新聞記事

2014年03月05日号から

熱気あふれる会場 地中熱HPセミナーに120人

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 北海道電力㈱札幌支店とNPO法人地中熱利用促進協会が共催した「一般住宅向け地中熱利用ヒートポンプセミナー」が2月19日、札幌市内で開かれ、120名が参加して会場は満席となった。

 セミナーはまず、地中熱ヒートポンプ研究の第一人者である北海道大学大学院の長野克則教授が「地中熱利用ヒートポンプの現状と可能性について」講演した。

 長野教授によると、経済性、安全性、信頼性などを考えると、年間平均COPが高い地中熱ヒートポンプは有利な選択だ。
 北海道は地中熱ヒートポンプの先進地であり、サンポット㈱の資料によると、同社地中熱ヒーポンの累計出荷台数は1000台を超えているが、そのうち約400台が北海道に出荷され、さらに約6割が札幌市内に出荷されている。
 普及には、イニシャルコストの削減はもちろんだが、使い方・設計の課題もある。地中熱ヒーポンは、平均的な性能の住宅で温水を60℃にしてパネル暖房に使うやり方はCOPが上がらず向いていない。まずは建物性能を上げること。その上でCOPを最大限確保するには、35℃以下の温水で暖房する必要がある。最適なのが放熱面積を大きくとれる床暖房だ。ちなみに、地中熱ヒーポンの温水45℃時のCOPは最大3.2程度なのに対し、30℃時は最大5.2と大きく跳ね上がる。
 CO2削減や節電に目に見えて貢献するには、年間数百件の導入にとどまっている現状を打破し、数万件レベルにする必要がある。そのためには、「設計・施工のレベルアップのほかに、年間消費電力やランニングコストの実測値を100件単位で公表することが必要だ。そうすれば、地中熱ヒーポンの良さを広く知ってもらうことができ、金融機関もランニングコストの低減分を住宅ローンの支払い増額に回すことを認めやすくなり、普及に向けた環境作りができる」と訴えた。

 次に、ボーリング会社の㈱日伸テクノの広松淳課長が「ボーリング技術の現状について」と題してボーリング方法やコストの低減について説明した。同社では十数年前から本格的に地中熱ヒーポンのボーリングを始めた。当初と比べると、現在は掘削機械の高性能化が進んで掘削スピードが速くなり、掘削コストも約3分の1になった。
 さらに同社では新しい形状の地中熱交換器を研究中で、現在実証実験の段階まで進んでいる。実用化すれば、掘削コストはさらに4割安くなるという。

 この後、休憩を挟んでサンポット本社開発課の佐藤隆次課長が補助金制度について説明し、次にサンポット、コロナ、ディンプレックスジャパン、北海道ちくだんシステムの各社が商品と導入事例について説明した。


【写真】
長野教授
  


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