2009年04月23日(20:45)

高断熱化の提案に慎重になりすぎているのかもしれません。

◆住宅の新しい省エネルギー基準をどう思うかのアンケートを北海道住宅新聞の読者様を対象に実施しています。その回答が200通近く返ってまいりました。集計内容に、率直に言ってボクは驚いています。


◆改正された省エネ基準値は、10年前の旧基準と同じ。気密性能基準を廃止するなど、省エネ強化には向かっていません。こんなことで全国的に省エネ化が進むはずはない。しかし一方で、この基準さえクリアできない住宅がたくさんあるのだから、底上げは必要、という考えもあります。


◆昭和年代にスタートした高断熱・高気密化は、コストアップほとんどなし・断熱材の性能を引き出すことで省エネ・快適・高耐久の家をつくるというものでした。
ここでは断熱と、断熱性能を引き出すための気密は切っても切れない関係でした。
大きなコストアップなし、技術だけで実現できるのが良さでした。


いま、住宅会社は現状の断熱水準でさほどの不満がないと感じていますし、現状を超える高断熱化はお金がかかるため、簡単には薦められないのです。


しかし、理解あるお客さまが見つかれば、高断熱化を提案したい。意外と多くの住宅会社はそう思っているのではないかと、アンケート結果から想像しています。回答してくださったすべての方が省エネというテーマに関心を持ち、ほとんどの方が気密性能基準の廃止によって悪影響が出ることを心配している。そして過半数の方がより高い断熱基準を設定すべきだと考えています。


◆住宅会社側が高断熱化の提案に慎重になりすぎているのかもしれません。わかりやすい言葉で伝えれば、関心のある消費者は想像以上に多いのではないでしょうか。

カテゴリ:エコ化 |

コメント

>現状を超える高断熱化はお金がかかるため、簡単には薦められない
確かにそうなんです。ですが、太陽光なんかの機器は案外薦めやすいと言うか検討しやすい。それは何かと言えば、費用対効果が数字で見れるからだと思うんです。だから検討する側も、やる・やらない、を判断できる。
しかし、断熱は、費用対効果が良く分からない。なので、判断材料が少なく、判断が出来ない。なので、単純に「コスト増」と捉えられてしまいやすい。
なんとか数値で表現したいですね。

それと、国の目標値ですが、そこに文句だけ言ってても始まらない。
例えば、北海道や北海道の住宅業界独自の統一省エネ基準なんかを設けて、単純に言えば国の目標値は無視する形で進めるって手は無いんですかね。国の目標値以上の基準なら、国も文句は無いでしょう。
カルフォルニア州の排ガス規制みたいな感じで。

なべやん(2009-04-23T22:02)

なべやんさん
>北海道や北海道の住宅業界独自の統一省エネ基準なんかを設けて、単純に言えば国の目標値は無視する形で進めるって手は無いんですかね。
この手はあります。20年前にそういう独自基準を北海道が作って(北方型住宅)という名前でPRをはじめたんです。その3年くらい後になって国が北方型基準を追認しました。それが業界で言われる新省エネ基準です。
この件には悲しいこぼれ話があって、1つは、「北方型住宅」は断熱基準として独り立ちしましたが、北海道の認定制度としては普及しませんでした。もう1つは国から『今度こんなマネしたら許さんゾ』と言われたとか。地方自治なんてないんですよ。
もっとも、一番の問題はいまそういう気概が業界にも道にもないことかもしれません。
住み手からそういう声を上げていくことができれば、そしてその動きを建築家や町の工務店が支えるような活動ができれば、変わるかもしれません。

まるへん(2009-04-24T07:48)

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PROFILE

編集長 白井 康永

家づくりを変えたいという野望を持ち、北海道住宅新聞、札幌良い住宅jp を中心に、少子化の激流のなかでわれわれが日本を導きます.時にひょうひょうと(笑).
北海道・札幌市生まれ54歳。血液型O型.新卒1年、専門学校に通う娘たち、高校を卒業した息子あり. 休日にやってること:のろまジョギングとテレマークスキー.

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