2015年04月18日(09:15)
安藤忠雄の講演会が札幌で開かれた
昨年計画されて流れた建築家・安藤忠雄の講演会が4月17日(金)、札幌市民ホールで1500人満員の聴衆を集めて開かれた。主催は大光電機。
自分も興味があったので聴きに行きました。
「地方都市の生き残りをかけて」
このテーマに興味があったのです。
東京・国立競技場の建て替えが大問題になりましたが、その渦中にいる人。
とうてい省エネ基準を順守しそうにない建築家の筆頭にあげられ、うわさによると「これからは断熱」と語り宗旨替えしたとうわさの人。
とにかく、一挙手一投足が注目です。
自分は、"このおっさんに地方都市の将来に対して何が語れるのか"という興味がありました。
で、話の内容は、思いのほか良かったです。
地方都市の生き残りとは、すなわちそこにいる人がどう生きるかにかかっている。
優秀な人材は皆、地方を捨てて出て行った。今いる人間は、いまできることを全力でやれ。
そういうメッセージかなと思いましたね。
以下、講演の備忘録を兼ねて。---
丹下健三氏が東京オリンピックの施設として設計した東京・代々木体育館は、世界中を驚かせた。これを設計し工事した人は、誰も不安を抱えていた。その中で「責任感ある個人」が仕事を成し遂げた。
バブルの時代になって、「この国にいれば安心だ」という気持ちがまん延してきた。そして勉強しなくなる。
中国の建築会社は、技術力ではまだ日本に劣る。しかし、プロジェクトに参加するひとりひとりには「先は見えないがやってやる」という魂がある。日本からこの気持ちがなくなってきた。
いま、北海道の札幌・真駒内、苫小牧、札幌中心部で仕事をしている。北海道の景色はキレイだ。耕地面積が広大で、冬の寒さは厳しい。
地方都市にガッツのある人はいない。そういう人は皆都会に出て行った。感性から判断力が磨かれる。
生き残ることとは、
自分の仕事を信用にしていなかければならない。
自然環境も人手も総動員すること。すべてを味方につけることだ。
大自然と耕地と雪と寒さ。ここで美意識をつくりあげる。(急げ、美意識が)完成したころには日本は崩壊している。
1903年、神戸の六甲山ははげ山だった。それを植林して緑を回復させた。いま、企業は売上と利益しかなくなった。
偏差値教育で東京の子ほど成績が良い。
自由だけが想像力を生む。それが判断力をはぐくむ。
九州から東北まで、今やほぼ同じ風景だ。ここ(北海道)しかないものを総動員せよ。やろうとしたことをあきらめてはいかん。たとえそのときできなくても、あきらめずにチャンスを待て。それは売上と利益だけ出ない世界だ。
(やろうとしたことを止められても)押し込んでいく気迫が地方都市の生き残りだ。
もう、地方の時代とは言わせない。
地方にも時代があるんだ。
アジアから観光に来る。何を出せるのか。彼らは感動して帰っていく。その感動を与えられるものをつくった人の心を知らねばならない。
(北海道には雪とラベンダーがある!)
スゴいね、このおっさん。
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