新聞記事

2013年07月25日号から

国土交通省 仕様規定を新設-改正省エネ基準

 国土交通省では改正省エネ基準(H25年基準)の仕様規定として、断熱性能の指標となる外皮平均熱貫流率(UA値)の簡易計算法と、UA値・一次エネルギー消費量基準をクリアする仕様例を定めた「設計、施工及び維持保全の指針」を、基準施行となる今年10月1日に告示・即日施行する予定だ。

10月告示、即日施行

 改正省エネ基準は、性能規定に相当する「建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準」(建築主の判断基準)のみ今年1月末に告示。仕様規定に相当する「設計、施工及び維持保全の指針」は設けられていなかったが、「自社の標準仕様で簡単にUA値の計算を行ったり、基準適合を判断したい」という業界の声に対応することとなった。
 UA値の簡易計算法は、外壁・天井・床・窓などの各部位ごとに、断熱材や構造用合板、石こうボードなどの組み合わせパターンとその熱貫流率を一覧表にした部位別仕様表を用意。各部位ごと選択した自社仕様パターンの熱貫流率に面積・温度差係数を掛けて熱損失量を算出し、その合計値を外皮面積で割ればUA値がわかる。北海道・東北など1?4地域には基準値がない平均日射熱取得率(ηA値)も、窓の組み合わせパターンごとに日射熱取得率が示されており、UA値同様に計算可能だ。

熱貫流率・熱抵抗値は次世代基準と同じ

 UA値をクリアする仕様例は、各部位ごとに熱貫流率または断熱材の熱抵抗の基準値を設定し、すべての部位が基準値を満たせば適合と見なす。
 会議資料によると、1?2地域の木造住宅であれば、熱貫流率は屋根・天井0.17W、外壁0.35W、床(その他の部分)0.34Wなど、断熱材の熱抵抗(充てん断熱)は、天井5.7、外壁5.2、床(その他の部分)3.3と、次世代省エネ基準と同じだ。熱貫流率については、各部位ごとに基準値をクリアする仕様も例示される。
 ただ、窓については外皮面積に占める割合(開口部比率)と戸建て・共同別によって基準値が変わる。例えば北海道・北東北の1?3地域で戸建住宅の場合は、開口部比率7%未満が緩和仕様、同7?9%未満が現行仕様、同9?11%未満が強化仕様となり、熱貫流率は緩和仕様が2.91W、現行仕様が2.33W、強化仕様が1.90W。開口部が大きい場合は断熱性能を強化することが求められる。
 一方、一次エネルギー消費量は、UA値の基準値をクリアしていることを前提に、暖冷房・給湯・換気・照明で基準に適合すると見なす、一定以上の省エネ性能の機器を示す。
 例えば暖房であれば、電気はヒートポンプまたはエコジョーズによる温水パネルセントラルや、エネルギー効率86%以上の灯油温水パネル式セントラルなどが想定されている。
 断熱厚や窓・設備の仕様をチェックしていくだけで基準をクリアしているかどうかを判断できる、仕様適合チェックシートも用意される予定だ(上の表)。
 低炭素建築物の認定基準でも、UA値の簡易計算法は適用されるが、UA値・一次エネルギー消費量基準の仕様例は適用されない。

住宅性能表示基準も見直し

 このほか、改正省エネ基準の施行にともなう住宅性能表示基準の見直しで、温熱環境の省エネルギー対策等級を①断熱等性能等級と②一次エネルギー消費量等級の2つにする方向で検討していることも明らかになった。見直し案によると、断熱等性能等級は最高ランクの等級4を改正省エネ基準相当、等級3を新省エネ基準(H4年基準)相当、等級2を旧省エネ基準(S55年基準)相当、等級1をその他とし、一次エネルギー消費量等級は最高ランクの等級5を低炭素建築物認定基準相当、等級4を改正省エネ基準相当、等級3および2はなく、等級1をその他としている。

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