新聞記事

2012年08月25日号から

ショールームぞくぞく出店!

創成川EASTの暑い夏

住設建材メーカーが、札幌を南北に流れる創成川東側エリア「創成川EAST」にショールームを相次いで出店している。集客力のある大型ショッピングセンターがあり、札幌駅から車で数分の至近距離で駐車場を確保しやすいからだ。このエリアが賑わう理由を分析してみた。

創成川EASTが賑わう理由

20120825_01_01.jpg 創成川EASTでは2009年9月、北1条東7丁目にTOTO(株)と大建工業(株)がコラボショールームをオープン。昨年4月にはLIXIL(株)が大型ショッピングセンター・アリオ札幌の向かい、北8条東10丁目に統合ショールームをオープンした。さらに6月、一度道内から撤退したヤマハリビングテック(株)がショールームを大型ショッピングセンター・サッポロファクトリー内に新規オープン。今年8月8日には、YKKAP(株)が同じくサッポロファクトリーにショールームを新規オープンした。わずか3年で4つのショールームがこのエリアにオープンしたことになる。
 サッポロファクトリーには、開店当初から北電、北ガスのショールームがあり、また人気家具メーカー「カリモク」のショールームもある。家づくりを真剣に検討している消費者にとっては、短い移動距離で複数のショールームを1度に回れる。
 住設建材メーカーにとって、このエリアにショールームを出店する理由は3つある。第1は集客力だ。「アリオ」や「サッポロファクトリー」は、多くの買い物客が集まる大型ショッピングセンター。商圏は市外にまで広がっている。サッポロファクトリーは1万2000坪の敷地内に160の店舗が入っており、年間来客数は620万人。アリオ札幌も同様の規模だ。第2は駐車場が確保されていること。車での来場を意識して、両方とも数千台規模の駐車場がある。第3は、不動産相場が札幌駅周辺よりも安いこと。出店コストを抑えたいメーカーにとっては好都合だ。

「窓とドア」に特化したYKKAP

 8日にオープンしたYKKAPのショールーム「P-Stage札幌」は、展示面積が約220坪。窓とドアに特化したショールームとして専門性をアピールしている。同社サッシの道内シェアは、LIXILに次いで第2位。ショールームオープンをきっかけに、LIXIL追撃のペースを早めたい考えだ。年間の来場者数は約2万人を見込んでいる。
 YKKAPは、水まわりに特化したTOTO、建材に特化した大建工業と3社で「TDYアライアンス」という業務提携をしており、新規ショールームも2社以上が共同出店することが多い。TOTOと大建工業は、既に北1東7にコラボショールームを出店しているが、YKKAP製品を新たに展示するには手狭なため、コラボショールームから徒歩圏内のサッポロファクトリーに出店を決めた。
 ショールームには4名の女性アドバイザーが在籍。事前予約することで商品選びについてアドバイザーが消費者に時間をかけて説明する。ショールームを入った右手には、最大の特徴である玄関ドアのひな壇展示があり、主力製品の「ヴェナート」が34デザイン、「デュガードMD」が5デザインの合計39デザインを取り揃えた。展示スペースには商談スペースもあり、その場でドアの仕様決めもできる。
 またサッシについては、枠やガラスの種類による結露のしやすさを実物比較で確かめたり、パネル説明などで窓の役割と性能を専門用語を使わずに説明する。
 需要の多いリフォームについては、ドア、サッシともビフォーアフター形式の展示を行い、取り替えのメリットをアピールする。
 同社では、このショールームを「まずは販売店が住宅会社・工務店を招待して商談の場にしてほしい」としている。さらに、住宅会社・工務店やリフォーム店がイベント開催の会場として消費者を呼び寄せるために利用したり、消費者が窓とドアについて単独で来店することも想定している。

ショールームで販促のお膳立て

20120825_01_02.jpg 創成川EASTの集中出店に、危機感を募らせる住設メーカーもある。
 「消費者は複数のショールームを見て回ると言うが、真剣に検討する人ならば1日に回れる数はせいぜい3社で、ショールームが増えれば消費者は回るショールームを絞り込む必要が出てくる。創成川EASTのショールームが増えれば増えるほど当社にとっては厳しいと感じる」という。
 一方、別のメーカーは「ショッピングセンターというわかりやすい目印があると消費者は単独で来店しやすい。今後もこのエリアで出店を考えるメーカーがあるのでは」という。
 ショールームの出店が過熱する背景には、「販売店、住宅会社を支援して売上げやシェアを伸ばしたい」という事情がある。住宅会社向けの商談会、消費者向けのイベントなど、販売促進のお膳立てをメーカーが積極的に行うことで販売店や住宅会社の営業力強化=売上げアップにつなげたいのだ。
 住宅会社・工務店にとってもメーカーショールームの出店は、顧客サービスの強化につなげられる。"創成川EASTに一見の価値あり"ではないだろうか。


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