新聞記事

2012年06月15日号から

注目のエアコン暖房②

課題は入居時の室温立ち上げ 快適性の両立忘れず

 前回は5月25日号掲載。1号あいたので簡単に振り返ります。エアコン暖房に興味があるけど、心配事は熱量不足や暖気が回らないこと、そして温風暖房の不快感がないかどうかという点になると思います。家の暖房負荷に対する暖房能力については、しっかりした熱計算を行った上であれば問題ありません。ダウンドラフト対策は、手の打ちようがないので、なるべく窓の断熱性をあげておくべきでしょう。
 今回は、暖房が回りきるかという点から始めます。

20120615_02_01.jpg暖房が回りきるか
 高断熱・高気密のはしりの頃、「FFストーブ1台で全室暖房」をやったことのある方なら、エアコン暖房はもっと熱が回らないだろうと見当を付けられると思います。1台のストーブをリビングに設置し、当時言われたのは、『吹き抜けを設ければ1階より2階が暑くなる、吹き抜けがないと2階が寒い』。
 エアコン暖房の場合は吹き抜けがあってちょうどくらいのようです。ただし、ドアを閉めた個室は熱が回らないので、ドア上に欄間を付けるか小さな暖房器を用意する必要があるでしょう。玄関を独立させてドアを付けると、寒い玄関になるので注意が必要です。
 トイレは暖房便座、ユーティリティは電気温水器などの熱源があります。ただこれらは空間を暖房するものではないので、熱量はほんのわずかです。住宅外皮の断熱性能がとても重要になってきます。
 300㎜断熱+トリプルガラスの木製サッシクラスの住宅で、マイナス20℃の朝でもエアコン暖房で寒さを感じないことを体験しています。
 『熱が回りやすいように』という観点から始まっているのが、エアコンの床下設置です。エアコン機器メーカーは保証対象外としているようですので、まずはその点にご注意ください。床下に設置することで、1階のフロアにムラなく熱を供給する、リターン空気を上手に設計すれば2階も暖められるというのが狙いです。
 以前、このコーナーでも取り上げたように(今年2月5、15、25日号掲載)、灯油ストーブや灯油ボイラーと違い、ヒートポンプなどの熱源機は、冷え切ったコンクリート躯体のままで力任せに暖房するまでの余力はありません。なので冬場の引き渡し後は、部屋が暖まらない心配があります。ただこれは一時的な問題なので、ヒーターなどで対応すればOK。昼間暖房を切って、夜帰宅して暖房onする時に立ち上がりが遅いということはあまりないはずです。
 暖房の温風が不快ではないかという心配ですが、これはほぼ大丈夫だと思います。むしろ暮らしはじめてからの温度設定が難しい可能性があります。暖房と冷房の切り替えなど、暖房専用機とは異なる特性があり、機器の特徴を使いながら知る必要があります。

断熱レベルとの関係
 断熱性が高くなると、エアコンでも暖房可能。その場合、どのくらいの断熱性能が必要か、エアコンは何台必要か。
 北海道ではやはりQ値1Wに近づくレベルが求められます。さらに断熱性能を高めると、エアコンはリビング1台で良くなります。暖房設備費を削って断熱にあてるという考え方が成り立つ可能性があります。
 ただし、快適性の面で最も高いのは、やはり窓下に放熱器を設置する方法。その点を忘れずに、省エネと快適性の両立を考えたいですね。


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