2017年12月18日(17:50)

超低金利・地価高騰を背景に小型プランの勉強も始まる-札幌この一年

今年もあと2週間となりました。ボクの住むまち・札幌で、とにかく印象的だったことを書いてみます。

札幌圏ではこの1年、地価高騰がバブルのようにふくらみ、地下鉄・JR駅から徒歩圏内は前年の5割高といわれるほど高騰しました。一方で駅から離れた宅地は現状維持か価格が下がっています。消費者の多くは利便性が最優先なので、ない土地をみんなが探すことになるため、住宅会社としても営業マン個人としても土地待ち客名簿ができるほど。住宅会社にとって最大の悩みのタネとなりました。

例えば、坪100万円の宅地が登場しています(2年前まではおよそ60万円台が上限)。
地下鉄徒歩10分圏内で坪50万円が相場になってきました(30万円台が許容限界かと思うのですが)。
バブル時代に地上げされその後塩漬けになっていた宮の森の大型宅地が売りに出ています。

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〈マンションにはさまれたまちなかの家〉
 
こうなると、普通の市民が予算内で購入可能な駅近土地は、間口が10m以下で狭く、日照も厳しいものばかり。逆にそういう土地でも明るく光が入るすてきなプランが提示できれば、設計力で家が売れていく時期でもあります。

建物間口が4間(7.2m)以下になると、間取りの工夫が必要になります。最近は1階の床面積が小さくなっているので、1階に玄関、LDK、水回り、できれば個室1つをどう配置するか、かなり難しいのです。

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このようななか(一社)新住協札幌支部はこの1年間、コンパクトプランで、かつ同団体が推進する省エネ住宅「Q1.0住宅」をローコストに実現するプロトタイププロジェクトを実施しています。
間口5間(9m)の敷地を想定し、2.5間×6間と、3間×5間の総2階プランを検討。このうち2.5間×6間のプランは基本設計を元に数社が概算見積を提示。今後はプランを確定させて構造計算、実施設計、モデルハウス提案と進む予定です。

企業単位でも、3間×5間の総2階プランを企画商品として検討している会社も出てきています。建物間口が3間(5.4m)なら、土地間口は5間、ギリギリ7.5mでも収まります。


一方で、誕生から20~30年が過ぎたバブルからポストバブル期に広がった郊外のニュータウンの中には、札幌市内にもかかわらず坪5万円以下でも買い手がつかないケースもあります。豊かなカントリーライフを夢見たものの、子どもが巣立ったので中心部に引っ越そうと売りに出す。ところがまったく売れないという例もあるのです。

超低金利の金融政策は、住宅ローンの総額が小さくなることで、ここまで住宅景気をけん引してきました。しかし、徐々にマイナス面が大きくなってきているというのがこの1年でした。

カテゴリ:ie家 |

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PROFILE

編集長 白井 康永

家づくりを変えたいという野望を持ち、北海道住宅新聞、札幌良い住宅jp を中心に、少子化の激流のなかでわれわれが日本を導きます.時にひょうひょうと(笑).
北海道・札幌市生まれ54歳。血液型O型.新卒1年、専門学校に通う娘たち、高校を卒業した息子あり. 休日にやってること:のろまジョギングとテレマークスキー.

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