IBEC(アイベック、建築環境・省エネルギー機構)を訪れました。

ボクはツイードのジャケットを着て出張に出かけたのですが、木曜・金曜の東京は日が昇ると半袖でも歩ける陽気。
汗をかきながらJR四谷駅から麹町へ向かいました。

この内容については新聞記事にする予定です。

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2015年10月30日(17:38)

昨夜は少し"断熱昔話"を

いまではまあまあ普通に断熱住宅が手に入る時代になりましたが、ここに至る歴史はなかなか壮絶なものがあります。
北海道開拓の歴史は、そのまま寒さとの戦いでもあったわけですが、現代の技術が生まれる直接のキッカケになったのは、昭和40年代以降の動きです。
いまから半世紀近く前にさかのぼるわけです。

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これってじつはすごいことでして、リアルに言えば、当時、歴史を動かした人たちは、いまかなりのお年になられ、すでになくなった方もおります。
「当時は何があったのか」
「なぜあの製品が開発できたのか」
後世を生きるわれわれが感じている疑問を知る最後の機会がいまだ、という話を、お魚のおいしい居酒屋さんで焼酎を飲みながら、3人で話しておりました。

ボクは当時を生きた1人ではありませんが、数ヵ月かけて調査し報告書にまとめた経験があり、住宅断熱化の始まりのころからの情報を、工法などにかたよりなく、わりと知っていると思います。
それでもわからない重大なことがいくつもあります。

じつは、今年の冬、東京から、北海道の断熱の歴史を取材しに来られた先生もいらっしゃいます。


日本の住宅断熱が北海道から始まったことは、北海道外でもわりと知られています。
が、北海道がどこから学んだか、は知られていません。
また、世界的に住宅断熱化をリードしてきた国がどこかも、正しく伝わってはおりません。

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北海道が学んだのはスウェーデンです。
昭和50年代に学会が中心となってスウェーデン視察に行った、そのメンバーとそのときの情報から、北海道の断熱化が本格的に動き出したと言えるかもしれません。

もしかすると、ボクがまとめた報告書を世に出す機会があるかもしれません。当社にお越しいただいた先生もそれをすすめておられました。

昨日の夜の昔話で、気持ちがまた少し前に進みました。

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2015年10月12日(18:07)

省エネ リフォーム・リノベーションセミナーの講師をして!

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10月11日(日)と12日(月)にグリーンファンド主催のイベント
省エネエコメッセ2015in環境プラザ
Vol.2 知ってて良かった! 「健康・快適・省エネ リフォーム・リノベーション」が開かれ、
ボクは日曜日午前に先頭を切ってセミナーの講師をしてきました。

リフォームとは不動産を負動産にならないように資産価値を維持し、耐震・断熱性能を高めることですという話、特にこれからさらに高齢化がすすみ、暖かい家は健康を維持する上で薬と同じ効果がある大切なことであるという話をして、
最後に、フルリフォーム、300万円リフォーム、100万円リフォームを説明しました。

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300万円リフォームとは、外装張りかえと同時に行う断熱改修、100万円リフォームとは室内側から行う断熱改修です。
このうち、100万円リフォームはあったかリフォーム倶楽部が1年がかりで開発を進めた工法提案です。

質疑~講演後、多くのかたが関心を持ったのが
300万円と100万円のリフォームでした。

「断熱がそんなに安くできるの?」
「えっ、外装材の工事の方が高いの!?」
「わが家は外装をいじってるの。でも寒いの」
そんな声が出て、

「わが家を室内側からやる断熱改修の実験に使ってください」
という方もいらっしゃいました。

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お役に立ちましたでしょうか?

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2015年10月10日(16:25)

カナダの300mm断熱-マトック氏語る

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古い人間には、カナダR-2000の指導者として有名、若者にはカナダの省エネ住宅設計者として紹介した方がよさそう。
クリス・マトック氏が来日し、10月9日(金)札幌でセミナーが開かれました。
 
何度も来日し、また自分はカナダでもマトックの話を聞いたことがあるので、なつかしい気持ちが強かったです。
 
いまカナダは、日本と同じく高断熱化、断熱基礎に取り組んでいるようです。
壁厚で300mmくらいの断熱という点も北海道と似ています。
 
日本よりも多くのデータ取りをしている点は実学的だなと思いました。
例えば、気密性能がC値で2より悪いくらいのレベルだと、300mmクラスの断熱は壁の中に湿気がたまる危険性が高いとか、ヒートポンプの効率は、外気温が-25℃からプラス25℃まで温度帯別に計測しているとか。
ちなみに、札幌レベルの-5~-10℃の温度帯ではCOPが2となっています。
 
カナダ情報を久しぶりにきいて、最新の写真も見ることができてなかなかによかったです。
 
そうそう、日本でいうエアコン暖房にも触れていました。ヒートポンプの採用を検討すると、当然にルームエアコンが候補にのぼります。COPはルームエアコンがいちばん優秀だけど、温度ムラがカナダでは好まれないと話していました。

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2015年08月13日(18:57)

トリプルガラスサッシの時代へ

15_0815top.jpg前回のコラムで、R-2000基準が25年を経て北海道の標準仕様になったということを書きました。
もうひとつ、昔話をしたいと思います。
お盆、そして戦後70年だから、過去を振り返るのもいいと思います。
 
いまから12年前、ボクはこれからの北海道の住宅の標準仕様は、壁150mm断熱と木製トリプルガラスだと考えるようになりました。
 
その当時、標準仕様は壁100mm、窓はペアガラスでした。壁も窓も1.5倍の断熱をする住宅がいずれ標準になるべきだと考えた理由は、今となってははっきり思い出せませんが、確か、2×6のR-2000住宅の燃費が、当時の住宅の半分ほどだったことが第一。窓については、樹脂枠のペアガラスではガラス性能がよくなっても枠が冷えて、北海道標準とは言えない。木製のトリプルが必要と考えた気がします。
 
この仕様では、断熱性能はR-2000を少し上回ります。現在、北海道の標準仕様とまでは言えませんが、じつは樹脂サッシの性能改善が昨年から一気に進み、窓ガラスのトリプル化が徐々に進んできているのです。
 
8月15日号の北海道住宅新聞では、樹脂サッシトリプルガラスを採用した工務店・ビルダーの声をまとめました。
ペアガラスサッシとの価格差も、かなり小さくなってきています。来年じゅうにはトリプルがほぼ標準と言えるようになるかもしれません。
〈クリックして拡大〉
 

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2015年08月05日(16:46)

R-2000の記事はちょうど25年前

2015_0805np.jpg北海道も暑い夏になりました。
リビングには2年ぶりに扇風機を取り出し、羽毛の掛け布団を横にしまってタオルケットで寝ています。
会社のエアコンも、止めると徐々に室温が上がるため、運転時間が長め。それでもよしずの効果で比較的過ごしやすいです。

夕方の打ち合わせ資料として、1990年の北海道住宅新聞データを探し出して印刷しました。
1990年と言えば、ちょうど25年・四半世紀前です。
弊社主催のカナダ・アメリカツアーの記事、そして9月に日本版R-2000が始まるという記事がありました。

R-2000とは、カナダがその数年前にはじめた高断熱・高気密住宅の規格を言います。
断熱が外壁140mm(ツーバイシックス)、気密がC値でおよそ0.7以下、セントラルヒーティングとセントラル換気を装備した、当時としては最先端の住宅規格です。
それが25年後には北海道の標準仕様になったのですね。

日本の木造住宅の性能を高めるきっかけの1つがR-2000でした。
〈新聞クリックで拡大します!〉

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2015年08月04日(17:36)

一般人は小さな家を! お金持ちは超省エネ住宅を!?

「住宅貧乏」とか、いろんな新しい言葉を最近聞くようになりました。
燃費が良くて健康にもいい家を建てると、建築費は高いけど光熱費が安上がりなので、住宅ローンとあわせた住居費総額としては高くない上、医療費抑制が可能だから金銭面トータルで安くなる。

健康に必要なことは、薬ではない。夢と希望と住環境だ。
夢を持って生きれば前向きになる。だから病気になりにくい。あとは住環境が整っていれば健康維持ができる。高血圧の薬を飲みながら健康を維持する必要は、ほとんどの日本人にとって「ない」のだそうです。

これらの話、なかなか説得力がありますよね。
ボクがやってきた仕事は、けっこう人と人の人生にいい影響を与えることだったんだな、などと50代も過ぎると思うようになります。
ただ、それだけで家を建てるわけにもいかない。もう少ししっかりした予算組みが、本当は必要なはずです。

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ボクはやはり広さだろうと思います。

いま、住宅を造るための建材や設備類が値上がりして下がらないままに高止まりしています。消費税も上がりました。2年前と同じ家を建てようとすれば、明らかに余計にお金がかかるのです。
予算には限りがあるが、あまり妥協もしたくない。
そうなると、家を小さくすることが必要になります。

小さい家で断熱もしっかり=燃費良し。

逆に予算に余裕のある方は、家が大きくなるので、断熱性能をかなりがんばらないと燃費の悪い家になってしまいます。

一般人は小さな家を! お金持ちは超省エネ住宅を。
こういう考え方もあるよな、と最近思うようになりました。
あまり結論のない話になりましたね。

写真は、写真家・國枝琢磨氏が見つけた札幌圏の住宅100から。
こちらです。
https://www.iesu.co.jp/ghs/house100/

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PROFILE

編集長 白井 康永

家づくりを変えたいという野望を持ち、北海道住宅新聞、札幌良い住宅jp を中心に、少子化の激流のなかでわれわれが日本を導きます.時にひょうひょうと(笑).
北海道・札幌市生まれ54歳。血液型O型.新卒1年、専門学校に通う娘たち、高校を卒業した息子あり. 休日にやってること:のろまジョギングとテレマークスキー.

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