新聞記事

2013年05月15日号から

これから要注意シーズン 気密良くてもアリ侵入 青山氏が調査・解明

20130515_2_01.jpg 新築引き渡し後、間もない時期に「家の中にアリが出た」と苦情の電話が入るケースが増えている。アリが不快だということのほか、「気密性がいい建物のどこから侵入したのか」「どこかジメッとした部分があるのではないか」、すなわち気密性や腐れといった不具合があるのではないか、という不安が背景にあるはずだ。
 防腐処理や害虫駆除で有名な㈱青山プリザーブは10年以上前からアリ問題に取り組み、このほど同社課長の青山達哉氏が日本ペストロジー学会に論文を提出した。
 同社ではこれまで、新築住宅に侵入するアリは主にトビイロケアリと呼ばれる小さな黒いアリで、シロアリとは無関係であること、トビイロケアリによる人間への実害はなく、不快感を与えるだけ。また室内にエサを求めているわけでも木材の食害もないこと、基礎や外壁断熱材として使われるポリスチレンを好んで、巣を作る例もあることなどを調査し、報告している。
 今回の青山氏の研究は、アリが侵入した住宅と気密性能の相関関係を明らかにするもの。札幌とその近郊で調査した446棟を精査したところ、アリが侵入した住宅の気密性能が悪いという傾向は統計分析上もまったく認められなかった。侵入家屋の平均C値は0.48、侵入していない家屋の平均C値は0.44となっている。
20130515_2_02.jpg 青山氏によると「アリの侵入は築後6ヵ月以内が多く、1年以内の侵入報告がほとんどだ。これは想像だが、まれに冬場の屋外から侵入するアリは、工事中に捨てコンのすき間などに閉じ込められて、そこから出てくるのではないか。季節的には、6~8月の侵入例が多い」という。
 アリの防除は、殺虫剤でじゅうぶん駆除可能であり、壁・床を剥がす必要は無い。また断熱材の継ぎ手をテーピングするだけでかなりの侵入を防げるという。
 詳しくは同社へ(☎011-882-1722)。

[写真上]コーラ飲料に集まるトビイロケアリ

[写真下]土間コン部に閉じ込められたアリが春と勘違いして冬季に出てきた例。築1年以内。写真正面は内側の基礎断熱材
 
 
「クロアリ」関連記事
住宅内にクロアリが侵入する事例を最初に報告した記事
寄稿・前編 トビイロケアリ(黒アリ)が 新築住宅に侵入する事例について (株)青山プリザーブ 青山 修三
(2008年・平成20年7月15号 北海道住宅新聞)


前年記事の続報(2009年07月15日号)
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「アリの侵入は築後6ヵ月以内が多く、1年以内の侵入報告がほとんど..」(この記事)


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