2014年08月22日(20:32)

東北の地場工務店の苦労は、○○で解決できるはず

地域のお客さまにいい住宅を提供するには、断熱性能をしっかりする必要がある。そして、この点をしっかりやれば東北では差別化ができるのですが、しかしその一方で、コストダウンのためには多くの工務店さんが「工法を変えて対応」しておられます。
それはどういうことか。

断熱気密工法と使用建材の標準化がまだ完全にできておらず、例えば「A工法は簡単で断熱性能は良いけどB工法より高い」「B工法でも使う建材をグレードを下げれば性能は低下するけどさらに安くなる」という現実があります。

北海道と比べるとわかりやすいので、比較しながら説明してみます。
北海道でも、割高な工法と割安な工法があります。割安な工法とは、繊維系断熱材を使った新在来木造構法とツーバイフォーの充てん断熱工法です。
そして、この割安工法には、下の断熱グレードが存在しません。低密度ポリエチレンフィルム(防湿・気密シート)、不織布フィルム(透湿・防水シート)、プレカットグラスウール、樹脂サッシアルゴンペアは、北海道の標準工法用断熱・気密建材です。このなかに第3種換気と基礎断熱用押出スチレンフォームを含めてもいいかもしれません。
メーカーは、これらより低位のグレードの商品を在庫し、二重の在庫負担をするより、低位の商品の扱いをやめたほうがいいので、結果として標準品の出荷が増え、価格的にもこなれてきます。

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一方、東北はこれらよりも下位の建材がまだ普通に出回っており、標準化が進んでいません。また、断熱はグラスウールがトップシェアでも、グラスウールの充てん断熱・気密工法が標準とは言えない状況に見えます。
下位の製品が一掃されないため、断熱に関心のない会社は最下位の断熱建材を使用します。そのため、依然として工法と建材の標準化が進まないのです。

コストダウンのために工法を変更する必要がある。そうすると、設計も現場も2つのやり方に慣れる必要があります。努力でカバーできる範囲だとは思いますが、しかし、その努力を作業分析などに向けることができたなら、標準工法からさらにコストダウンが可能になるかもしれません。
言いたいことは、慣れることはできるが、その手間や努力をほかに向ければさらに生産性を向上させられる、ということです。

これからは新築着工が激減します。この機会を先取りして、ビルダーと建材メーカーが手を携えて、まずは建材の標準化に乗り出してみてはどうかと思うのです。

それは、いい住宅を建てようとするビルダーさん、そして、地域の皆さんのためになるはずです。

カテゴリ:ie家 |

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PROFILE

編集長 白井 康永

家づくりを変えたいという野望を持ち、北海道住宅新聞、札幌良い住宅jp を中心に、少子化の激流のなかでわれわれが日本を導きます.時にひょうひょうと(笑).
北海道・札幌市生まれ54歳。血液型O型.新卒1年、専門学校に通う娘たち、高校を卒業した息子あり. 休日にやってること:のろまジョギングとテレマークスキー.

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