新聞記事

2014年09月05日号から

旭川・シンハマホーム 全熱交換ユニットを自社製作 マイナス20℃でも高い熱交換率

20140905_2_1.jpg 道北・旭川のシンハマホーム((有)新濱建設、新濱壽男社長)では、給排気の熱交換接触面積が大きい熱交換素子2台を直列で組み合わせることで、熱交換素子の霜付きを防止し、外気温がマイナス20℃でも約90%の熱交換効率を達成する全熱交換ユニットを自社製作。断熱性能や省エネ性に対する意識が高いユーザーに提案している。
 同社は冬期の気象条件が日本で一番厳しい旭川で、断熱性能にこだわった家づくりを進めているが、躯体の断熱性能を高めるほど換気による熱損失の割合が大きくなることや、換気回数0.5回/時の室内の過乾燥対策を考えて、8年ほど前から一部の物件で自社製作の全熱交換ユニットを使った第1種熱交換換気システムの採用を開始。全熱交換ユニットを自社製作したのは、外気温が低い時に起こる熱交換素子内部の霜付きと、それによる熱交換効率の低下を解消するためだ。
 熱交換換気は、外気が氷点下数℃になると、熱交換素子内部で湿気を含んだ排気が冷やされて霜が付くため、ヒーターを作動させたり、内気循環を行ったりして霜付きを予防するが、その間は熱交換が行われず、ヒーターの作動は消費電力の増加につながるなど、熱交換換気のメリットが薄れてくる。
 そこで同社では、外気温がマイナス25℃の時に熱交換素子の霜付きを防ぐには、どのくらいの熱交換接触面積が必要かを試算した換気メーカー研究者のシミュレーション結果をもとに、全熱交換ユニットを設計。断熱・気密化したシナランバーの造作ボックスの中に、業務用換気システムの大型熱交換素子2台を直列につないで設置し、熱交換を広い面積で長い距離をかけて行うことにより、湿気を含んだ排気が、給気する外気で急激に冷やされないようにしている。
 全熱交換ユニットのサイズは高さ50cm×幅45cm×奥行35cmで、通常はクローゼットなどの中に設置。ファンは給気・排気ともに、低消費電力で圧損抵抗の影響が少ない日本住環境㈱の製品を組み合わせており、これまで7棟の住宅で採用している。このうち最初に設置した住宅で冬期に行った給排気温度・湿度の実測結果によると、熱交換効率が88%で、給気の湿度は35%前後を保っていることが確認されており、熱交換素子部分の霜は、外気温がマイナス25℃まで下がっても発生していないという。
 設置コストは、ユーザーへの見積り価格で約50万円。現在は外壁200mm断熱以上・トリプルガラスサッシ仕様の住宅を建てるユーザーなど、断熱や省エネに関心が高いユーザーを中心に採用を勧めており、同社の新濱社長は「エネルギー価格が上昇して家計を圧迫する中、この換気システムを採用することで暖房費を削減することができる」と話している。


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