2014年8月

2014年08月31日(18:03)

在来工法VSツーバイ 工務店団体・アース21の討論会

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アース21という北海道の工務店グループの勉強会が8月27日(水)十勝であり、その討論会の司会を白井が引き受けました。
テーマは、在来軸組工法VSツーバイフォー工法。柱と梁で家の骨組みを作る在来と、壁と床を直方体に組んでハコをつくるツーバイの、どっちがいいかとかいう話になると「あなたは神を信じますか」的な論争みたくなるので、そうならないように慎重なかじ取りが必要でした。

最初は話題を提起する側の人たちも緊張気味で、「あれ、失敗したかな」と内心思ったのですが、結果的にはすごくためになる討論会となったのではないでしょうか。

ボクは、議論を始める呼び水として、ちょっと過激なことをいいました。
「在来もツーバイも、合板の裏側についている木が角材か枠材かの違いしかない」
それ以降、議論が活発化したように思います。会員の皆さんは、自分と違う工法を採用する人に敬意を払いながら、自社が採用する工法の本質的な魅力を語ってくださいました。
発言者だけでなく、会場からもどんどん発言があって、あっという間の2時間半でした。

ボクがこころに残った話はいくつもあります。
在来工法:構造の美しさを生かすことができる。1人の大工がすべての木工事を担当することで付加価値を上げることができる。

ツーバイ:工事の分業や合理化を追求しやすく、構造体と完全に切り離してインテリアをつくることができる。

これって、それぞれの工法の特徴をすごくよく説明していると思いました。北海道の工務店さんは、伝統という意味では本州にかないませんが、在来とツーバイの競争の中でとても合理的な考え方をし、それをデザイン提案、設計、工事に生かしているから、こういう視点をもっておられるのでしょう。
さすがです。

討論会で少しだけですが工法の特徴を整理できたので、今後の方向性を考える際のヒントになると思います。

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2014年08月30日(16:04)

札幌の賃貸住宅空き室率27%!

という数値があるそうです。
札幌は新しい賃貸物件が次から次と建つので、入居者は新しいほうへ引っ越していく。その結果、古い住宅は空き室が増える。古くなると27%、つまり4分の1以上があいていることになります。

どうやって入居してもらうか、オーナーの努力が始まります。
ボクがこの問題を知ってから、数年がたちます。
古いアパートの塗装を変えるだけで入居率が上がる。内装を個性的にすることで部屋が埋まる。個性的なクロスを貼り、さらに個性的な間取り変更を行ってファンをつくる。
そんな取組が増えています。

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住み手は、『たとえ賃貸であっても自分らしい暮らしがしたい』と思っている。このことだけは間違いありません。"新築以外の価値観がある"ということに着目したら、いろいろな可能性が見えてくるのではないでしょうか。

9月6日(土)札幌に輸入壁紙のショップがオープンします。
詳しくはこちらへ。
https://www.facebook.com/walldecokabeya

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2014年08月25日(18:05)

断熱リフォーム.netというホームページ

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ヤフーやグーグルで「断熱リフォーム」で検索をかけてみると、かなりの数のホームページが出てきます。
白井のパソコンで検索をかけると、
日本建材・住宅設備産業協会、リクシル(LIXIL)、All About、住まいの水先案内人、Panasonic、新住協と出てきます。
設備メーカーや設計事務所、断熱住宅推進団体などのサイトですから、それぞれ素晴らしいことが書かれていると思います。
 
一方、ボクたち消費者は「寒い家を何とかしたい」と考えたときにまずどうしたらいいのでしょうか。
断熱リフォームってわが家でもできるのか?
『暖かくなります』と誘われて断熱サイディングに張り替えたけれど、変わらないという話も聞く(不安)..
予算はどうなんだろう。
あるいは、中古住宅を買ってリフォームするときに、ちょっと断熱したらちょっとあったかくなるのか??
 
こういったことが知りたいと思います。でもリフォームは新築と違って家の状況が千差万別なので、ひと言で答えられない面もあります。
 
なので、断熱リフォームのホームページは、いろいろなケースが載っていること、いろいろなリフォーム体験をした人の話が載っていると役に立ちますね。
 
『断熱リフォーム.net』は、断熱リフォームのメリットや工事内容・価格から、補助金・減税措置などおトクな情報まで、総合的な情報が集まっています。
 
なかでも、
●断熱リフォームを行ったエンドユーザーの生の声がわかります(今後事例を順次追加予定)

●断熱先進地・北海道で断熱工事の豊富なノウハウを持つ企業(ダンネツ)が、断熱リフォームに対する質問・相談に答えてくれます。またホームページ制作は当社も協力させていただきました。
 
いちどご覧くださいませ。

【断熱リフォーム.net】http://断熱リフォーム.net

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2014年08月22日(20:32)

東北の地場工務店の苦労は、○○で解決できるはず

地域のお客さまにいい住宅を提供するには、断熱性能をしっかりする必要がある。そして、この点をしっかりやれば東北では差別化ができるのですが、しかしその一方で、コストダウンのためには多くの工務店さんが「工法を変えて対応」しておられます。
それはどういうことか。

断熱気密工法と使用建材の標準化がまだ完全にできておらず、例えば「A工法は簡単で断熱性能は良いけどB工法より高い」「B工法でも使う建材をグレードを下げれば性能は低下するけどさらに安くなる」という現実があります。

北海道と比べるとわかりやすいので、比較しながら説明してみます。
北海道でも、割高な工法と割安な工法があります。割安な工法とは、繊維系断熱材を使った新在来木造構法とツーバイフォーの充てん断熱工法です。
そして、この割安工法には、下の断熱グレードが存在しません。低密度ポリエチレンフィルム(防湿・気密シート)、不織布フィルム(透湿・防水シート)、プレカットグラスウール、樹脂サッシアルゴンペアは、北海道の標準工法用断熱・気密建材です。このなかに第3種換気と基礎断熱用押出スチレンフォームを含めてもいいかもしれません。
メーカーは、これらより低位のグレードの商品を在庫し、二重の在庫負担をするより、低位の商品の扱いをやめたほうがいいので、結果として標準品の出荷が増え、価格的にもこなれてきます。

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一方、東北はこれらよりも下位の建材がまだ普通に出回っており、標準化が進んでいません。また、断熱はグラスウールがトップシェアでも、グラスウールの充てん断熱・気密工法が標準とは言えない状況に見えます。
下位の製品が一掃されないため、断熱に関心のない会社は最下位の断熱建材を使用します。そのため、依然として工法と建材の標準化が進まないのです。

コストダウンのために工法を変更する必要がある。そうすると、設計も現場も2つのやり方に慣れる必要があります。努力でカバーできる範囲だとは思いますが、しかし、その努力を作業分析などに向けることができたなら、標準工法からさらにコストダウンが可能になるかもしれません。
言いたいことは、慣れることはできるが、その手間や努力をほかに向ければさらに生産性を向上させられる、ということです。

これからは新築着工が激減します。この機会を先取りして、ビルダーと建材メーカーが手を携えて、まずは建材の標準化に乗り出してみてはどうかと思うのです。

それは、いい住宅を建てようとするビルダーさん、そして、地域の皆さんのためになるはずです。

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2014年08月20日(09:42)

何を熱源に暖房すべきか

seminar_omote_ol.jpg北海道の戸建住宅の熱源は、石炭から石油に変わり、10年ほど前から電気に変わりました。
最近は電気料金の値上げを契機にガスに移行しつつあります。
背景にあるのはエネルギー価格の高騰。そのときそのときの割安なエネルギーを選ぶのは当然のことですが、一歩引いて考えると、

1.いま選んでいるエネルギーも、将来的に最安値を維持できる保証はない.
2.安いエネルギーを選んでも、エネルギー使用量が多ければ光熱費負担は増える一方.

という2つの問題があります。

住宅の専門家として、「熱源」を消費者にどのように提案をすべきでしょうか。

この問いについて、とてもシンプルなかたちで答えてくださるのが、建築家・山本亜耕さんです。
9月2日(火)札幌、9月4日(木)帯広で山本亜耕さんの講演会を企画しました。当日はご自身の設計例を紹介いただきながら、「熱源選択と省エネルギー」について会場の皆さんと考えたいと思います。

講演会ではもうひとつ、大きなニュースがあります。高効率・潜熱回収型の灯油ボイラー、いわゆる暖房エコフィールの13-14年冬シーズンの成績がまとまり、当日発表いたします。
石油の配送インフラがしっかりしている北海道では、灯油熱源はとても安定しています。暖房エコフィールの登場で、熱源として見直す機会にもなると思います。

申込書はこちらからダウンロードしてください
0902-04seminar.pdf
 

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2014年08月18日(18:23)

北海道住宅新聞の役目は何か

2014_0818vis.jpg当社のお客さまの期待する役割と、自分が考える役割がちょっと違うかもしれません。また、ボクみたいな表裏のない人間でも多少はホンネと建て前があります。この問題は建前がちょっと前に出る話題ですが、思いを少しつづってみたいと思います。

多くの人たちにいい家に住んでもらいたい。そのために特に大切なのは、住宅性能と機能の長期安定、30年後もいいねといわれるデザイン、これらが実現可能な価格で手に入ること-。
これら3つのいい家の条件をいつも追っています。技術的内容、オーソドックスなデザイン、コストダウン手法が新聞のメインコンテンツになります。

そして、これらの担い手である建築会社が存続していくことが、もうひとつの大きなテーマでもあります。
いい家をつくる会社が生き残るとは限りません。品質の低い住宅を提供する会社が淘汰されるとも限りません。ボクたちを取り巻く資本主義とは、理想だけでは生き残ってはいけないのです。
どうやっていい家を知ってもらい受注につなげるか、という話題はとても大きなテーマです。

最後に業界を取り巻く課題があります。技能者の不足であったり、着工時期の偏りであったり、会社の後継者問題であったり。補助金もここに入るかもしれません。そういった課題に正面から挑む新聞でありたいと思います。

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2014年08月12日(19:28)

「集団的自衛権」について整理してみた

2014_0812heli.jpg当社は明日からお盆休みに入ります。親の世代が高齢になり、今年は新盆の伯母もおります。
休み前ですので、少しだけお盆と最近の政治の話題に関係することを書いてみました。

政府が集団的自衛権の解釈変更を行ってから初めての原爆記念日を迎え、そしてまもなく69回目の終戦記念日がやってきます。

このところ安倍政権に「へいこら」ばかりしていたマスコミが、「集団的自衛権」の行使容認について、一部を残して「暴挙だ」と批判に回りました。対応に迫られた安倍首相は、説明の過程で「戦争をするためではない」などと言質を取られ、それでも批判がやまず、きっと悔しい気持ちでしょう。
しかしその安倍首相も大いに問題があるとボクは思います。そもそも「積極的平和主義」という造語に近い言葉を、国防というきわめて重要な政策を説明するために使うべきではありません。言葉とは相互理解のためのツールであり、例えば、発言者のAさんは「真っ赤」の意味で言っているのに、これを聞いたBさんは「あ、オレンジ色なんだ」と思い、いっしょに聞いていたCさんは「ムラサキ色かしら」と思うような意味がハッキリしない言葉が「積極的平和主義」です。

日本のマスコミの多数と、声を上げない多くの国民がなぜこれほどまでに憲法9条・戦争放棄に固執するのか。もちろん、二度と悲惨な戦争を起こしてはならない、という気持ちが強くきざまれているからだと思いますが、ボクは、第二次世界大戦時の「軍部の暴走」が、今度戦争をするとまた起きるのではないかと心配で不安でならないのではないかと思います。(少なくてもボクはその一人です)
日本はもともと公権力の強い国です。日本のトップである総理大臣と閣僚は国民から選ばれてはいますが、「飾り」に近いことを国民は知っています。もし「公権力」が戦争を起こそうとすれば、国民を欺き、「飾り」をうまくコントロールしながら、国を戦争に導くのではないかと想像してしまう。

ボクは、安倍首相がやろうとしていることは日本の国際貢献の中でも最低限の責任分担であろうと思いますが、国民の不安を取り去るためには、公権力を国民がコントロールできるかたちで行う仕組みを作るのが先だと思います。その流れの中でみると、今回、安倍政権が窮地に陥った原因をつくったのは、政府が国民に知らせたくない情報は事実上未来永劫公開しないことを法律にした「特定秘密保護法」だったと思います。
この法律ができたことで、「ああ、安倍さんはわたしたちに真実を伝えずに戦争に導こうとしているんだな」と多くの国民が思ったのではないでしょうか。

追い打ちをかけるように、広島、長崎平和祈念式でのコピペ朗読。民間人の戦没者慰霊に関心がない首相なんだと、国民には映っていますよ。

ボクの考えでは、安倍首相がやるべきことはハッキリしています。軍隊派遣の決定などきわめて重要な政策決定の情報を30年後にすべて公開する法律を作ること。すなわち、政治家の仕事を歴史研究家に評価してもらう仕組みを作ること。その上で、解釈変更ではなく、憲法改正ですね。

憲法にはこう書かれています。

第九条  日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
○2  前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。


憲法制定当時といまでは、国際情勢がずいぶん変わったことは間違いないのですから、この条文を改正すべきなのです。

それにしても、自衛権とか交戦権とか、難しいです。ちなみに、いつの世も、戦争は「自衛のため」に火ぶたを切るのです。
集団的自衛権は難しい問題ですが、シンプルに考えて、紛争をなくすための派兵(例えば国連平和維持軍)と、紛争解決のための出兵は違う、と整理してみてはどうでしょう。われわれはどっちの派兵・出兵を恐れているのか、終戦の日を前に考えてみてください。

最後までお読みくださり、ありがとうございます。

カテゴリ:辛口 |

2014年08月11日(18:34)

ロフトの壁を一部ぶち抜きました

2014_0811loft01.jpgさあ、暑さが来るゾ、と思っていたら、涼しくなってしまいました。その代わりに大雨。皆さんの地域は大丈夫だったでしょうか? うちのまわりは道路が冠水し消防車が出動した地域もありました。

2014_0811loft02.jpgさて、本格的な暑さが来る前に、ロフトの壁を一部、ぶち抜きました。カッターで切り目を入れ、のこぎりで石こうボードを切断。ちょっとたたいてペリッとはがします。
この部屋は入口ドアの上に欄間があるのですが、ロフトの空気を抜く仕掛けがありません。ロフトの一番高いところを抜くと、窓からの風が通り抜けるようになるのです。
じっさい、穴を開けた瞬間から風を感じるようになりました。

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部屋のなるべく高い場所に通気用の穴を開けると、部屋にたまりがちな熱気を排出することができます。
 
1時間半の仕事でした。
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壁の向こうが見える!

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2014年08月04日(11:42)

夏の暑さ対策 いよいよ最終段階へ キッチン対策

今年の夏はわりと暑いですがここ数年と比べ湿度が低く、昔の北海道に戻ったような爽やかな暑さになっています。
ただ、今日の夕方から雨の予報ですから、明日以降は湿度が高くなるかもしれません。

夏の暑さ対策をはじめたころは、まず業界で言われている方法を試してみて、少々絶望し、一時迷い子状態になっていましたが、いまは60点もらえるくらいまで成果を挙げることができました。
ただ、まだ家人には不満が残っています。
問題1:キッチンが暑い
問題2:通気がとれないロフトが寝苦しい

ロフトは天井下の壁をぶち抜けば通気がとれるので、それで十分かと思いますが、遮音をどうするかという課題があります。
開閉式の欄間(らんま)にするか??

キッチンの暑さについては、今まであまり真剣に対策を考えなかったのですが、今年は考えてみます。
キッチンは、コンロ、冷蔵庫、炊飯器、電子レンジと熱源だらけ。暑いのが当たり前ですが、それを何とかしてこそ、家人から感謝の言葉が出てくるというものでしょう。
方法としては通気確保かなと思います。調理時に風がながれるようにする。一番簡単な方法は扇風機設置ですかねえ...

いま気がついたけど、防火のために天井から垂れ壁があることも通気を阻害しているか..

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〈長野県駒ヶ根市の民家。なかなかにキレイなまとまりだと思いませんか。2階の窓が小さいのは、敷地まわりの建物との関係かと推測されます〉

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2014年08月02日(14:57)

北海道のトドマツでつくるコンクリート

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先進国が東南アジアの森を破壊している、といわれ始めてから、ずいぶん年月がたっています。
合板(ベニア)の原料に使われるラワン材、洗剤の原料になるヤシの木の植林で伐採される天然林、木炭やエビ養殖に伐採されるマングローブなどなど、白井が知っているだけでも深刻な状況です。

ラワン合板が問題になって、徐々に針葉樹合板が増え、最近では北海道産の針葉樹が使われるようになってきました。
しかし、土木用、コンクリート打設用の合板は、いまだにラワン合板が多いのです。それを北海道産の針葉樹に切り替えることができないか、という研究が行われています。
使われる木は、「天まで届け」のトドマツ、枝が天を向いているほうです。

各種試験の結果、製品に必要な強度は十分にあることがわかり、試験施工でも問題がなさそう。
今後は、家に使う木だけでなく、基礎を打つ型枠材も北海道産の木が使われるようになってくるかもしれません。

今月・8月の林産試だよりが伝えています。

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PROFILE

編集長 白井 康永

家づくりを変えたいという野望を持ち、北海道住宅新聞、札幌良い住宅jp を中心に、少子化の激流のなかでわれわれが日本を導きます.時にひょうひょうと(笑).
北海道・札幌市生まれ54歳。血液型O型.新卒1年、専門学校に通う娘たち、高校を卒業した息子あり. 休日にやってること:のろまジョギングとテレマークスキー.

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