新聞記事

2012年07月25日号から

青森型省エネ住宅 ガイドラインを策定

雪・寒さに強く県産材も活用

 青森県では、一般家庭の低炭素化や県の地域特性に適応した良質な木造住宅ストックの形成、工務店の技術力向上などを目的とした「雪と寒さに強い青森型省エネ住宅ガイドライン」を昨年12月に策定し、地場工務店や県民への周知・普及を進めている。
 かつて青森県では2010年に県内の温室効果ガス排出量を1990年比で6・2%削減することを目標にした「地球温暖化防止計画」を策定・推進していたが、十分な成果が得られなかったことから、昨年3月に改めて低炭素社会の実現を目的とした「地球温暖化対策推進計画」を策定。青森型省エネ住宅ガイドラインは、その計画の中で10あるプロジェクトの一つに位置付けられており、地域特性を考えた断熱性能や設備機器、室内空気環境、県産材活用などに関する基準を定めている。
 基本的には地場工務店向けに作られたもので、今年3月に県内3ヵ所で行った説明会では300名近くが参加するなど、住宅業界関係者の関心も高い。
 このガイドラインでは、青森型省エネ住宅の目指すべき方向性として、①雪に強い住まい②寒さに強い住まい③人にやさしい住まい④劣化に強い住まい⑤地域にやさしい住まい―の5つの項目を掲げ、それぞれ必須基準と推奨基準を規定。それぞれの基準に関連する技術については、道総研・北方建築総合研究所が編集した「北の住まいづくりハンドブック」を参考に、詳しく解説している。

断熱性能はQ値1.9〜
1.6W必須で1.4W推奨

 例えば、青森県では冬期の風雪や寒さが厳しい点を踏まえ、「①雪に強い住まい」では敷地内の除雪量を少なくする配置計画と、屋根の雪処理が適切にできる屋根形状・工法の採用を必須基準として設定。「②寒さに強い住まい」では、Ⅲ地域も含めて断熱性能はQ値1・9W以下(Ⅰ地域は1・6W以下)を必須基準とし、推奨基準では県内一律1・4W以下と、次世代省エネ基準を上回る性能を設定。暖冷房・給湯設備は効率が良いシステムと節湯型水栓などの採用を必須基準とし、さらに推奨基準では熱交換換気システムや高効率な暖冷房・給湯システムの採用、創エネ・新エネ設備の導入を定めている。
 県産材の活用を義務付けているのも特徴の一つで、「⑤地域にやさしい住まい」で使用する木材のうち県産材の比率を、必須基準で3分の1以上とし、推奨基準では3分の2以上としている。
 また、必須基準や推奨基準は規定していないものの、リフォームにおいても耐震改修は県の耐震診断マニュアル・耐震改修ガイドブックに基づいて計画・施工するなど、耐震・断熱・バリアフリー・克雪の4項目で目標性能や配慮事項を示している。
 このガイドラインの運用にあたって、認定・登録や補助などのインセンティブは実施されていないが、青森県ではさらに県独自の特徴を持った住宅基準を将来的に策定したい考えで、その中に今回のガイドラインの内容を盛り込むとともに、認定・登録やインセンティブについても検討していきたいとしている。
 同県建築住宅課では「省エネやCO2削減に配慮した住宅を建てる技術の参考書として活用してもらうとともに、建て主との打ち合わせなどでもコミュニケーションツールとして使ってもらえれば」と話している。

ホームページ・http://www.pref.aomori.lg.jp/life/sumai/yukisamu.html

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