2017年08月14日(18:23)

ロコソラーレ北見優勝 どうぎんカーリングクラシック2017 代表戦へ弾み

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半年ぶりにカーリングについて書いてみます。
※カーリングとは、氷の上で行う「おはじき」です。1チーム4人が20kgの石を滑らせて、40m先の縁の真ん中に近い石を持っているチームが得点を挙げるというとてもシンプルなルール。

今年の2月に、アジア大会に行こう的なブログを書きました。こちら。
https://www.iesu.co.jp/column/2017/02/10090057.html

ところが、もたもたしているうちにチケットが売り切れ、偉そうなことを書いたくせに観戦できませんでした。
日本代表のロコソラーレ北見(LS北見)は全力でがんばりましたが、シーズンを象徴するようないまいちの成績で、中国・韓国に次ぐ3位。

苦しい16-17シーズンの最後に再リセット

とにかく苦しいシーズンが終わりました。
そして、シーズン最後ではありますが、最後の海外遠征は新布陣で臨んだようです。
そう、世界選手権で銀メダルを取った布陣に戻したのです。
マリリン(本橋麻里選手)は再び控えに戻り、鈴木夕湖選手が戻ってセカンドに。吉田知那美選手はサード・ヴァイススキップ(副司令塔)に就きました。

2月のブログの通り、ボクはこの布陣を待っていました。
マリリンは本当にスゴイ決断をした。
マリリンが結果を出せなかったわけでは必ずしもないのです。ただ、やっぱり世界戦の布陣がベストなのです。
本橋麻里さんを尊敬します。


そして、マリリンの子どもたち(アイスに乗る4人)はシーズン最後にもう一度リセットして、新シーズンを迎えることになったのです。

アドヴィックスカップは準優勝

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シーズン最初のアドヴィックスカップは7月に北見市常呂町のアドヴィックスカーリングホールで開かれ、ロコは準優勝しました。
このカップ戦は男子も女子も関係なく試合をして優勝者を決めます。今回は4REALという男子チームが優勝、ロコは決勝で負けましたが、なかなか良い試合だったようだし、何より女性チームには無敗で勝ち上がりました。
北海道新聞によると目の肥えた地元の皆さんが「強く明るいロコが戻って来た」と評したようです。
見に行きたかったけどちょっとね。いちおう仕事あるし(笑)。
ちなみに、過去に男子チームを破って北海道銀行フォルティウスが優勝したことがあります。他の競技ほど男女差がないから、こういったカップ戦を実現するのでしょう。


カーリング初観戦!@道銀カーリングスタジアム

そして8月4日(金)。ついに(ようやく)カーリングの観戦に行ってきました。
9月に開かれるオリンピック日本代表決定戦の前哨戦と騒がれている
ロコソラーレ北見(LS北見) vs 中部電力

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どういうことかというと、2016年の世界選手権準優勝で、日本のオリンピック枠は確定しました。あとは来年の平昌オリンピックにどのチームが出るかを決める試合を9月に行うことになったのです。
対戦するのは、2016年の女王・ロコソラーレ北見と、2017年の女王・中部電力です。
ロコの司令塔・スキップ藤澤五月選手にとっては、古巣との対戦となります。
前日、藤澤選手は前哨戦について聞かれ「いやぁ、仕組まれましたね」と笑っていました。
このメンタルが藤澤選手。優等生のコメントなんてしなくていいから、自分らしく、ノビノビとカーリングしてください。
※運営側が話題づくりを仕組んだのは間違いありません。金曜夜の試合に持って来てyoutubeのlive放送も入れたのですから。そりゃみんな楽しみだし、観客集まるし!

さて、話を戻しましょう。
試合開始は19時30分。会場へは少し早く19時過ぎに到着。
500円の入場券を買おうと並んでいたら、2階から降りてきた中部電力のメンバーがいきなり目の前を通過。選手と観客の距離の近さに驚きました。

チケットを購入して上履きを忘れたことに気がつきました。今さらどうしようもないけど、リンク内はきっと寒いだろう。リンクに入ることはできるのだろうか不安・・。

2階に上がると、まだリラックスしたムード。ときどき選手が通ります。これから試合がある女子選手はみんな厳しい表情をしています。
ロコのメンバーでは鈴木夕湖選手が2階のホールに現れました。本当に小さい。鍛えた体はウエアの上からもわかりますが、身長はお子ちゃま並み。145cmというから、一般人に交じっても小さい。北海道銀行フォルティウスの船山選手も小さかった。

試合開始が遅れるとの放送。
2階ホールには女子選手以外にもいろんな人が現れます。日本代表コーチのカナダ人・JDリンドは、風体がそこらのあんちゃん。試合が終わったSC軽井沢の選手や4REALの選手もいます。まりりんも登場。テレビ画面よりもキレイな人でした。

そんなで19時50分から試合が始まります。5シートのうち1シートはテレビカメラが入り、その隣のシートがyoutubeで放送されるロコと中部電力の試合です。それ以外の3シートも試合が始まりました。

ボクはけっきょくガラスを隔てたホールから観戦を開始することにしました。ダウンジャケットの用意もないので、リンク内に長くいられないだろうと思ったから。

LS北見、ピンチのあとのビッグエンドで中部電力を下す


LS北見の後攻で始まった第一エンドは、いきなりピンチとなります。最も円の中心に近い石(ナンバーワン)は赤のロコが持っているようですが、そのまわりを黄色の中部電力が取り囲みつつあり、ちょっとマズイ感じ。
誰のときだったか、吉田知那美選手かな、藤澤五月選手と知那美選手が話をしてまとまらず、吉田夕梨花選手と鈴木選手のフロント2人を呼んで合議。そして守備的戦術にいきました。中部電力の石を好きに置かせないようにガードをおいたのです。

結果的にこの判断は正解でした。そしてガードストーンも正確に配置できました。
これによって、中部電力も攻め手が少なくなり、ロコにとっては1点取らさせる形ですが不安定だった1エンドをスチールされることなくしのぐことができました。

ここまでは「最初から緊張するタフな展開になりそう」と思いました。
ところが第2エンドに大きく動きます。
ロコは円の中・ハウス内に石をどんどん放り込みます。中部電力は途中まで自チームの戦略で試合を進めましたが配置が悪くなり、ロコの石を出しにきました。ところがうまく出ない。一方のロコはどんどんおいてくる。結果、ハウス内に赤の石だけ5コという事態。
中部電力の最後のドローショット。置き場所は難しかったが、攻めてナンバーワンを取りにいった松村千秋選手の石はスルー。結果5点のスチールとなりました。

カーリングの恐ろしさをまざまざと見せつけられました。
ちょっとした歯車の違いから、とてつもない危機が訪れ、そのプレッシャーに負けると5点を失う。5点失った段階でゲームオーバーですよね。

ところが、3エンドも2エンドの再現となったのです。ロコの石はたまり、中部電力は石を出すことができない。結果、4点スチール。
3エンドで10-0
試合としてはここで終わりました。


エグい藤沢五月に戻った

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ロコソラーレ北見のメンバーは、なんと表現したらいいのかわかんないけど、"試合に飢えている、カーリングに飢えている"ような感じでした。今季はカーリングが最高に楽しいのではないかな。
そして、しのぎきった1エンド、攻め達磨の2,3エンド、スキップの藤澤選手はエグかったです。アイスの状態がお互い把握できない中で、いやロコは中部電力より2エンドほど早くアイスをつかんだと思いますが、早い段階から攻め続け、3エンドの最後は中部電力が崩壊した感じでした。
これこそ、世界選手権でスコットランドとカナダを連続コンシードに追い込んだロコソラーレ北見の力だと思いました。
ドSな感じの試合展開と明るい笑顔が藤澤ロコソラーレの特徴。


ただし、中部電力は4エンドに何とか立て直しました。折れずにがんばる姿に「さすがだな」と思ったし、そもそも実力差は点数ほど開いているわけではないでしょう。
2月の日本選手権でもよかった中部電力リードの石郷岡選手はこの日もよかったし、4エンド以降はスキップの松村選手もいいショットが出ました。

セカンド鈴木夕湖、サード・バイススキップ吉田知那美の良さ

ラジオ解説が褒めていたのはセカンドの鈴木夕湖選手。投げ手が石を離した次の瞬間にその石がどこに止まるかを判断して(ウエイト判断といいます)スキップ・藤澤選手に伝える。その情報を元にスキップの指示で氷をはく。彼女の正確なウエイトジャッジとスイープで、石が予定通りのところに配置できる。それは日本選手権でセカンドを務めた知那美選手よりかなり優れているように自分にも見えました。

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知那美選手の良さは、奇跡の組み合わせであるスキップ藤澤選手の良さを引き出し試合を安定させること。この日も二人が寄り添って話し、ふざける姿が見られました。20年がかりで最高のパートナーと巡り会ったのだから、これからも、お互いにお互いを大切にしてほしいと思います。
 
ボクはカーリング競技をやったことはありませんが、ロコのみんなは心の内が行動になって現れるので、そのときそのときの気持ちがけっこうわかってしまいます。
典型が、今年2月の日本選手権決勝。難しい場面で当時サード・バイススキップのマリリンと合議し、そのあと藤澤選手はなぜか知那美選手を呼びました。それは、まるで知那美選手に承認を得るかのような行動でした。藤澤選手の横には知那美選手がいる必要があるのだ。そう確信させた場面でした。


吉田夕梨花選手は、昨シーズン序盤の不安定さが全くなく、思うように石を動かし配置していました。ちょっとミスがあっても2回続けない。みんな引きずらずに試合に臨んでいました。

藤澤選手にとってはキツイ場面が少ない試合でした。そのなかでドローはまあまあ決まっていた。スチールされた5エンド最終投の場面でも、石の位置はちょっとの差だったし、何より作戦面はうまくはまっていました。

まりりんは、選手としてこのチームに入るすき間はもうないと思う。あなたが再度リザーブへ下がったことを、4人は強く心に刻んでいるはず。このスゴイチームの創業オーナーで経営者だから、トレーニングを続けながら彼女たちと常呂町の栄冠を目指してマネジメントにほぼ全力を投じてほしいと思います。

栄光を目指し、すべてのチームががんばっています。そのなかで突出するには、チームCONCEPTが重要だと思います。CONCEPTが栄冠に最も近いチームが勝つ。まりりんのチームは最も近いところにいる1つだと思います。


ロコソラーレ北見、優勝の瞬間を現地で! 大会最終日
  

 
8月6日(日)カーリング場へ行ってしまいました。仕事で最初から見ることはできず、2エンド途中から観戦。
相手は、去年のカナダツアー決勝で負けた韓国のジュニアチーム。

どちらのチームもミスがあり、思ったように石を配置できない中、常に先手をとり続けたLS北見。
印象的だったのは、攻めるときに攻め、受けに回ったときにはリスクを早めに処理してダメージを減らす成熟した戦いぶりでした。
アイスが読めないのでミスショットが出る。そのなかで主導権を手放すことなく、寄り切った感じの勝利でした。

決勝シートの両隣はあいており、残り2レーンで3位決定戦と5位決定戦が開かれていましたが、どちらもコンシードで試合が終わったため、終盤はロコの試合だけが行われる状態。
そんななか、7エンド8エンドにヤマ場がきて、ヤングKimチームはロコの寄りとプレッシャーに負けた感じだった。

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この日のMVPは、ボク的には吉田知那美バイススキップ・サードかなと思いました。
受けに回った場面で守備的戦術を進言しているのは、どうやら知那美選手らしい。バランスをとるのが上手なのかな。やはり同学年元ライバルの気安さなのでしょう。遠慮がないのです。
「たられば」はないけれど、もしリスクが生まれた場面でハイリスクなショットを選んでいたら優勝はなかったかもしれない。
また、10エンドだったかタイムアウトを取った場面で(動画の2時間13分53秒あたりから)、チームが選んだダブルテイクアウト(相手の石を2つ出すショット)を決めたショットが、ヤングKimを追い込みました。

この笑顔が、この日の知那美選手の働きぶりを表している。本人も満足だったと思います。
左からスキップ藤澤、吉田知那美、鈴木、吉田夕梨花、本橋麻里の各選手
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藤澤五月選手は、囲み取材で厳しいコメントをしたようです。ミスが多かったことを反省したのですが、この日の試合運びは堂々たるものでした。いい日ばかりではないから、こういう勝ちが大切だと思います。

それにしても今シーズンは無敵かよ。
昨シーズンあれだけ迷走して、ファンをハラハラさせた彼女たちはもういません。

サードの再交代と鈴木夕湖選手のセカンド復帰など、メンバー構成は確かに昨シーズン中盤以降とは異なるけど、去年のどうぎんカーリングクラシックはいまのメンバーで戦い、モヤッとした結果しか出せなかったのです。
やはり全員が、去年と今年では違うのだと思います。
カーリングを本気で楽しむ姿勢が戻ってきました。

試合が終わり、表彰式を見ずに帰ろうと階段に向かうと、目の前に中部電力のメンバーがいました。気の抜けた感じが気になりました。


さあ、日本代表決定戦まで3週間とちょっと。ロコとしては最高のかたちで決定戦を迎えられることでしょう。応援に行くことはできませんので、テレビで応援します。
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副賞のカルビースナックを前におどける同学年の3人。まったく君たちは・・(笑)
左から鈴木、吉田知那美、藤澤の各選手
https://www.facebook.com/LSkitami/
 
荒れた画像はボクのコンパクトデジカメによる撮影。一眼レフ持ち込もうかと思ったけど追っかけに見られたら恥ずかしいので辞めた。

カテゴリ:日記 |

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PROFILE

編集長 白井 康永

家づくりを変えたいという野望を持ち、北海道住宅新聞、札幌良い住宅jp を中心に、少子化の激流のなかでわれわれが日本を導きます.時にひょうひょうと(笑).
北海道・札幌市生まれ54歳。血液型O型.新卒1年、専門学校に通う娘たち、高校を卒業した息子あり. 休日にやってること:のろまジョギングとテレマークスキー.

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