2013年08月14日(12:50)
ホテルローヤル
今年の直木賞受賞作、桜木紫乃さんの「ホテルローヤル」をお盆休みに読み終えました。
北海道・釧路出身、札幌のとなりまち江別市在住ということもありますが、興味を引いたのは、釧路湿原に建つラブホという設定でした。
はじめて釧路湿原を見たのがいまからおよそ25年前だと思います。蛇行する川を中心とした葦原が注目を集め始めた時期でした。
生態系とか、貴重な湿地とか科学的視点では見るべきところが多いのでしょうが、高台がなければ見えるのは葦原だけ。ただの谷地です。
その釧路湿原に、なぜかラブホがいくつもあるのです。
『なぜだろう?』
ずっと疑問でした。
札幌の書店をいくつか回ったときは売り切れでした。タイミングが悪かったようです。残念ですがアマゾンで購入しました。
湿原に建つ「ホテルローヤル」を舞台とした人間模様は、生きると言うことの現実を描き出すと同時に、温かみもさりげなく描かれています。その手法が、今はなき藤沢周平氏の市井(しせい)もの時代小説に似て、ボク的にはしっくりきました。
読書量がちょっと物足りないのですが、読後の満足感は十分です。
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